元セクシー女優でフリーライターの「たかなし亜妖」がお届けする連載コラム。2016年に「ほかにやることがなかったから」という理由でセクシー女優デビュー。女優生活2年半が経過したところで引退を決意し、現在は同人作品やセクシービデオの脚本など、あらゆる方面で活躍中。

◆月収100万円超えもあり得る「個人ファンサイト」とは

 コロナ以降に急増した個人ファンサイト。一般のモデルやインフルエンサーが登録できるような“非オトナ向け”から、セクシー女優や過激系グラドル、同人作家を対象とした成人向けまで、あらゆるサービスが登場している。

 今はセクシー女優のほとんどが、サイトを経由してファンクラブを開設する。ファンクラブだけで月収100万円超えもよくある話で、下手するとビデオ以上の稼ぎを生み出す可能性を秘めるため、運営に力を入れる人も非常に多いそうだ。

◆瞬く間に広がった個人ファンサイト

 会費5000円から1万円で月に一度or数か月に一度会報が発行され、更新特典でオリジナルグッズがついてきたり、ライブやイベントのチケットを優先申し込みできたり、オフ会の参加権を得られるのが従来のファンクラブ。有名人相手だとオフ会なんてものはほぼ確実に開かれず、ただひたすら会報とチケット申し込みの権利を与えられるだけ……なんてのも普通だった。

 本当に会費1万円の価値があるのか? と人々は思いながらも「好きだから」という理由で、アーティストや芸能人にお布施する。本気のファンからすると上納金数千円から数万円なんて安いものかもしれないが、まだまだLOVEの熱量が上がり切っていないファンは多額のお金を支払うのに抵抗がある。それに、他にたくさん推しがいるのなら、一口あたりのお布施をもう少し抑えたいはずだ。

 そんな様々なファンの在り方に応えられるのが、個人ファンサイト

 会報を作る費用や手間を省きながらリアルタイム更新が可能。金額に応じてプランを複数設定すれば、たくさんのファンにアプローチができる。“ちょい好き”な層から“ガチ好き”な層にまで幅広く届けば、結果的に自分自身をしっかりと見てくれる人が増えるだろう。

 たまにしか届かない会報よりも、存在を身近に感じられるのがファンサイトのいいところ。お金さえ払えば手軽に推しのコンテンツを楽しめるのだから、様々なファンクラブに複数入会し一推し、二推し、三推しを決めるユーザーが圧倒的に多いそうだ。

◆ファンサイトはなぜ稼げるのか?

 ファンサイトが瞬く間に広がった今、Web上でアホみたいに稼ぐ女優が急増している。こちら側の知識に明るくない人々からすると「そんなに稼げるものなのか?」疑問に思うかもしれないが、ハッキリ言おう。爆発すれば超稼げるぜ、と……。

 そもそも成人向けのファンサイトは、自作のビデオや露出度の高いグラビアといったコンテンツをメインに配信するため、会員限定の動画を常に楽しみたいファンは月額料金を支払ってでも加入する。

 料金プランの多さや価格は女優によりけりだけど、これがファンクラブでの収益を発生させるメイン層だ。要するに、どんなに安いプランでも加入者が多ければ多いほど利益は上がる。

◆単品販売・投げ銭システムも

 サイトによってはプラン加入だけではなく、商品の単品販売が可能な場合もある。例えば月額プラン内で載せた動画のうち、1作品だけを非会員でも購入できるようにする……といった感じだ。これが意外と「キミのことは好きだけど最推しではないんだよな」系の層に刺さり、結構売れる。

 また単品購入により興味を持ってもらい、そのままプラン加入へと繋がる可能性があるのでなかなか侮れないシステムといえよう。

 あとはどこもチップ投げ銭)システムが導入され、お布施上等!なファンがいればいるほど収益は爆上がり。プラン加入者が多くなくとも、一発のチップが大きな“太客”が現れればそれだけでご飯が食べられる。

 還元率やらの話を始めるとさらに長くなるのでここまでにしておくが、ファンサイトは応援してくれる人さえ見つかれば、稼ぐ仕組みが好条件で揃うフィールドなのだ。

◆ビデオで稼げずともファンサイトが跳ねれば収入はうなぎのぼりに

 2020年頃から現在に至るまで、リリースビデオの本数が減少傾向にある。ゆえに仕事が激減し、セクシー女優としての立場が危ぶまれた人も多い。

 しかし、ファンサイトが登場したおかげで今はビデオ出演だけに依存しなくていい。たとえ月に数本しか企画ものに出られずとも、ビデオやグラビアを自作し、個人ファンクラブで配信すれば一定の収入が期待できるからだ。

 そこそこ活動歴のある女優なら固定のファンがいるだろうし、無名でも配信内容や設定プランをきちんと練れば加入率は上がる。初月は売り上げが微妙でも徐々に収益を伸ばせば、いずれは月収100万円やそれ以上も十分に有り得る話なのだ。

 そして一度軌道に乗ってしまえば収入は安定する。更新内容を薄めたり、サボったり、価格に見合わないものを提供すればもちろん人気は下がるものの、“努力を怠らなければ”長期間ファンサイトだけでやっていけるだろう。

◆本業ではなくファンサイト運営に力を注ぐケースも

 セクシー女優がフリーでない場合、ファンサイトの運営には必ずプロダクションが関わっている。いついつにファンクラブの撮影をして、編集をして、公開して……と、月々の動きが細かく決まり、確実に収益化できるような動き方で計画が進む。

 撮影を外注するところもあれば、すべて内々で済ませるなど、最小限のパワーで製作するプロダクションも少なくはないらしい。

 先ほども説明したが、昨今の業界はリリース本数が減って1人1人に十分な仕事が行きわたらなくなった。誰かの依頼を待つのではなく、自身で作り上げる“ナニカ”を持たねば勝ち抜けないため、運営にはみんな力を入れる。なかにはWeb上での活動をメインにして、オファーがきたときだけビデオに出るやり方を選ぶ女優も一定数いるそうだ。

◆誰でも稼げる可能性があるのが魅力

 加入者が増えるほど収益に直結するファンサイト。稼ぎが青天井かつ好条件が揃っているのだから、プロダクションも女優も熱を注ぐのは誰もが頷けることだろう。

 身分証明書さえあれば成人向けファンサイトに誰でも登録できるため、ユーチューバーのように母数が広がり、争いが激しくなった点は否めない。ただ“誰でも参入できる”のだから、有名・無名問わず“誰でも稼げる可能性がある”ということ。

 一般の成人向けビデオとは違い、カメラアプリで撮った作品を配信したって別に怒られない。やり方次第で光が見える世界となれば、今は「セクシー女優をやるなら参入しないだけ損」なんて意見も多い。

 注意が必要な部分はあれど、稼ぎ口が増えるのはいいことだ。女優の活動、そしてファンの応援の仕方にも多様性が出るため、私はファンサイトを肯定的に捉えている。

 メーカーとしては商品が売れなくなる可能性が出てくるから、悩ましい存在かもしれないが……。

文/たかなし亜妖

【たかなし亜妖】
セクシー女優のフリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。

―[元セクシー女優のよもやま話]―


元セクシー女優で現在はフリーライターの「たかなし亜妖」