会社の認知を広めるためにSNSを始めた企業にとって、SNSをバズらせるのは目標のひとつだろう。では、実際にどのようにSNSを運用すればバズらせることができるのか。異なる2つのアカウントでバズりを体験した新方宏明氏に話を聞いた。

◆‘22年にバズった2つのアカウント

 株式会社マイトは、東京都北区の王子で不動産事業やケーブルテレビ事業を展開する企業。YouTubeのチャンネルと不動産TikTok、グリーンカレーTikTokのSNSを運用しており、2022年にTikTokで公開している動画でそれぞれバズった経験を持つ。

「不動産TikTokは、ショート動画の投稿を初めて3~4か月したころ、出演者の高身長あるあるを投稿した動画が100万回再生を突破してバズりました。

@airenthomeoji_ono

③は男女共通の高身長あるあるだよね!ね!

♬ オリジナル楽曲 – ローカルカンピオーネ🗾👑 – ローカルカンピオーネ🗾👑


また、私が元料理人だったこともあり、ノリで始めたグリーンカレーTikTokでは、『【ご飯のお供】会社でネギ油作ってみた。』(現在は非公開)というショート動画がバズったんです。

◆まずはSNSの運用を始めてみるのが大事

 これら2つの動画はなぜバズったのか。

「不動産のあるあるネタや料理を作るネタはこれまで何度も投稿していて、バズった動画で何か特別なことをしたわけでないので、明確な理由があるわけではありません。

ただ、バズらせたいのであれば、バズるまでやめないことが大事。そのうえで、どうやったらバズるかを毎度毎度試して、トライ&エラー繰り返すことも重要になります」

 SNSの運用を始めるかどうか迷っている人には「とにかく初めてみるのが第一歩」とも。

「今の時代、編集アプリをインストールさえすれば、スマートフォンで動画投稿はできます。動画撮影や編集などの知識は後付でいくらでも身につけられるので、なくても大丈夫。できるかどうか悩むぐらいなら、とりあえず始めたほうがいいですよ。

人員は動画の出演者と編集者を分けたほうがいいので、2人以上で取り組むのが理想です。一人二役でこなすこともできますが、何かあっときに相談できる相手がいたほうがいいですから」

◆SNSがバズるまで辛抱強く待つ

 スタートしたうえで結果につなげるには「何より辛抱強さが肝心」だという。

「先ほどもお伝えした通り、どんな動画がバズるかは公開してみないとわかりません。バズる動画を生み出すには、とにかく試行回数を重ねるしかないと思います。なかなか結果が出ないからとすぐに諦めるのではなく、継続させるのが大切です」

 SNSを継続するうえでポイントになるのが、「時間をかけすぎないこと」と「楽しむこと」だと新方は指摘。

「動画がバズって力を入れていたときは、週に5本のペースでグリーンカレーTikTokを更新していました。2週間に1度のペースで10本撮りを行っていたのですが、ネタを考えたり、事前準備をしたり、食材を買ったりと、当時はとにかく多忙でした。

忙しくなると、社内がギスギスして雰囲気が悪くなり、楽しい動画も撮影できません。自分たちが楽しんでいないと、見ている方たちも楽しめないと思います。

フォロワーの数は十分に増やせましたし、動画の視聴回数も落ち着いてきたので、僕はあえて配信ペースを落とすことにしました。現在は2週間に1本のペースで配信しています」

◆SNSに夢中になったときの落とし穴

 また、「本業の不動産が忙しくなった」のも動画の配信ペースを落とした理由だという。

「本業が疎かになってしまっては本末転倒ですからね。そもそもSNSは、遊び半分の気持ちで挑戦したほうがいい。本気で人材やお金、時間を使うと、失敗したときに取り返しがつかなくなってしまいます。SNSを運用して本業にどれほどの利益があったのか、費用対効果はどうだったのかを考えると、とたんにつまらなくなってしまうので(笑)」

 コストをかけず楽しみながら続ける姿勢こそが何よりも求められるのかもしれない。

<取材・文/黒田知道>

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