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 まるで近未来フィクションに出てくる反ロボット主義のよう。SFの話じゃなく本当に?と目や耳を疑う事件が起きてしまった。

 今月10日アメリカ・カリフォルニア州で、群衆(人間)が路上のロボットタクシーを取り囲んで破壊、あげく放火するという信じがたい襲撃事件が発生した。

 駆けつけた消防が火を消し止める映像などがXで拡散中だ。

 旧正月のお祝いで数千人が混み合う最中に起きた戦慄の事件。襲われたのは昨年から市内で自動運行中のウェイモ社のロボタクシーだった。いったいなぜ、彼らはロボタクシーを憎んでいたのか?

【画像】 群衆が無人のロボットタクシーを破壊して放火

Waymo incident: Video shows self-driving car vandalized and set on fire in San Francisco's Chinatown

 戦慄の事件の現場はサンフランシスコ市街のチャイナタウン2月10日夜のことだ。

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 原因は不明だが、現地のサンフランシスコ・スタンダード紙によると、当初群衆はロボットタクシーを揺さぶったり叩いたりしていたが、その後窓ガラスまで割ってしまうと、そこに花火が投げ込まれたという。

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 一時燃え上がったロボットタクシーだが、まもなく駆けつけた消防により消し止められた。

 今回襲撃に遭ったのは米Google 傘下のウェイモ社の無人運転タクシーで、攻撃を受けていた当時、車内は無人だったそうだ。

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Xユーザーfriscolive415の投稿より。消火の様子

現場は旧正月で混んでいたチャイナタウン

 サンフランシスコ市警察(SFPD)の監督官であるアーロン・ペスキンさんによると、その日のチャイナタウン旧正月を祝う数千もの人が集まっており、特に夜は通りを進むのもやっとな状態だったという。

 だからといってなぜ、ロボットタクシーがこうまでひどい目に遭ったのか?アーロンさんにも皆目見当がつかないそうだ。

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渋滞を引き起こすロボットタクシーに対する恨みが爆発か?

 まるで近未来フィクションにある反ロボット主義を彷彿とさせる事件だが、現時点で本件が計画的な襲撃だった、と示唆するものや兆候はないとのこと。

 ただFuturism誌の見解によると、原因の可能性として挙げられるのは、市民のロボットタクシーに対する大きな嫌悪感だという。

 かねてから完全自動運転車の試験運転に協力してきたカリフォルニア州が、サンフランシスコ市内のみ、という条件付きで無人ロボットタクシーの本格的な運営を認めたのは2023年8月。わずか半年前のことだ。

 その際に承認されたのはウェイモ1社ではなく、その競合である米GM(ゼネラル・モーターズ) 社傘下の企業、クルーズの2社だった。

 だがこの2社のタクシーが、サンフランシスコの通りで渋滞を引き起こすなど、公共の迷惑になっているという。

ロボットタクシーの度重なる事故例

 たとえば故障して道路の真ん中で停止、複数台で一斉に停止、また走行禁止の場所を走行するなどの事案が起きており、迷惑かつ危険極まりないと不評なのだ。

 もっといえば、こうした事案は本格導入前から起きていることで、ウェイモのほうは昨年6月に自動運転中のタクシーが誰かの飼い犬を轢いて死亡させた。

 クルーズのほうでは昨年1月に消火活動中の火災現場に突っ込み、消防士がガラスを割って停止させるという事件を引き起こした。

 というかクルーズのほうはさらにまずく、昨年10月に同社の無人のタクシーが歩行者をひき逃げする事故を起こし、その後カリフォルニア州陸運局からタクシーの一時停止を言い渡されたという。

市がタクシーを承認したカリフォルニア州の委員会を起訴

 このように度重なるロボットタクシーの事件や事故のせいで、サンフランシスコ市は我慢の限界に達している。

 実際、市はカリフォルニア州に対し、昨年末に以下のような主旨の訴訟を起こした。

 クルーズとウェイモの2社に「安全を監視するオペレータなしの24時間営業」を承認した州委員会を訴えたのだ。

サンフランシスコ市における自律走行車のサービス拡大に伴い、市民や市当局のメンバーは、安全を脅かす何百件もの事故を確認している。そこには救急隊員への妨害も含まれている

 そこに来て今回の事件となると、確かにこうした反発が噴出した感もある。

 ただ、これほどひどくなった要因は、旧正月のイベント用の花火が身近にあったことや、日本では渋谷ハロウィンでも問題になっている、群衆が引き起こした迷惑行為のエスカレートかもしれない。

 いずれにせよ今後の調査で真相が明らかになるはずだ。

References:futurism / friscolive415/X / youtubeなど /written by D/ edited by parumo

 
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