海外では5ドアが登場したけど3ドアこそ至高! スズキ・ジムニー3ドアには魅力しかなかった

この記事をまとめると

インドで5ドアが登場し、日本にも導入されないかと話題となっているジムニー

■未だ大量のバックオーダーを抱えるほど人気な3ドアのジムニーの魅力をあらためて考える

■多少の不便はあるが走行性能や維持費を重視するなら3ドアモデルがおすすめ

5ドアの登場で日本導入が切望されている

 スズキ乗用車販売のシェアを多く占めているインドにて、2023年1月にジムニーの5ドアを世界初公開したニュースは、日本のユーザーにとっても大事件となりました。日本では、軽自動車ジムニー、登録車のジムニーシエラのどちらも3ドアとなっており、「欲しいけど家族がいるから買えない」といった、実用性がネックとなっている人たちにとっては待望の5ドア。早くも「日本で出して欲しい」「これなら買いたい」といった声が多く聞こえてくる状況です。

インド市場で発表された5ドアのジムニー

 ただし、スズキとしては日本ではまだまだ3ドアのバックオーダーを抱えているのが現状で、そこへさらに5ドアを出すと納期がどんどん延びてしまうため、現時点では日本発売予定はないとコメント。

 ところが2024年1月のTOKYO AUTO SALONにて、並行輸入した5ドアジムニーを出展しているブースがあり、日本の法規をクリアすべく準備を進めているとの情報に、5ドアを待っている人たちからの問い合わせが相次いでいるといいます。

並行輸入された5ドアのスズキ・ジムニー

 そこまで熱望されていると、そんなにみんな5ドアがいいのか? と、なんだか3ドアが不憫に思えてしまいますね。そこで今回は、「3ドアだっていいじゃないか」という応援企画。あらためて3ドアの魅力を掘り起こしてみたいと思います。

 まずひとつめの大きな魅力は、基本的な運動性能や操作性、燃費などさまざまなところに効いてくる軽さ、です。スポーツカーじゃなくても、やっぱり「軽いは正義」説は根強いものです。日本で販売されている軽自動車ジムニーの車両重量は、MTが1040kg、ATが1050kg。登録車のジムニーシエラは、MTが1080kg、ATが1090kg。

スズキ・ジムニー(JB64)のフロント

 対してインドで販売されている5ドアジムニーは、MTが1200kg、ATが1210kgなので、ジムニーから160kg増、シエラから120kg増ということになります。ジムニーなら大人3人分、シエラなら大人2人分くらい重くなるので、これは運動性能をはじめあちこちに響いてくるのは明白。身体の一部に組み込まれたような軽快な操作感はジムニーの大きな魅力なので、それが最大限に味わえるのはやはり、3ドアだといえます。

使い勝手以外の部分ではほとんど3ドアジムニーが優れている

 2つめは、軽さにも関連しますが、ジムニーの肝ともいえる悪路走破性。これは日本ではあまり本領発揮する場所が少ないですが、砂漠や岩場などに行ってみると、いくらパワーがあったとしても重いボディは必ずネックになる場面があります。

スズキ・ジムニーシエラ(JB74)のオフロード走行

 砂漠ではズブズブと砂地に沈んでしまうし、砂丘では尻もちをついてスタックしてしまう。岩場ではジムニーならひらりひらりと登っていくところを、重くなればなるほど、持ち上がらなくて前に進めなくなってしまう場合もあるのです。とくに、乗り越えた障害物がアンダーボディに接触せずに超えられる角度を示す、ランプブレークオーバーアングルは、ジムニー3ドアが28度なのに対して、5ドアは24度に変更されているので、尻もちをつく可能性が少し高いということでしょう。

 3つめは、やはりボディサイズがギュッとコンパクトにまとめられている3ドアの方が、市街地や狭い林道などでの取りまわし性能が抜群です。軽自動車ジムニーのボディサイズは、当然ながら軽規格の全長3395mm、全幅1475mm、全高1725mm、最小回転半径は4.8m。シエラは全長3550mm、全幅1645mm、全高1730mm、最小回転半径は4.9mです。

スズキ・ジムニー(JB64)のサイド

 それが5ドアとなると、全長3985mm、全幅1645mm、全高1720mm。全幅は変わりませんが、全長は435mm長くなり、最小回転半径はなんと、5.7mにまで大きくなってしまいます。5.7mというと、SUVではトヨタ・ハリアーと同じ。キビキビと小まわりが効く感覚ではないことが想像できますね。

 4つめは、個人の好みにもよりますが、潔くてまとまりの良いデザインとなっているのも、3ドアならではでしょう。現行モデルのジムニーは、デザインにひと目惚れして購入した人も多いと聞いています。張り出したホイールアーチの間にちょうどドア1枚がはまり、バランスよくアクティブで、間延びしないデザインとなっているのが3ドアです。

スズキ・ジムニー(JB64)のリヤ

 5ドアは後席用のドアだけでなく窓もひとつ多くなりますので、グラスエリアが多い印象も加わり、どちらかというとドッシリとした存在感のあるデザイン。世界最小の本格4WDであるというジムニーの個性が、より強く感じられるのは3ドアではないでしょうか。

 5つめは、価格や維持費が抑えられることも忘れてはいけない3ドアの美点です。軽自動車ジムニーのみならず、登録車のシエラまで、いまどき200万円以下という車両価格。インドで2023年6月に発売された5ドアの価格は127万4000ルピーなので、2024年1月現在のレートで日本円で約226万円。

 もし、この先日本で発売されることになっても、3ドアのジムニーシエラよりさらに20万〜30万円程度は価格アップすることが予想できます。エンジンは1.5リッター搭載なので、自動車税はシエラ同等だと思いますが、軽自動車ジムニーと比較すると税金は大きくアップ。維持費のことまで考慮すると、やはり3ドアのジムニーが最強といわれるのも納得です。

スズキ・ジムニー(JB64)とジムニーシエラ(JB74)

 ということで、5ドアのジムニーと比べても3ドアの魅力はたくさんあります。後席へのアクセスという、少しの不便に目をつむってでも乗る価値はあると感じますが、皆さんはどちらを選びますか?

海外では5ドアが登場したけど3ドアこそ至高! スズキ・ジムニー3ドアには魅力しかなかった