先週末(2月9日から11日)の北米興収ランキングは、このところ続いている閑散期にアメリカ最大のイベント“スーパーボウル”が重なったこともあり、前代未聞の事態に。ランキング上位10作品の合計興収はわずか2910万ドルで、前々週に記録した低調ぶりをさらに更新。3000万ドルを下回ったケースは、コロナ禍の2020年と2021年というイレギュラーを除けば21世紀初のことだ。

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しかも週末全体の総興収は4000万ドルにも届かない3698万ドル。2021年のスーパーボウル週末はまだまともに映画界が機能しておらず例外であったが、昨年と一昨年は5000万ドルを突破している。「Variety」の報道によれば、この2024年が事実上のスーパーボウル週末史上最低の売上だったようだ。

さて、当のランキングでは前週首位デビューを飾ったマシューヴォーン監督の『ARGYLLE/アーガイル』(3月1日日本公開)が2週連続でNo. 1に。とはいえ週末3日間の興収は前週比およそ3分の1の624万ドル。北米累計興収は13日の火曜日にようやく3000万ドルを超えたが、海外興収(現時点で3320万ドル)を含めてもまだまだ巨額の製作費には遠く及ばない。

一方、2位に初登場を果たしたのはキャスリン・ニュートン主演のホラーコメディ『Lisa Frankenstein』。父親の再婚相手とそりが合わず居場所がないティーンエイジャーのリサが、近所の墓地から蘇ってきたヴィクトリア朝時代の若い男性と出会い、彼を理想の男性に育て上げるというユニークなストーリーで、初日から3日間の興収は369万ドル。3000館以上の大規模公開作のオープニング成績としてはワースト8位の滑りだしで、これは公開タイミングが悪かったと言わざるを得ない。

同作は『JUNO/ジュノ』(07)でアカデミー賞脚本賞を受賞し、『ジェニファーズ・ボディ』(09)やリブート版『死霊のはらわた(13)でも脚本を務めたディアブロ・コーディが脚本を担当。メガホンをとったのは、名優ロビンウィリアムズの娘でこれが長編デビュー作となるゼルダウィリアムズとなかなか興味深い座組み。作品評価はさほど良くはないが、観客からの受けは上々。なによりも1300万ドルという低予算であることを考えれば大きなダメージにはならないだろう。

ランキングの他の作品に目を向けてみると、年末の公開から9週連続で4位以内をキープしているティモシー・シャラメ主演の『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』(日本公開中)が、16日の金曜日にも『チャーリーとチョコレート工場』(06)の北米最終興収を抜き去る見込み。また、ヴィム・ヴェンダース監督と役所広司タッグを組み、第96回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされている『PERFECT DAYS』(日本公開中)が6館での限定公開ながら週末3日間で10万ドルを超える興収をあげて26位にランクインしている。

そして14日の水曜日からはソニー・ピクチャーズマーベル作品最新作『マダム・ウェブ』(2月23日日本公開)と、ボブ・マーリーの伝記映画『ボブ・マーリー:ONE LOVE』(5月10日日本公開)が封切られまずまずのスタートを切った模様。この2作が閑散期に終止符を打つことができたのかどうかは、次回お伝えしたい。

文/久保田 和馬

2024年の“スーパーボウル週末”は、史上最低の売上に…/[c]Universal Pictures