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はじめに

昨年は、新興メーカーの新型車も数多くテストしたが、その対極にあるのが今回のテスト物件だと言える。

【画像】写真で見るメルセデス・ベンツEクラスとライバル 全17枚

無論、クラシックカーを連れてこようと言うのではない。しかしEクラスといえば、世界最古を謳う自動車メーカーのラインナップでもとりわけ長い歴史を持つもののひとつだ。

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テスト車:メルセデス・ベンツE220d AMGライン・プレミアムプラス    JACK HARRISON

新型となるW214型を、メルセデス・ベンツ流にカウントすると1947年からほぼ途切れることなく続く系譜の10代目ということになるらしい。

と、ヘリテージへの言及に今回は随分気を遣っているが、それがなぜかと思わされるくらい、普段のメルセデスは特別なノスタルジックさを持たない会社だ。初代Aクラスやスマート・シティクーペの前衛的なデザインを見れば、それはよくわかる。最近では、容赦無く空力を追求したEV群に、その性格が顕著だ。

BMWが5シリーズのバリエーションとしてi5を設定したのとは対照的に、メルセデスはEセグメントEVのEQEとは別にICE車のEクラスを用意した。彼らがいうには、新型Eクラスには伝統と現代性のバランスが必要だったのだとか。トラディッショナルな上級セダンと、将来を支える先進技術を用いたEVとの架け橋になる存在だというわけだ。

まだまだ走るスマートフォンみたいなクルマを愛車として迎え入れられないというユーザーは多い。となれば、新型Eクラスに課されたミッションはひとびとの心を捉えるものとなるに違いない。その成否を占うべく、われわれは今回、敢えて俎上にEVの対極とも言えるベーシックなディーゼルモデルを載せることとした。

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

外観を見る限り、ミュンヘン発のライバルに大きな影響を受けることはなかったようだ。ワゴンも用意されるが、セダンモデルの3ボックススタイルは堅持され、ボンネットは長く、トランクリッドは明確に区切られている。全体的にラインはクリーンで、見栄えのいいディテールが多少加わるが、虚飾は極力廃されている。

当たり障りないグッドルッキング。アイボリーベージュに塗られたタクシーが、フランクフルト空港にズラリと並ぶ光景が目に浮かぶ。

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EQEとはプラットフォームを共用しない新型Eクラス。パワートレインはガソリンとディーゼル、そしてPHEVというICE系のラインナップだ。    JACK HARRISON

メルセデスは構造面のエンジニアリングをあまり詳細に語っていないが、これは先代モデルの発展版だからだ。5シリーズと違ってEクラスは、EVモデルとプラットフォームを共有する必要がなかった。また、ICEとPHEVのノウハウは、数十年にわたってほぼ完成させている。

とはいえ、PHEVバッテリー置き場は相変わらず頭痛の種だ。ガソリンとディーゼルではわずかながら5シリーズを凌ぐトランクスペースが、PHEVでは優劣をひっくり返されてしまう。530eは520L確保している容量が、E300eは370Lしかないのだから。

Eクラスを擁護できるとすれば、そのバッテリー性能の優位だろうか。容量は総容量25.4kWh/実用容量19.5kWhで、EV航続距離は109km。対するBMWは22.1/18.7kWhで93kmだ。

ラインナップは先代ほどではないが、ガソリンもディーゼルも揃えてきた新型Eクラスのなかで、今回のE200dに搭載されるユニットはキャリーオーバーだ。メルセデスのモジュラーエンジンファミリーの一員であり、乱暴にいえばE450dに積む直6を2/3に切り詰めたものだ。過給は可変ジオメトリーターボで、エンジンとギアボックスの間には23psのモーターをサンドウィッチ。48Vマイルドハイブリッドとして、スターター/ジェネレーターと加速アシストを行う。

サスペンションに大きな驚きはないが、残念な話もほとんどない。フロントが4リンク、リアが5リンクで、PHEVを除くモデルには15mmダウンの実質的なスポーツサスペンションであるアジリティコントロールサスペンションが装着される。

ダンパーはパッシブの周波数選択式で、ドライバーがセレクトできるモードはないが、入力の周波数に応じたバルブ作動が得られる。理論上、ロールのような低周波数の動きでは硬くなり、荒れた路面からの突き上げのような高周波数に対しては和らぐという設計だ。

スチールコイルにアダプティダンパーの選択肢はない。後輪操舵と合わせてエアサスが設定される市場もあるが、英国仕様には導入なし。十分な需要が見込めない、ということらしい。ただしワゴンは、リアのみセルフレベリング用のエアスプリングが備わる。

内装 ★★★★★★★★☆☆

メルセデスのいう架け橋が、昔ながらのインテリアを含むものだと期待していたら、そこは裏切られる。テスト車はスーパースクリーン仕様で、全面にディスプレイが埋め込まれていた。それでも、MBUXの使い勝手は、インフォテインメントシステムとしてはベストクラスだ。

ほとんどのインターフェイスは、現行メルセデスに共通するものなので、操作は大きなディスプレイと、列をなした走行モードや車両セッティングを担う実体ショートカットボタンで行う。

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テスト車はスーパースクリーン仕様で、センターに14.4インチ、助手席前に12.3インチディスプレイを設置する。    JACK HARRISON

あまり使わない機能の呼び出しは、進化した音声認識を使うといいだろう。無駄なアンビエントライトの調整にメニューを探すくらいなら「ヘイ、メルセデス。ムードライトを黄色にして」と照れを捨てて口にしたほうが手間が省ける。

使い勝手が後退したのは空調関係だ。ほかのメルセデスは、温度と風量の調整が画面上に常時表示されているのだが、このクルマはメニューを開く必要がある。それによって画面の表示面積を節約できるというわけでもなさそうだし、第一使いづらくなった。

最近のメルセデスで批判してきた質感については、完全に元戻りはしていないが、低下傾向に歯止めはかかったようだ。ほぼどこもソリッドな作りで、マテリアルもいい感じのものを使っている。

ICE搭載のセダンとしては、実用性もなかなかのものだ。シフトセレクターをステアリングコラムに設置するので、高さのあるセンターコンソールは収納スペースに充てられる。カーペット敷きのドアポケットもかなり大きい。

EVを見慣れると、物足りなく感じるようになるのが後席レッグルームだ。そうはいっても、新型5シリーズにはわずかながら勝り、ヘッドルームは背の高い大人でも十分余裕がある。そうそう、ICEモデルであるE200dのトランク容量は、BMW520iを20L上回っている。

走り ★★★★★★★★☆☆

大型の上級セダンに、2.0Lディーゼルマイルドハイブリッドでは、その字面を見る限りもはや時代遅れのパワートレインだと思えるはずだ。英国BMWはそう考えたようで、520dや530dを導入しなかった。

ところが、E220dに乗ると、ほどなくそれを考え直す。EVやPHEVの税制優遇を考えなければ、この手のクルマとディーゼルの相性はバッチリだ。

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おおらかなトルクを安定供給する上質なディーゼルは、バッテリー残量にパフォーマンスが左右されるPHEVやEVよりよほどサルーン向きのパワーユニットだ。    JACK HARRISON

ディーゼルといっても、そう聞いて想像するようなガサツさや騒々しさは微塵もない。コールドスタートでも、街乗りでも、限界を試す性能テスト中であっても、このOM654Mユニットは静かに回り、エンジンルームがはるか遠くにあるように思わされる。

また、マイルドハイブリッドではアイドリングストップを切りにくいものもあるが、このクルマのスタート/ストップは楽にカットできる。とはいえ、その必要をめったに感じなかったのは、エンジンの停止と再始動がじつに早くスムースだったからだ。

実測1917kgという重量で、湿って凍てついたテストコースに入ったにもかかわらず、E220dはスタンディングスタートから7.2秒で97km/hに達した。これは2017年に計測した先代520dを0.2秒凌いでいる。EVやハイブリッドであればどうということのない数字だ。アウディA6 50 TFSIeは5.7秒をマークしている。しかし、その無理のない感じはみごとで、そこにこそ真の価値がある。

まず最初に、提供されるパフォーマンスが一定している。バッテリー残量に左右されるPHEVなどとは決定的に異なるところだ。エンジンと9速ATとの協調性も、ほぼすべての場合ですばらしい。多くのギアボックスにみられるような、エンジンに対する遅れで悩まされることもなく、豊かなトルクを生かすために行う1〜2段のシフトダウンもクイック。しかし、レッドラインまで回し切ってしまうことはない。

それでも、批判の的はギアボックスとなってしまう。ほぼほぼムースなのだが、思いがけないところで油断を見せるのだ。交差点で減速したところから、信号が青になって急に再加速するような、さもなければ混み合ったジャンクションを急加速で抜けるような場面で、シフトダウンして接続するのに間が空いてしまうのだ。

シフトパドルはEクラス全車に標準装備されるが、マニュアルモードの選択方法ははっきりしない。ディスプレイのメニューを探らなければならないのだ。理想的な方法ではないが、メニューを見つけるのは難しくない。それに、ディーゼルサルーンは、マニュアル変速を積極的に使いたい類のクルマではない。

ブレーキ性能に関しては、パフォーマンス志向のサマータイヤには、凍りそうな湿った路面でのテストが厳しかったというのが大きい。113km/hからの完全停止に56.2mというのは長かった。おもしろいのは、ESPをカットしてみたら4mほど伸びたことで、加速中だけでなく、減速中の車両安定にもこの電子制御が効いていることを証明できた。

電動化したメルセデスの大きな弱点となっているペダルフィールは、普段使いでは上々だが、緊急ブレーキではソフトな感じだ。

使い勝手 ★★★★★★★★☆☆

インフォテインメント

メルセデスがMBUXインターフェイスを投入して数年が経った。特徴とするのはゼロ・レイヤー・コンセプト。ナビもメディア操作もよく使う機能もホーム画面に常時置き、メニューを掘らなくても使えるというものだ。

空調操作の表示がホーム画面からなくなって、メニューに組み込まれたのは残念、とは内装の解説の中で述べたが、それ以外は大きく変わってはいない。

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必要な機能の多くが一括表示され、切り替えなどが不要なゼロ・レイヤーレイアウトは使いやすい。しかし、個人アカウントがないと使えない機能があるのは面倒だ。    JACK HARRISON

ナビゲーションはクリアで、入力も簡単。AR機能は大して役に立たないが、それも容易に消せるので許せる。スマートフォンとのミラーリングはワイヤレスでも有線でも接続でき、連携ぶりは上々だ。

どんどん増えているのが、各種機能とメルセデス・ミーのアカウントとの紐付けだ。テスト車はその設定が不十分だったので、ナビゲーションの渋滞情報や音声操作など、フルに性能を体験できないものもあった。オーナーになってしまえば問題ではなくなるだろうが、ゲスト扱いでは機能が適切に働かないというような面倒臭さは必要ないと思えてならない。

燈火類

LEDライトとしては、もっと明るいものもテストしたことはあるが、これでも十分以上には明るい。アダプティブ機能の反応はちょっと遅い。

ステアリングとペダル

比較的狭いフットウェルだが、2ペダルのみなので、レイアウトにお伝えするような問題はない。メルセデススロットルペダルをBMWほど右に押し込んでいないので、ドライビングポジションのフィールはより自然だ。

操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆

メルセデス・ベンツの走りのキャラクターは、このところ一貫性がなかった。英国の主力モデルはスポーツサスペンションが標準装備され、バンピーな道では過敏に感じることもある。しかしそうではなく、高級車の乗り味をどう作るか知っていることを誇示するようなクルマもまたある。標準サスペンションPHEV、エアサスペンションのEQEやEQSなどはかなりのものだ。

残念ながら、英国メルセデス心変わりしてエアサス仕様を導入しない限り、Eクラスのマイルドハイブリッドは前者に当てはまってしまう。PHEVには、もっとソフトな足回りを与えているのだが。

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E220dの走りには、Eクラスらしからぬところがある。直感的なステアリングとしっかりしたボディコントロールを備える一方で、低速では乗り心地が硬いのだ。    JACK HARRISON

そのためE220dは、荒れた路面ではやや乗り心地がゴツゴツした感じ。とくに、速度が60km/hに満たないようなときにはそうだ。だいぶ硬めの脚で、ダンピングのクオリティもメルセデスの褒められるほうには入らない。

ところが、速度が上がると、本領を発揮するかのように足取りがよくなり、大きなバンプアイロンをかけるように呑み込んでいく。とはいえ、パッシブの周波数選択式ダンパーは奇妙なくらい一貫性のないフィールで、ときどきバンプを見逃したように働かないことがある。しかしながら、高速道路の長距離移動においてなら、このディーゼルのEクラスはそこを目指して仕立てたのだろうと納得の走りを味わえる。

それとは裏腹に、ハンドリングは驚くほど鋭い。硬いサスペンションはコーナーでボディの水平を保ち、Pゼロは強力なグリップを発揮する。ステアリングはとにかくエクセレントだ。かなりクイックで、ロックトウロック2.2回転だが、出来のいい可変レシオ機構のおかげで、ナーバスさはまったく感じさせない。コーナーでの手応えは、それほどハードに走らせなくても徐々に高まっていく。

この乗り心地とハンドリングの組み合わせが、大型サルーンにふさわしいかは賛否あると思う。車重は2t近く、全幅はミラーを含めれば2mを超えるのだ。ハンドリングはバランスよく満足できるものだが、決して心から楽しいと言えるタイプのものではなく、重量の存在を忘れられることもなかった。

メルセデスといえば、電子制御スタビリティコントロール採用の先駆けだが、テスト車のESPシステムは緩いところがある。タイト交差点で加速するときに、後輪がわずかながら横へ出ることがあるのだ。

もっとも、安全を損ねるほどではない。システムをオフにして、すべりやすいコンディションを走っていても、劇的なことを起こすには、ドライバーがその気になる必要があるくらい安定している。それだけに、この不意な動きに驚くドライバーもいるだろうと思えるのだ。

快適性/静粛性 ★★★★★★★☆☆☆

乗り心地には残念なところもあるが、おおむね快適なクルマではある。もしもSUVのドライビングポジションがお好みでなければ、とりわけそう感じるだろう。5シリーズほど低く座らせるわけではないが、過剰なスポーティ志向ではないセダンとしては適当だ。

操縦系は、それぞれの相対的な位置も含めて正しくレイアウトされていると思えるもので、ステアリングホイールとシートの調整幅は広い。シート自体は、パッドは硬めだがサポート性には優れている。

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セダンとして標準的なドライビングポジションは、SUVの運転姿勢に馴染めないドライバーにはしっくりくるものだろう。静粛性は改善の余地がある。    JACK HARRISON

メルセデスは空力における優位性や、約500ものマイクで不快なキャビンノイズを検出したエンジニアたちの仕事ぶりを謳うが、静粛性において新たなスタンダードを打ち立てるまでには至らなかった。風切り音はかなり抑え込んだが、高速道路の速度域ではロードノイズが明らかに気になる。113km/hでの室内騒音は67dBAで、2022年に計測したアウディA6より2dBA大きかった。

購入と維持 ★★★★★★★★☆☆

新型Eクラスのエントリーモデルは、5万5290ポンド(約1051万円)のE200 AMGラインで、E200dは1635ポンド(約31万円)高の5万6925ポンド(約1082万円)。今回のテスト車は6万8785ポンド(約1307万円)で、これらはライバルたちより高めの値付けだ。

とはいえ、どのグレードを選んでも装備は充実している。レザーシートはヒーターとベンチレーションが付き、エアコンは最低でも2ゾーン式。キーレスエントリーやアダプティクルーズコントロールも標準装備だ。

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ハイスペックモデルは、安価なモデルやライバルに比べ、初年度の落ち込みがより大きいはずだ。しかし、そこからの下降率はさほど変わらない。

同等エンジンの5シリーズは、これより本体価格が低い。ただし、オプションで装備内容を揃えればEクラスの中級グレード並みになる。アウディA6ならもっと安いし、ジャガーXFなら2万ポンド(約380万円)節約できる。ゼロひとつ多いようだが、間違いなく本当の価格差だ。

税制優遇を考えると、PHEVのE300eという選択肢もある。ワゴンのAMGライン・プレミアムプラスを除くが、このクラスでEV航続距離113km以上という英国の優遇基準をクリアできるクルマはじつに少ない。

リアルな燃費もかなりのものだ。テストでの平均値は16.1km/Lだが、これは動力計測も含めた数字で、普段使いでは20km/L以上の数字をコンスタントに出していた。粛々と走れば、無給油1500kmも夢ではない。

スペック

レイアウト

W214世代となるEクラスのプラットフォームは、モジュラーリアアーキテクチャー(MRA)の発展型。現行のCクラスやSクラスと同じもので、PHEVバッテリーは荷室下に積むタイプだ。

ワゴンも設定されるが、クーペとコンバーティブルは新たにCLEを名乗ることになった。実測での前後重量配分は、53:47だった。

エンジン

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W214型Eクラスのプラットフォームは、現行のCクラスやSクラスと同じMRAの発展型で、PHEVバッテリーは荷室下に積むタイプ。テスト車の前後重量配分は53:47だった。

駆動方式:フロント縦置き後輪駆動
形式:直列4気筒1993cc、ターボディーゼル
ブロック・ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ82.0×94.3mm
圧縮比:15.5:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:197ps/3600rpm
最大トルク:44.9kg-m/1800-2800rpm
エンジン許容回転数:5000rpm
馬力荷重比:102ps/t
トルク荷重比:23.4kg-m/t
エンジン比出力:99ps/L

ボディ/シャシー

全長:4950mm
ホイールベース:2961mm
オーバーハング(前):848mm
オーバーハング(後):1141mm

全幅(ミラー含む):2150mm
全幅(両ドア開き):3720mm

全高:1461mm
全高(トランクリッド開き):1900mm
最低地上高:-mm

足元長さ(前席):最大1150mm
足元長さ(後席):790mm
座面~天井(前席):最大990mm
座面~天井(後席):930mm

積載容量:540L

構造:スティール+アルミ、モノコック
車両重量:1915kg(公称値)/1917kg(実測値)
抗力係数:0.23
ホイール前/後:8.5Jx20/9.5Jx20
タイヤ前/後:245/40 R20 99Y/275/35 R20 102Y
ピレリPゼロ★M0
スペアタイヤ:なし(パンク修理キット)

変速機

形式:9速AT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:5.35/9.3 
2速:3.24/15.4 
3速:2.25/22.2 
4速:1.64/30.4 
5速:1.21/41.2
6速:1.00/49.9 
7速:0.87/57.3
8速:0.72/69.2
9速:0.60/83.0

最終減速比:-

燃料消費率

AUTOCAR実測値:消費率
総平均:16.1km/L
ツーリング:23.3km/L
動力性能計測時:7.2km/L

メーカー公表値:消費率
低速(市街地):14.9km/L
中速(郊外):19.3km/L
高速(高速道路):23.3km/L
超高速:20.9km/L
混合:20.0km/L

燃料タンク容量:66L
現実的な航続距離:1064km
CO2排出量:131g/km

サスペンション

前:マルチリンク/コイルスプリング、スタビライザ
後:マルチリンク/コイルスプリング、スタビライザ

ステアリング

形式:電動機械式、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.2回転
最小回転直径:11.6m

ブレーキ

前:330mm通気冷却式ディスク
後:320mm通気冷却式ディスク
制御装置:ABS
ハンドブレーキ:電動、ステアリングコラム右側にスイッチ設置

静粛性

アイドリング:41dBA
全開時(4速):76dBA
48km/h走行時:60dBA
80km/h走行時:65dBA
113km/h走行時:67dBA

安全装備

ABS/ESC/LKA/ISA/視覚モニター/交通弱者認識機能付きAEB/ダッシュカム/センターエアバッグ/運転席ニーエアバッグ
Euro N CAP:テスト未実施
乗員保護性能:成人-%/子供-%
歩行者保護性能:-%
安全補助装置性能:-%

発進加速

テスト条件:すべりやすい湿潤路面/気温2℃
0-30マイル/時(48km/h):2.6秒
0-40(64):3.8秒
0-50(80):5.3秒
0-60(97):7.2秒
0-70(113):9.4秒
0-80(129):12.2秒
0-90(145):15.6秒
0-100(161):19.3秒
0-110(177):26.0秒
0-120(193):33.9秒
0-402m発進加速:15.5秒(到達速度:143.4km/h)
0-1000m発進加速:29.2秒(到達速度:167.7km/h)

ライバルの発進加速

ライバルの発進加速
BMW520d Mスポーツ(2017年)
テスト条件:乾燥路面/気温18℃
0-30マイル/時(48km/h):2.5秒
0-40(64):3.9秒
0-50(80):5.5秒
0-60(97):7.4秒
0-70(113):10.0秒
0-80(129):12.9秒
0-90(145):16.8秒
0-100(161):21.3秒
0-110(177):27.4秒
0-120(193):36.6秒
0-402m発進加速:15.8秒(到達速度:140.1km/h)
0-1000m発進加速:29.0秒(到達速度:180.1km/h)

中間加速

20-40mph(32-64km/h):2.3秒(2速)/3.2秒(3速)

30-50(48-80):2.9秒(3速)/3.9秒(4速)/6.1秒(5速)

40-60(64-97):3.5秒(3速)/4.0秒(4速)/5.4秒(5速)

50-70(80-113):4.2秒(4速)/5.6秒(5速)/6.9秒(6速)

60-80(97-129):4.8秒(4速)/5.8秒(5速)/7.1秒(6速)/8.3秒(7速)

70-90(113-145):6.1秒(5速)/7.4秒(6速)/9.2秒(7速)/12.6秒(8速)/17.0秒(9速)

80-100(129-161):6.7秒(5速)/8.0秒(6速)/9.9秒(7速)/13.9秒(8速)

90-110(145-177):9.0秒(5速)/8.7秒(6速)

制動距離

テスト条件:すべりやすい湿潤路面/気温2℃
30-0マイル/時(48km/h):10.6m
50-0マイル/時(64km/h):28.7m
70-0マイル/時(80km/h):56.2m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:3.33秒

ライバルの制動距離

BMW520d Mスポーツ(2017年)
テスト条件:乾燥路面/気温18℃
00-0マイル/時(48km/h):8.2m
50-0マイル/時(64km/h):22.3m
70-0マイル/時(80km/h):43.4m

各ギアの最高速

1速:46.7km/h(5000rpm)
2速:77.2km/h(5000rpm)
3速:111.0km/h(5000rpm)
4速:151.3km/h(5000rpm)
5速:206.0km/h(5000rpm)
6速:238.2km/h(4782rpm)
7速:238.2km/h(4160rpm)
8速:238.2km/h(3443rpm)
9速:(公称値):238.2km/h(2869rpm)

9速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):1357rpm/1551rpm

結論 ★★★★★★★★☆☆

新型Eクラスは、明快な目標を持っている。伝統的なサルーンと、近未来の超コネクテッド電動車との架け橋になることだ。

実際、そのなじみやすいシェイプには最新のディテールと合理化されたデザインが盛り込まれた。パワートレインは、これまでよりは縮小されながらも多様なバリエーションを揃える。今回の2.0Lユニットは、ごく小さな問題を除けば、まだディーゼルが生き残るに値すると思わせてくれるこの上ないサンプルだ。

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結論:常識、快適さ、豪華さ、そして新しさ。すべてがうまくブレンドされている。    JACK HARRISON

最近のメルセデスが力を入れていた方向性とは異なり、このEクラスのインテリアには高価そうでラグジュアリーな感じがある。しかも、ダッシュボード全面にディスプレイを配した近未来的な仕様も選べる。以前のものより使い勝手が後退した部分もあるが、機能性は上々だ。

乗り心地と遮音性は、まだ改善の余地があるはずだ。しかし、ハンドリングの活発さは、おそらく予想する以上だろう。

先代モデルに対し、新型は大きな変化をしたのか、という疑問もあるかもしれない。だがおそらく、そちらは電動モデルの領分なのだろう。ライバルが立ち位置を変えても、Eクラスはこのカテゴリーの強固な砦であり続けるのだ。その役目を、このW214型は十全に果たしている。

担当テスターのアドバイス

イリヤ・バプラート

通常のクルーズコントロールは愛用するが、アダプティブタイプはあまり好きじゃない。でも、メルセデスディストロニックは別だ。まるで気持ちが通じているように機能してくれる。これまでに試した中で、断然ベストなシステムだ。

マット・ソーンダース

気温2℃の朝に乗り込んだ最上グレードのプレミアムプラス仕様で、よもやステアリングホイールヒーターのスイッチを探すハメになろうとは。そこで音声操作を試みると、未装着を告げる誰かのつれない声が返ってきた。英国仕様には、オプション設定もないらしい。たしかに北極圏からは外れているが、それでも寒ければ手は冷えるのに。

オプション追加のアドバイス

AMGライン・アドバンスで、キーとなるような装備は大概手に入る。プレミアム以上の装備でほしいのはスーパースクリーンと遮音ガラス、そして運転支援のアップグレードくらいだ。まだ英国内では試乗できていないが、おそらく乗り心地はE300eがベストだろう。

改善してほしいポイント

・MBUXのインターフェイスはEQEがベスト。OTAアップグレードでインストールし直すなりして、同等の機能を持たせてほしい。
・スポーツサス標準装備を見直し、エアサスも導入してほしい。
・遮音性の改善を。


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