唐揚げ天ぷらとんかつコロッケ……いわゆる“脂っこい料理”には、ついつい食べたくなる魅力があるものです。しかし、こうした食べ物や料理はなぜこんなにもおいしいのでしょうか。脂っこい料理にひかれてしまう理由について、管理栄養士の桜井このさんに教えていただきました。

不飽和脂肪酸には心疾患を軽減する作用も

Q.栄養としての「油(脂)」とは、どのようなものですか。

桜井さん「油(脂)は3大栄養素に数えられるものの一つで、栄養学では『脂質』と呼ばれます。脂質は主に『不飽和脂肪酸』『飽和脂肪酸』『トランス脂肪酸』の3種類に分けられ、トランス脂肪酸のみが自然界には存在しない脂質です。マーガリンやショートニングを生成する際に添加物として含まれるため、これを原料とするケーキやパンなどにも含まれます。

飽和脂肪酸は常温だと固形、不飽和脂肪酸は常に液体、というのが見た目の上での特徴です。飽和脂肪酸はバターや牛脂などが対象で、動物性の脂を指します。一方、不飽和脂肪酸オリーブ油、米油、えごま油の他、魚から取れる脂にも含まれます。

不飽和脂肪酸は、体内で生成できない『リノール酸』などが含まれている上に、酸化しづらく、心疾患を軽減する作用があるなど、良質な脂といわれています」

Q.油の成分は調理方法で変化するのでしょうか。

桜井さん「加熱しても酸化しづらいものと、そうでないものがあります。例えば、普段、調理油として用いられるサラダ油オリーブ油、ココナッツオイルなどは酸化しづらい種類に分けられます。反対に、えごま油などは、常温で摂取した方が酸化しづらいといわれています。

全ての油が当てはまるわけではありませんが、基本的に、不飽和脂肪酸に分類されるものは酸化してしまうと効果や機能を失いやすいため、酸化する前に摂取したいですね。ちなみに、酸化は空気に触れると始まってしまうため、油を開封したらなるべく早めに使い切りましょう」

Q.脂っこい料理についひかれてしまうのはなぜでしょうか。

桜井さん「脂っこい料理の代表的なものでいうと、天ぷら唐揚げといった『揚げ物』が思い浮かぶと思います。衣をつけて揚げる料理は、熱で水分が蒸発することで、中身のタンパク質が素材のうまみを閉じ込めて、『外はサクサク、中はジューシー』というおいしさと食感のよさが同時に楽しめる料理になるからではないでしょうか」

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 脂質にもさまざまな種類があり、魚やえごまなどから取れる油(脂)は病気のリスクを軽減するなどの効果があるといわれています。一方で、トランス脂肪酸や飽和脂肪酸が多い油(脂)は、悪玉コレステロール中性脂肪の増加を促すこともあり、大量の摂取は望ましくないとされています。もちろん、脂質は健康な体づくりに重要な栄養素ですが、日々の摂取量を適量にコントロールできるようにしましょう。

オトナンサー編集部

つい食べたくなるけど…