選挙・演説

「政党がもし人だったとしたら、どんな性格か」を調査してみました。昨年2月の「プロ野球12球団を擬人化 一番まじめ/おしゃれ/自由な人格の球団はどこ? 」の政党版です。

トンデモ質問のように思われるかもですが、昨年2月にも書きましたように、マーケティング業界ではよく「ブランド・パーソナリティ」という言葉が使われます。当該ブランドの現状や未来のあるべき姿を、人の性格(パーソナリティ)になぞらえて規定するという手法は、しばしば使われるものなのです。

呈示する政党は、NHKの世論調査(政党支持率)に合わせて、自民党立憲民主党日本維新の会公明党共産党国民民主党れいわ新選組社民党/みんなでつくる党/参政党の10政党にしました。

具体的な質問文は「もし以下の政党が実在の人間だったとすると、それぞれどのような性格だと思われますか? それぞれの党ごとに、あてはまる性格イメージをいくつでもお選びください」。

そして「ご存じない政党についても、政党名から想像してお答えください」と付記しました。「当てずっぽうじゃないか」というツッコミも来そうですが、実際の選挙では、政治や政党に詳しくない人が、投票の直前に見たポスターから、政党名からの(性格)イメージを手がかりに投票することは少なくないと思うので、今回の結果も、十分に意味があるものだと考えています。

ではまず結果の全容です。表左に並べた性格イメージ項目は後半、ちょっと遊び半分な項目になってしまいました。

 
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■10政党の性格イメージ

政党の人格イメージ調査

数表に情報量が多いので、見やすくなるよう、ちょっとだけ工夫しました。一言で言えば、全体の中で、特化して高い/低い箇所の視認性を高めるという工夫です。

・  まず「10党平均」の列を作ります(表の左側)。それぞれの項目についての10党の単純な平均値。

・  次に、それぞれの政党で、「10党平均」と比較して、高いところ(+10ポイント以上高い)にオレンジ色、やや高い(+5~10ポイント高い)ところにクリーム色を付けます。

・  同様に、「10党平均」と比較して、やや低い(-5ポイント以上低い)ところの数字を太字斜体に。

 

以下、似た結果となった政党をまとめながら、表から抜き出していきます。まずは最大政党の自民党をピンで。「頭がいい、特にちょっと算数が得意、ビール好き。あまり若々しくなく、ユーモアにも乏しい人」という感じ。

 

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■自民党「頭がよくてビール好き」、社民党「まじめ」な印象?

政党の人格イメージ調査

次は野党系です。一言で言えば「ちょっとまじめな人」という感じで、それ以外の特徴が見いだしにくい。ちなみに、そのまじめ度でいえば社民党がいちばん高くなっています。あと共産党の「鉄オタ」が極端に高いのが特筆されます。

政党の人格イメージ調査

続いて、比較的新しめの政党をまとめると、新しさからの連想か「若々しく、ユーモアのある人」というイメージが跳ね上がります。その反動で「まじめな」は少し低くなります。

 

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■新しめの政党はイメージそのまま

政党の人格イメージ調査

それにしても日本維新の会れいわ新選組が似ています(政策は異なるイメージですが)。特化して高くなっている「若々しさ」「ユーモア」は同水準。さらに「スポーツが得意」もほぼ同水準で、かなり近い性格イメージといえましょう。

ちなみに後半のちょっと遊び半分な項目で1位(かつ5%以上)となった政党は以下。

・ 「スポーツが得意」:日本維新の会(14.3%)

・「算数が得意」:自民党(18.0)

・ 「料理が得意」:社民党(9.4)

・「カラオケが得意」れいわ新選組(13.9)

・「ビールが好き」:自民党(38.4)

・ 「スマホの文字入力が早い」:みんなでつくる党(9.2)

・ 「鉄オタ鉄道オタク)」:共産党(24.2)

 

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■政党性格イメージの実態

以上が、例えば投票の直前に見たポスターで投票先を決める人々も含めた、政党性格イメージの総体にして実態なのです。どうでしょうか。政治や政党に詳しい人が抱くそれと、激しい乖離があると思いませんか?

最後に。じつは追加質問を聴いたのです――「では次にあなたの「理想の政党」を思い浮かべてください。もちろん架空の政党でも構いません。その政党が実在の人間だったとすると、どのような性格だと思われますか?」

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■国民が考える「理想の政党」は…

その結果が下記の「a.理想の党」で、先の「10党平均」との差分が右側の「a-b」の列。

政党の人格イメージ調査

「理想の党」にもっとも求められる性格イメージが「親切」でした。この「親切」、現状では各政党の数値はどんぐりの背くらべで、特化して高い政党が存在しません。「a−b」の差も大きく、つまりは現在の政党にいちばん欠如しているイメージ、いや価値だと考えられます。

ということなので、各政党に提案があるとしたら。次の選挙に向けて「親切」なイメージを高める戦略です。もちろん単なるイメージだけでなく、国民に対しての実体ある「親切」を追求する活動も展開しながら――。

 

■執筆者プロフィール

スージー鈴木

Sirabeeでは、音楽評論家、ラジオDJのスージー鈴木(すーじーすずき)さんの連載コラム【スージー鈴木のニッポンの民意】を公開しています。

毎回マーケットリサーチを実施し、そこから浮き彫りになる「ニッポンの民意」を世に問いていく連載です。今回は「10政党を人に例えたらどんな人?」に関する調査を掲載しました。

政党の人格イメージ調査 いちばん「まじめ」「セクシー」「カラオケが得意」そうな政党はどこ?