海外旅行にトラブルは付き物。なかには、避けようにも避けられない「ロストゲージ」といった問題もあるので、注意が必要です。今回は、国内外さまざまな場所への旅行歴が豊富なファッションスタイリストの地曳 いく子氏の著書『大人の旅はどこへでも行ける 50代からの大人ひとり旅』より、海外旅行を円滑に楽しむためのライフハックを紹介します。

機内持ち込み荷物のコツ

長距離フライトで機内に持ち込む荷物ですが、エコノミークラスとビジネスクラスでは持ち込む量が違います。

至れり尽くせりのビジネスクラス(LCCビジネス以外)の場合、機内でもらえるアメニティキットの中に、耳栓、歯ブラシアイマスク、ボディクリームなどが入っていますし、スリッパももらえます。

ですから基本、手ぶら! 食事や飲み物、お酒なども十分用意されているし、ノイズキャンセリングヘッドホンさえ備え付けのところが多いですよね。持ち込むものは、強いて言えば、顔の保湿クリームや着陸前に塗りたい日焼け止め、スマホの充電器などくらいでしょうか。

では、エコノミークラスの機内持ち込み荷物はどうしたらいいのでしょうか? 

私は、ビジネスクラスのアメニティを参考に歯ブラシ、機内での乾燥を防ぐボディクリームスリッパ、耳栓などを持っていきます。耳栓は防音だけではなく、離着陸の気圧の変化による頭痛を防ぐのに役に立っています。気圧の変化に弱い私は、離陸時も着陸時もシートベルト着用のアナウンスとともに耳栓を装着します。シートベルト着用のサインが消えた頃、機内の気圧が安定してくるので耳栓を外します。

飛行機に乗るたびに耳が痛くなっていましたが、軽減されました。

ロストバゲージは必ず起こる

避けたくても避けられないのが、ロストゲージ。フライトのたびに大量のスーツケースを扱う飛行機では、なんと100回に1回は起きることと聞いたことがあります。つまり50回往復したら1回は当たる。旅好きなあなたなら一度は経験したことがあるはずです。

避けられないなら自分でできる対策を考えるしかありませんよね。だからこそ手荷物に何を入れるかが重要になってきます。

私は、下着の替えとスマホの充電器、ソケットのアダプター、使い捨てコンタクトレンズメガネなど1泊するのに最低限のものは手荷物に入れておきます。万が一荷物がホテルに届くのが翌日になってもなんとか乗り切るためです。荷物が届くのが翌日になってしまう場合、航空会社によっても違いますが、当座の物を購入するために100ドルくらい費用を出してくれる場合もあります。

自分の荷物を見つけてもらうためにも、預けた時の荷物の半券はなくさないように。また自分の荷物の形状、スーツケースかバックパックか、色、素材は? 大きさは? などを英語で言えるようにしておくと、見つけてもらいやすくなります。

荷物につけるネームタグには、名前、電話番号、住所、国籍などの他にメールアドレスも書いておきましょう。

「小さな円盤」が荷物を救う!?

みなさん、AirTag(エアタグ)ってご存知ですか? Apple社が出している追跡装置で、500円硬貨くらいの大きさで、円盤型の小さなものです。お値段は5,000円くらい。

これが優秀で、手元から離れた荷物が今どこにあるのか、iPhoneやパソコンのアプリで追跡できるのです。スーツケースや荷物に入れておくと、万が一ロストゲージや紛失した時にも、荷物がどこにあるかわかるのですBluetoothリレー方式につなげて探せる仕組みらしく、世界中どこでも追跡してくれます。

私の友人はロンドンから帰国する際、AirTagを入れたスーツケースをロストゲージされてしまいました。追跡したところ、ロンドンヒースロー空港にあることが判明。最初しらばっくれていた航空会社のスタッフに「私のAirTagによると荷物はヒースロー空港にあるはず」と問い詰めたところ、無事に戻ってきたそうです。

私も国内で電車に置き忘れた荷物が、AirTagを入れておいたおかげで警察の遺失物センターから無事に手元に戻ってきたことがあります(もちろん遺失物センターの場所もAirTagが教えてくれました)。

電池は1年はもつ仕様で、入れ替えも簡単です。電池の替え時もスマホのアプリで教えてくれます。

ホテルに着いたら「まずWi-Fi」

私はホテルに到着してチェックインをする時に、確かめることがいくつかあります。まず、チェックアウトの時間(日本のホテルの場合、プランによってチェックアウト時間が違う場合がある)。安い宿の場合は門限、または夜間帰宅した場合の入館の仕方などです。

そして、忘れていけないのが、Wi-Fiのパスワード。大概ルームキーや部屋の案内、テレビの初期画面などに書いてあるのですが、なにしろ字が小さい。ローガンズ(老眼)の私には読み取り不可能なことが多いです。

もう部屋に入ってしまったら電話で聞くのも面倒ですし、「私、デジタル苦手なの」と言ってフロントの人に「パスワードを教えて、というかこちらに入力してください」とお願いし、その場でWi-Fiの接続を確認してしまいます。部屋ごとのパスワードの場合はメモに大きな字で書いてもらいます。

何しろ今はガイドブックや地図より、インスタグラムの投稿やGoogleマップで情報を確認する時代です。海外で、いくら現地SIMカードを装着していても、ホテルなど安心してWi–Fiがつながるところで下調べできるとパケットの節約になります。

また海外では、チェックインしてから荷物を広げる前にシャワーや洗面台、トイレの水がちゃんと流れるか、部屋の電気は切れていないか、テレビのリモコンはつくかなどチェックします。もし不具合があった場合に部屋を替えてもらうのが簡単になるからです。

日本ではあまりこのような不具合は少ないかもしれませんが、部屋の匂いなど気になる場合があります。こんな時もまだ部屋を使う前なら替えてくれることが多いです。

地曳 いく子 スタイリスト  

(※写真はイメージです/PIXTA)