モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。2月15日(木)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「KDDIローソンが目指す新たなコンビニエンスストア」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。


※写真はイメージです



ローソン、三菱商事とKDDIの「共同経営」体制へ

2月6日(火)、KDDIと三菱商事、ローソンの3社は合同で記者会見をおこない、ローソンの株式を三菱商事とKDDIが50%ずつ保有する「共同経営」体制へ移行すると発表しました。

ローソンの経営にKDDIが参加することで、コンビニにどんな変化が起きるのでしょうか? その狙いについて塚越さんに解説していただきます。

ユージ:まずは、現在のローソン経営とKDDIのTOB(株式公開買い付け)について教えてください。

塚越:ローソンは、コンビニ業界ではセブン-イレブンファミリーマートに次ぐ3番手です。ローソンだけでなく「ローソンストア100」「ナチュラルローソン」といったブランドのコンビニもあり、全国におよそ1万4,600店舗を展開しています。

ローソンは現在、50.1%の株式を保有している「三菱商事」の上場子会社です。他にKDDINTTドコモも株式の2.1%を保有しています。

今回はKDDIが今年4月を目処に、およそ4,900億円を投じてローソン株のTOBを開始します。三菱商事と同じく50%の株式を保有するということです。TOBは9月頃には完了し、これによって三菱商事とKDDIが共同パートナーとしてローソンを運営すると発表しています。これによってローソンは上場廃止となります。

◆「リアル」「デジタル」「グリーン」を融合した新しい価値の創出

ユージKDDIローソンが手を組むことで目指す「新たなコンビニ」とはどんなものでしょうか?

塚越:今回の発表では「リアル×デジタル×グリーン」を融合して新しい価値を創出すると言っています。例えば、ローソンは1日の来客数が全店舗で1,000万人。このリアルの顧客と、KDDIの約3,100万人の顧客のデジタルを接点に、サービスで接続していこうというものです。

例えばローソンの店舗とKDDIブランドの店舗「au Style/auショップ」(※約2,200店舗)の機能をかけ合わせて、両社の商品やサービスをどちらでも扱えるようにすること。

また、ローソン店舗でリモート接客をおこない、銀行や保険などの家計サポートや、オンラインの服薬指導、オンライン診療、スマホのサポート窓口なども作るとのことです。

「生活拠点としてのコンビニをより便利」に、という感じですね。ただ、auを強化するといっても、「ローソンで(auの競合サービスである)ドコモの『d払い』などが使えなくなるといったようなことはない」と会見では述べています。

ユージ:今、街にあるローソンで銀行や薬局のリモート接客が受けられるようになる。コンビニをデジタル化して、より便利にしていこうということですね。

塚越:そうですね。他にもデジタル領域として、KDDIローソンが持っている会員情報(顧客の属性や購買情報)を連携させて、商品の開発や顧客満足度を上げようということです。

また、ローソンを拠点に遠隔地へのドローン配送をおこなうという構想も明らかにしています。物流2024年問題対策や、過疎地への買い物支援といったことにもつながります。

もう1つ掲げている「グリーン」については、ローソンに太陽光パネルを設置する話などが出ています。現状では「こうしたことをやりましょう」という話になっていますが、まだまだこれからなので、どうなるか分かりません。個人的には、コンビニの店員さんは今でもたくさん仕事があるのに、さらに業務の負担が増えるのではないかとも思いました。現場の負担が増えた分は、(企業に)カバーしてほしいと思います。

ユージ:確かに、できることが増えると、その分、店員さんの業務も増えますよね。なので、賃金を上げるとか、人手を増やすといったことも必要になってきそうですね。

◆競合他社が築く「経済圏」への対抗も狙いか

吉田:今回の共同経営での可能性、そして狙いは何だと思いますか?

塚越:やはり「デジタルをリアル店舗に使いたい」ということが狙いです。ECの配送は早くなっていますが、全国のローソンから商品を配送するならもっと早くなるので、Eコマースに本格的に参加したいと述べています。こうした技術をKDDIとの連携で強めたいというところなので、これは実際に強化していくだろうなと思います。

さらにいえば、KDDIは競合他社が、いわゆる“経済圏”を構築していることに対抗したいと考えられます。楽天モバイルは、楽天市場などの楽天経済圏がありますよね。ソフトバンクも「Yahoo!ショッピング」などで顧客の囲い込みがあります。KDDIにも「au PAY マーケット」などがありますが、ドコモd払いなどと比べても、ちょっと弱い。ローソンには「Ponta」というポイントもありますが、これも正直、競合他社と比べるとちょっと弱いです。「両社の提携で経済圏を強化したい」、ここが一番の狙いだと私は思います。

◆「ローソンに行くと面白い!」と思えるものを作れるのか?

ユージローソンの竹増貞信(たけます・さだのぶ)社長は、GoogleやAmazonなど「GAFA」に並ぶ企業を目指すという目標も掲げていますが、いかがでしょうか?

塚越:「GAFA」に並ぶというと、まだ厳しいのかなと思います。今回の発表でいろいろやりたいことが分かりましたが、(楽天やYahooのような)経済圏を作るにしても、具体的な話となると、オンライン服薬など、どれだけ(実現)可能か計画していかないと(判断が)難しいのかなと思います。ビッグテックには立ち向かえないのかなとも思います。

ただ、通信業界がここまでリアル店舗と手を組むことはめずらしいので、ドコモソフトバンクがやっていないことに挑戦する意気込みは感じます。日本が人口減少するなかで、コンビニ業界も頭打ちです。そのようななかで、何かできるのか? というチャレンジは面白いと思います。「ローソンに行くと面白い!」と思えるものを作れるかどうか、ここにかける意気込みはいいかなと思います。

ユージ:そこは興味深いところですね。


吉田明世、塚越健司さん、ユージ



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2月15日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年2月23日(金・祝) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/
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