タイトルで「二進法でやってる店」とオチがわかっているのに、わかる人はツッコみ、わからない人は頭をひねる……。人によって得手不得手がはっきりしがちな理数系のネタを直球でぶつけた2コマ漫画に、X(旧Twitter)で2万8000件超のいいねが寄せられている。

【漫画】2コマ漫画本編を読む

話題を呼んだのは、あくまでクマ(@akmd_kuma)さんが2023年12月、自身のSNS上に投稿した創作2コマ「二進法でやってる店」。1コマ目ではお店に1人で訪れた女性客が、店員から「何名様ですかー?」と呼びかけられ、女性は指を1本立てる、というありふれた光景が描かれる。だが、その指を見た店員は「29名様ご案内でーす!!」とアナウンス。タイトル通り二進数で読み取ったというオチなのだが、読者からは「2名様では?」「どっちの端を0と定義していいのか迷わない…?」「11101って言え」と、理屈が分かったからこそさまざまなポイントで異論やツッコミが集まった。

作者のあくまでクマさんは本作のほかにも、「ガブリエルのラッパ」という空間図形をオチにした4コマや、「間違えて買った漫画」というシチュエーションに因果のループという現象をあてはめたりと、数学・物理学のネタと日常の光景を組み合わせた作品を複数制作している。そんな理系ギャグを描く狙いを、あくまでクマさんに訊いた。

■わからなくても「何となく楽しんでもらって」

――「二進数でやってる店」が話題です。本作のアイデアについて教えてください。

【あくまでクマ】アイデアは飲食店に行ったときに思いついたもので、この漫画と同じように店員さんから人数を聞かれた際、口頭ではなく人差し指で伝えたのですが、もし「指の意味が伝わってなかったら」と考えたのがきっかけです。そこから「別の伝わり方をしたら」と考えを広げ、それを二進法と結び付けてできた漫画です。実際のところ口頭で「1人です」と言えばいいのですが、1人で来たことをを口に出すのを少し恥ずかしくてためらっていましたので、指だけで人数を示してしまうことに共感してくれる人もいてくれたのかな、と勝手に想像して安心してます。

――あくまでクマさんは理系に分類されるネタや、前提知識が必要なネタをたびたび描かれています。間口が狭いかもしれない題材であえて描く狙いや楽しさを教えてください。

【あくまでクマ】何気ない日常的なシチュエーションに、日常では使わないような専門的な用語が出てくるとギャップがあっておもしろいかなという考えで描いていますね。読む方によっては知らないネタもあると思うので用語の解説を入れることはありますが、話の流れとして解説を入れるのが難しそうなときは省いています。そのときは、ネタが何かをあまり考えず、何となく楽しんでもらって、どこかの機会でそのネタを見たときに思い出していただければと思ってます。あとは、いつも漫画を読んでもらってる友人からは「タメになった」と言われることがありましたので、ちょっとした雑学のシェアという気持ちもあります。

――ちなみに、あくまでクマさん自身はこうした題材をどのようにアイデア出しされているのでしょうか?

【あくまでクマ】昔から科学系のネットニュースを読むのが好きで、最近も科学系の解説動画を観ることが多いのでそこからインプットしています。あとはゲームをいろいろと遊ぶのですが、ゲームの中で登場する雑学とかもインプットすることはありますね。

――何が“理系ネタ”と定義するかも線引きが難しいですが、ご自身が理系ネタと思う中でお気に入りの作品を教えてください。

「かしこい犬」という漫画が気に入ってます。科学系のネタの中でもモンティ・ホール問題が昔から印象に残っていて、4コマ漫画を描き始めてから題材にしたいと思っていたので、それを作品として作れたので特に気に入ってますね。題材にしたいのに4コマ漫画として作り上げていない理系ネタというのは今もいくつかありますので、それを作り上げていくのを今後の目標の1つにしてます。

取材協力:あくまでクマ(@akmd_kuma)

わからければ思わず頭をひねりたくなる、数学ネタの2コマ漫画に反響/あくまでクマ(@akmd_kuma)