ラブホテルは、さまざまな事情を抱えた人たちが利用する。特殊な場所であるだけに、そこでは“珍ハプニング”に遭遇することも……。

ラブホで彼女とイチャイチャのはずが…

 以前付き合っていた彼女とラブホに入った東郷敦さん(仮名・30代)は、そこで“とんでもないカップル”に遭遇した。彼女と居酒屋で酒を飲みながら仕事の愚痴や近況報告をしていた東郷さんは、お互いに忙しくずいぶんと“ご無沙汰”だったこともあり、「明日休みだから、久しぶりにラブホ行かない?」と切り出した。

「彼女も乗り気で、私たちはコンビニで酒やつまみを買ってラブホに向かいました」

 東郷さんが住む地域は田舎で、そのラブホはバンガローのように1棟ごとに独立したタイプだったそうだ。

「フロントがなく、そのまま部屋に入ってチェックインを済ますという流れでした。会計はエアシューターで行うのですが、その日はそれが壊れていたんです」

 東郷さんたちは、管理人を待つことに……。

◆衝撃の一言「あの、部屋を譲ってもらえませんか?」

 すぐにチャイムが鳴り、ドアを開けると、そこには40代半ばに見える男女の姿があった。東郷さんは同じラブホを何度か利用したことがあり、「管理人さんっておじいちゃんだったよな……変わったのかな?」と思いつつ、「ま、いいか」と料金を支払おうとすると、その男女から予想外の言葉が……。

あの、部屋を譲ってもらえませんか?

「当然、耳を疑いましたよ。管理人ではなく、カップルでした。丁重にお断りしたのですが、そのカップルはなかなか引き下がりませんでした。こんな体験初めてで、面白半分で理由を聞いてみると、ちょうど僕らで最後の部屋が埋まってしまったらしいんです」

 そして、そのカップルは「お互いが不倫中で、なかなか会えない」「近くの別のホテルはどこも満室」「頼むから譲ってほしい」としつこく迫ってきたというのだ。

 すると、部屋の中で聞いていた彼女が、困っている東郷さんを見かねて一喝!

私たちも早く愛し合いたいの、邪魔しないで!

 ちょうどそこに管理人が現れて事情を話すと、ようやくカップルはその場から去っていったと、東郷さんは振り返る。

「なんともカオスな時間でした。酔っていたとはいえ、彼女のあんな男前な一面が見られてよかったです」

予備校前で清楚なお姉さんに声をかけられ…

 極めて特殊なラブホ初体験を話してくれたのは、当時浪人生だった三島聡さん(仮名・20代)だ。繁華街にある予備校に通っていた三島さんは、その裏口にサラリーマン風の男性が立っているのをよく見かけていたという。

「今思えば、派遣型のそういう店の待ち合わせ場所に指定されていたのだと思います。ある日、裏口から教室へ上がろうとすると、背後から『こんにちは』と見知らぬ女性に呼び止められました。振り向くと、『今日はよろしくお願いします』と自分の店名と名前を言い、にっこり微笑んだんです」

客と間違われている。これは否定しないといけない」と思った三島さんだったが、「はい、よろしくお願いします」と答えてしまったのだとか。

「清楚な雰囲気のお姉さんでした。自制心とかいろんな気持ちを好奇心が凌駕したんだと思います……」

◆客のフリしてラブホに突入

 そして2人で近くのラブホテルへ……。

「不安はあったものの彼女に導かれて部屋に入りました。初めて入るホテルはきらびやかで、摩訶不思議でした」

 彼女から「緊張してる? こういうお店初めて?」などと聞かれ、三島さんはごまかすように曖昧な返事を続けたという。

「入室したときから興奮していたので、会話だけですでに爆発寸前でした。『じゃあ、シャワー行きましょうか』という彼女は、さらに追い打ちをかけるように、するすると洋服を脱いでいきました」

 三島さんが下着姿になった彼女を鼻息荒く見つめていると、彼女の携帯が鳴った。

 電話を切った彼女は、半裸の三島さんを見て、「お兄さん、お客さんじゃないのね!」と呆れたように言い放ったそうだ。

◆バレて怒られると思ったが…

「私が、『なんとなく言い出せなくて……』と何度も謝罪をすると、彼女は『いや、間違えた私も悪いわ。黒いコートってだけで判断しちゃった、ごめんね』と優しい言葉をかけながら、私の股間に目をやったんです」

 女性は何も言わず、三島さんのそばにやってきてパンツを下ろすと……。「数秒で果てた」とのこと。そして、何度もお礼を言って部屋を出た。

 三島さんの人生において、これが最も幸せを感じた瞬間だったという。

<取材・文/資産もとお>

―[ラブホの珍エピソード]―


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