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 米国オレゴン州立大学の研究者によるなら、人間はたった1人で100機以上のドローンを指揮して、ミッションを遂行することが可能であるそうだ。

 『Field Robotics』で昨年12月に発表されたその研究では、1人の人間はたとえ100機以上のドローンであっても、仕事量に圧倒されることなく、きちんと監督できることを実証している。

 それはたとえば、ドローンによる荷物の配送、自然環境や都市での災害対応、あるいは軍事作戦など、大量のドローンが必要になる作業をたった1人の「ドローンの群れ指揮官」が効果的かつ経済的にこなせるということだ。

【画像】 1人で何機のドローンをコントロールできるのか?

 4年間行われたこの研究は、国防高等研究計画局(DARPA)の攻撃型スワーム(群れ)戦術プログラムから派生したものだ。

 最大250機の自律型ドローン(マルチローター式飛行ドローンと地上ローバー)を、建物が視線や通信を妨げる都市環境で動かして、人間がどの程度のドローンを管理できるのか調査された。

 これを実現するために、オレゴン州立大学のロボット工学者ジュリー・アダムス氏らは、市販の技術をベースに、「スワーム(群れ)指揮官」と呼ばれるたった1人の人間がドローンの大群をコントロールできるだけの自律的なシステムを開発した。

 さらにシステム面やソフトウェア面だけでなく、1人だけで地上と空中のドローンを管理することを可能にするユーザー・インターフェースも開発されている。

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小型ドローン / image credit: Karl Maasdam

人間は100機以上のドローンをコントロール可能

 だが、いかに専用のシステムやインターフェースがあったとしても、そもそもたった1人で大量のドローンを操作するなど、どうすればいいのだろうか?

 それと似たことをしているのは、スポーツチームの監督かもしれない。たとえばサッカーの監督は、11人の選手たちがそれぞれやるべきプレーを細かく指示する代わりに、チームとして取るべき全体的な戦術を与える。その上で、適宜細かく指示を出して、微調整を図る。

 スワーム指揮官の役割もそれと同じようなものだ。そして実験では、しかるべく訓練を受けた指揮官ならば、たった1人でも100機程度のドローンをきちんと指揮できることが実証されている。

 米軍の施設で行われた実験では、1人のスワーム指揮官が監督するドローンを少しずつ増やし、生理学的センサーを通じて10分ごとに作業負荷やストレスレベルを計測した。

 最終的には100機以上のドローンが使われたが、スワーム指揮官はたった1人でもミッションを完了できたという。

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スワーム指揮官が受ける作業負荷推定値は、過負荷の基準を頻繁に超えました。しかし、それは一度に数分間程度のもので、温度や風がきつい状況でも、指揮官はミッションを成功裏に完遂できました(アダムス氏)

 たった1人で数多くのドローンを指揮できる。それは荷物の配送、自然環境や都市での災害対応、軍事作戦といった大量のドローンが必要になる作業を、効率的かつ経済的に実行できるということだ。

[もっと知りたい!→]銃を持ったロボット犬がドローンから降り立つ。ディストピアな未来を暗示する映像が話題に

 ゆえにこの研究は、ドローン活用の幅をさらに大きく広げるはじめの一歩と言えるだろう。近い将来、求人にスワーム指揮官(ドローンの群れ操縦者)というポストが登場するなんてことだってあるかもだ。

References:One person can supervise ‘swarm’ of 100 unmanned autonomous vehicles, OSU research shows | Oregon State University / One person 'swarm commander' can now control 100 drones / written by parumo

 
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人間は1人で何機のドローンをコントロールできるのか?100機以上を指揮できることが判明