クリンスマン監督(右)の右腕としてチームを支えてきたヘルツォーク氏(左)。そんな名伯楽が物議を醸した騒動を振り返った。(C)Getty Images

 サッカー界で波紋を広げた内紛の舞台裏を当事者が振り返った。現地時間2月17日、韓国代表のヘッドコーチを務めていたアンドレアス・ヘルツォーク氏が、オーストリアの日刊紙『Krone Zeitung』にコラムを執筆。世間を賑わせた“卓球騒動”について言及した。

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 各国に衝撃を与えたのは、カタールで行われたアジアカップ準決勝(ヨルダン戦)の前夜に起きた新旧エースによる衝突だ。夕食後の出来事に他の若手選手たちともに騒ぎながら卓球に興じたというイ・ガンインは、それを咎めた主将のソン・フンミンに反発。襟首をつかまれると手を挙げて応戦し、もみ合いに発展した。

 これが英紙『The Sun』など海外メディアでスクープされると韓国でも波紋を広げると、騒動の発端となったイ・ガンインはSNSで謝罪。それでも22歳の俊英に対する国内のバッシングは過激化の一途を辿っている。

 そんな一大騒動を目の当たりにしていたのがヘルツォーク氏だ。今月16日にアジアカップでの成績不振を問われる形で、ユルゲン・クリンスマン監督とともに解任の憂き目に遭った名伯楽は、『Krone Zeitung』のコラムで「ソン・フンミンイ・ガンインの感情的な殴り合いはチームに影響を及ぼした」と指摘。そして、赤裸々に自身の考えを綴った。

「重要な試合の前夜に、ソン・フンミンイ・ガンインという2人の世代を代表するスターが殴り合うという対立が勃発するとは、誰も想像できなかった。もちろん私も想像していなかった出来事だ。あんなことは練習中のピッチ上でしか見たことがない。まして食堂ではありえないことだった。たった数分で、我々が何か月もかけて築き上げた塔が、全て崩壊したような感じだった」

 わずか1年で終焉を迎えた韓国代表での指導キャリアについて「短かったが、勉強になったし、今も美しい経験だったと感じている」と記したヘルツォーク氏。そんな現役時代に「アルプスのマラドーナ」の異名を取った百戦錬磨の名手をしても、“卓球騒動”は前代未聞だったようだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

「ありえない」クリンスマン監督“参謀役”が韓国代表の卓球騒動に衝撃意見「スターの殴り合いが勃発するとは想像できなかった」