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 遺伝子工学の進歩は、日常生活に革命をもたらす新たな技術を提供する。暗闇で光る発光植物「ホタルペチュニア(Firefly Petunia)」が開発され、アメリカ合衆国農務省(USDA)がこれを承認し、予約販売が開始された。

 Light Bio(ライトバイオ)社が開発した「ホタルペチュニア」には一般的な植物である「ペチュニア」に、発光キノコのDNAが組み込まれており、植物だというのに光を放つ。

 昼間は心を癒す観葉植物として、夜は葉や花から放たれる、幻想的な緑色の光りを楽しむことができるという。

 現在アメリカ国内で29ドル(4350円)で予約受付中だ。

【画像】 元気に成長するほど光が強くなる植物

 ホタルペチュニアは明るいところでは普通のペチュニアとほとんど同じだ。だがバイオルミネッセンス(生物発光)技術を応用し、発光キノコからもらった遺伝子のおかげで、ぼんやりと光を放つ。

 その光は新芽や新しく成長した部分ほど強い。だから植物の輪郭を暗闇からくっきり切り取るかのように光ってくれる。

 また光は、植物が元気であるほどに、そして日光をたくさん浴びるほどに強くなる。きちんと育てれば月明かりほどにもなるというのだから、お世話のしがいがあるというものだ。

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栽培方法は通常と変わらず

 特別な栄養や栽培法が必要なわけでもないので、愛情をもって大切に育ててやれば、誰だって神秘的な光を楽しむことができる。

 ただホタルペチュニアの輝きは代謝に関係しているため、たとえば近くに熟したバナナやリンゴなどを置いておくという裏技があるようだ。

 こうした果物から放出されるエチレンガスは、植物の代謝をうながすので、ホタルペニチュアをいっそう明るく輝かせてくれる。

発光物質「ルシフェリン」が作用

 ホタルペチュニアが光るのは、ホタルや発光キノコと同じく「ルシフェリン」という発光素の作用だ。

 植物の細胞壁にある化合物「リグニン」には、「コーヒー酸」という分子が含まれている。

 発光キノコの場合、ある酵素によってこのコーヒー酸がルシフェリンに変換される。するとまた別の酵素がルシフェリンを酸化させ、その時に陽子が放たれる。これが光の正体だ。

 ホタルペチュニアには、発光キノコのDNAが組み込まれており、コーヒー酸をルシフェリンに変える酵素やそれを酸化させる酵素を作り出すことができる。だから、発光キノコホタルのように光る。

 このような光る植物を作る技術自体は、35年以上前からあった。だが、それがようやく販売されることになったのは、このほど米国農務省(USDA)が米国内での販売を承認したからだ。

 現在ライトバイオ社は、ホタルペチュニアの予約を29ドル(約4500円)で受付中だ。

 ただし、あくまで米国内向けとのことなので、日本に住んでいるお友達はせめて動画でその輝きを楽しんでほしい。

References:Glowing plants by Light Bio / You Can Now Buy Gene-Hacked Houseplants That Glow in the Dark / USDA approves stunning bioluminescent "firefly petunias" for sale / written by hiroching / edited by / parumo

植物を光源に。暗闇で光る植物を作り出す研究が進められている(米研究)

植物が照明になる未来。光を蓄え、繰り返し充電できる発光植物が作り出される

一方フランスでは、生き物が町を照らしていた。生物発光を利用した街路灯

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日本で青紫色に光る新種のゴカイが3種発見され、怪談にちなんだ名前が付けられる

 
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暗闇で光る植物が米農務省に承認され販売開始に。発光キノコの遺伝子を組み合わせたもの