民放公式テレビ配信サービス・TVer初の完全オリジナル番組「最強の時間割〜若者に本気で伝えたい授業〜」シーズン2のLesson13が2月16日に放送された。SNSで200万人のフォロワーを抱える人気コスプレイヤーのえなこが講師として登場。一億円という驚くべき収入の中身や、その裏に隠された華やかではない努力について明かした。

【写真】えなこが鈴木絢音にスマホで写真を撮るポイントを伝授する

■「最強の時間割」とは

「最強の時間割 ~若者に本気で伝えたい授業~」は、さまざまな業界のトップランナーを講師として招き、学生や社会人に「知っておいてよかった」と思える“考え方のヒント”を届ける民放公式テレビ配信サービス「TVer(ティーバー)」の完全オリジナル番組。

2022年12月から約半年にわたり、放送された同番組が好評を受けて帰ってきた。シーズン2は11月3日よりスタートし、シーズン1に引き続きラランド・ニシダが副担任役、ラランドサーヤが生徒役。そして新しく生徒役として元乃木坂46秋元真夏が参加する。

■2023年の収入は驚きの一億!コスプレを職業に変えた第一人者・えなこが登場

今回の講師は、SNSのフォロワー200万超え、様々な雑誌やテレビ等で大活躍のプロコスプレイヤー・えなこ。登場早々、生徒たちはオリジナルの衣装を着たえなこにカメラを向ける。これはイベントの際に、ファンがえなこを360度囲んで撮影する定番のスタイルを再現したもの。日本で最も有名なコスプレイヤーである彼女の周りには毎回、巨大な輪が出現し、通称“えなこウォール”とも呼ばれている。即座にポージングを決めるえなこに、生徒たちからは「可愛い!」という歓声が上がった。

そんなこんなで楽しく始まった今回の授業。生徒たちが真っ先に気になったのは、その収入源だ。コスプレはあくまでも趣味で、仕事にはなり得ないと思っている人も多いのではないだろうか。しかし、えなこの2023年の収入は約一億円。事務所の取り分も含めると、実際には二億円ほど稼ぎ出している。

収入源はどこなのか。番組ではえなこの2023年の主な仕事を一覧で紹介。雑誌52誌、テレビ100本、広告契約10本と一年でものすごい量の仕事をこなしていることがわかる。まさに趣味を仕事に変えた第一人者であるえなこ。自身の収入を公開しているのも、コスプレは趣味にとどまらず、職業になることを知ってもらうためだという。

しかし、そこには目に見えない数々の努力がある。昨年の新語・流行語大賞にもノミネートしたアニメ「推しの子」の人気キャラクター・星野アイのコスプレでは、目の中に特徴である星が。実はレタッチもえなこの仕事で、瞳の加工も自身で行ったそう。他にも衣装はオーダーだが、ウィッグ選びやメイクもセルフ。ただ撮られていればいいだけではない。

また、「SPY×FAMILYヨル・フォージャーや「ONE PIECEボア・ハンコックのコスプレ写真からは、えなこの身体能力や体の柔軟性も伺える。ファンがいる作品だけに、何よりも再現性にこだわっているえなこ。中には際どい衣装を着る必要もあるが、「露出もキャラクターへのリスペクト」と語った。

■コスプレ写真がSNSで話題になったえなこに誹謗中傷の声も

えなこはいかにして“日本一のコスプレイヤー”となったのか。番組ではその歴史を深掘りしていく。愛知県名古屋市で生まれ育ったえなこは中学時代にコスプレを始めた。最初は家でコスプレをする“宅コス”からスタート。そのきっかけとなった「涼宮ハルヒの憂鬱」の涼宮ハルヒなど、大好きなキャラクターと同じ服を着るだけで満足だったという。「当時は恥ずかしがり屋で人前に出る勇気はなかった」とえなこは意外な過去を明かした。

そんなえなこがコスプレイヤーとして有名になったのはコミケで撮影された写真がネットに上がり、拡散されたのがきっかけ。彼女にとってもコミケは今ほどコスプレ文化に対して寛容ではなかった世の中で、唯一自分をさらけ出せる場所となっていく。

そうしてコスプレ界で一躍人気者となっていくえなこだったが、もちろん良いことばかりではない。誹謗中傷にも晒され、容姿について揶揄するような声も耳に入るようになったという。中にはイベントでわざと鼻毛が見えるように下からフラッシュをたいてえなこを撮影し、ネットにアップする人も。傷つきながらも「絶対に負けない」と気持ちを持ち直し、今では鼻毛を全部抜いているそうだ。

残念なことに有名人にはこういう体験がつきもので、元乃木坂46秋元真夏鈴木絢音も同じく辛い思いをしてきた。鈴木に至っては握手会で直接ファンから「思ったより可愛くないね」と言われたこともあるそう。本当は誹謗中傷する人がいなくなればいいが、えなこは「誹謗中傷されているのは自分ではなく、えなこというコスプレイヤー。自分はプロデュース側の人間」と思うことで乗り越えていると語った。

■「こんなキャラクターや世界観があったらいいな」な写真集

誹謗中傷にも負けずコスプレを続け、2017年にコスプレイヤーとして初めて「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で表紙を飾ったえなこ。その時に「結構、自分頑張ったな」と思えたという。2020年には内閣府の「クールジャパン」アンバサダーに就任。オファーを受けたのは、自分がより有名になることで偏見に晒されがちなコスプレの地位を向上したかったから。「コスプレが広まった暁には世界遺産で撮影ができるかもしれない」とえなこは想像の翼を広げる。

そんなえなこは、ある常識破りな写真集を自費出版している。それはアニメやゲームを題材としていない、「こんなキャラクターや世界観があったらいいな」を自分で創作したオリジナルキャラクターの”コスプレ”で構成された写真集。コミケなどで1日あたり1千万円を売り上げているが、撮影代・カメラマン代・衣装代・スタジオ代・印刷代の全て自分持ちのため、手元にはほとんど残らないという。だが、それもひとえにコスプレの良さを広めるためなのだ。

番組では、スマホで写真を撮るコツも披露。その前にニシダがカメラマンとなって鈴木を撮影してみると、完成した写真にえなこから「観光地風の写真」と辛辣なダメ出しが入る。そこで、えなこがお手本を見せることに。最初のコツはインカメにし、撮られる人にアングルを決めてもらうこと。そして自分が一番可愛いポーズを決めてもらったら、カウントダウンで撮影をする。この時、画角を少し斜めにするのがポイントだ。その差は目前で、えなこが撮影した写真には鈴木と10年の付き合いがある秋元から「今までで最高の写真!」という言葉も挙がった。

最後に、番組恒例の「カッコいい大人とは?」という質問に、えなこは「事務所の社長」と回答。えなこのマネージャーでもある“きゅーん”こと、乾曜子はコスプレイヤーとしても活動している。そんな乾社長に熱が出たら病院に連れて行ってもらうなど、プライベートでも支えてもらっているというえなこ。「この人のおかげで今の私がいる」と感謝を述べ、お世話になった社長のためにも「お母さんになってもコスプレを続け、老若男女問わずコスプレを楽しめる世の中にしたい」と熱い想いの丈を明かした。

「TVerで学ぶ!最強の時間割」にコスプレイヤーのえなこが講師として登場/(C)TVer