洞窟

アメリカ・カリフォルニア州で、丘の斜面に「洞窟」を掘って生活しているホームレスの人々が急増しており、近年急速に進みつつある社会問題を浮き彫りにしているという。『USA Today』『Fox News』などの海外メディアが報じた。

 

■川沿いに穴を掘って生活

カリフォルニア州の地元放送局CBS13によると、ホームレス生活をしている人たちが、トゥオルミ川の下流域に穴を掘って暮らしているため、地域に住む人々は大きな危険にさらされているようだ。

地元のモデスト警察やトゥオルミ・リバー・トラスト、ボランティアの河川清掃団体「オペレーション9-2-99」は、最近になって洞窟やその周辺から約3,400キログラムのゴミを撤去したばかりだという。

 

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■大きな安全上の問題

問題の洞窟は道路から約6メートル下にあり、丘の斜面に沿って作られた間に合わせの階段から入ることができるという。

この地域の住民たちは、本来は人が住むには適さないはずの洞窟に住む大勢の住所のない人々に対して、安全性の懸念を表明している。

洞窟の近くに住む市民のトレイシー・ロハスさんは、『CBS13』のインタビューで「もしこれらの一つが崩壊したら、すべての洞窟が崩れて水の中に落ちてしまうでしょう」と語った。

 

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■環境汚染につながることも…

ロハスさんによると、洞窟の中には家具が完備されており、寝具や食料、医薬品のほか、暖炉や武器まで置かれていることもあるという。

トゥオルミ川では水位の上昇や侵食などが頻繁に起こるため、洞窟で暮らす人々の持ち物はたびたび川に流され、時にはそれが深刻な環境汚染を引き起こすこともあるそうだ。

ロハスさんはさらに「洞窟で暮らす人々だけでなく、そこを通る人々にとっても危険です。これは彼らと地域社会にとっての安全の問題なのです」とも語った。

またオペレーション9-2-99のクリス・グプティルさんは、「洞窟を埋めても、彼らはまた新しい洞窟を切り開くだろう」と、一時的な対策が根本的な解決にはならないと主張している。

 

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■都市部から追いやられた人々

カリフォルニア州はアメリカで最もホームレスの人々の割合が多く、そのうちの約3割となる16万人もの住居のない人々が暮らしている。

ロサンゼルス群では、昨年1月から衛生職員がより頻繁に「ホームレス掃除」を行うようになったため、地域から追い出され、避難所のない低地で暮らす人々が増えているという。

ホームレス支援組織で働くソレイユ・ゴさんは、「こうした掃討作戦で住む場所を追われた人々は、邪魔にならない場所を求めてますます地下やトンネルに隠れて暮らしている」と語っている。

カリフォルニアで「洞窟」を掘って住む人々が急増中 危険な場所でなぜ暮らすのか…