終身雇用が崩壊しつつあるこの時代、将来に「金銭的な不安」を抱えている人は少なくありません。そこで今回「お金に困らないための働き方」について、著書『一生お金に困らない脳の使い方』より、脳科学者の茂木健一郎氏が解説します。

成功者は給与所得を維持しながら事業所得も得る

終身雇用が崩壊しつつある現在では、「いつクビになってもおかしくない」「会社がなくなるかも」というように、多くの人が会社生活に不安を抱えています。

特に、会社での成績が上位に入るような優秀な社員や問題意識が高い経営者ほど現状に強い危機感を持ち、週末などの時間を利用して社外活動を始めています。

つまり、企業の耐用年数が短くなっている現代において、ある特定の会社だけで働き続けることは丁半博打のような危険な賭けなのかもしれません。

確かに、目の前の仕事に一生懸命取り組んで自分の市場価値を高める、あるいは会社の業務をきちんとやり遂げることによって高まる能力もあると思います。

しかし、会社に勤めるということは、イコール他人に依存した働き方だということでもあります。

上司が変わったことであなたの評価がまったく変わってしまうこともあるのです。組織に属していることで自分ではコントロールできないことが多くなります。

そのようなときの「保険」をしっかりとかけているのが成功者やお金持ちなのです。

簡単にいってしまえば、給与所得を維持しながら事業所得も得るという働き方をしているのです。

今の時代は収入の多様性を確保することが大切

ではここで、皆さんに質問です。

皆さんはたとえ1円でも給料以外のお金を稼ぐことができますか。

「会社で副業は禁止されている」あるいは「自分にはビジネスにするほどの特技はない」という人も少なくありませんが、会社での経験や能力、あるいは趣味や子どもの頃からの夢など、自分の人生で得た能力を棚卸しすれば、お金を稼ぐための「種」は誰もが必ず持っているものです。

私の場合でいえば、もともとは一企業の研究者ですから、当然そこでの給料しか出ません。ところが、本を書くことによって得る印税や講演料、さらにはテレビやラジオに出演したときの出演料などがいろいろと「合わせ技」になって、新たなお金が生まれています。

このように、収入というのは、その人間がどれだけイノベーションを起こすことができたのかという結果だと、自分の人生を振り返ってみて思うことがあります。

もちろん、日本の企業では、副業をよしとしないケースも多々あるかもしれません。しかし、これからの時代というのは、やはり収入の多様性を確保するというのは意外と大事なことだという気がしています。

それが脳内イノベーションの結果でもあり、「お金を生む力」が発達するからです。

脳科学者  

茂木 健一郎

(※写真はイメージです/PIXTA)