プレミアリーグでここまで25試合を消化し勝ち点「55」の3位につけ、リヴァプールマンチェスター・シティと三つ巴のタイトルレースを展開しているアーセナル。直近では5連勝中と好調を維持しており、とりわけその得点力の高さに注目が集まっている。

 夏の移籍市場でイングランド代表MFデクラン・ライスを筆頭に大型補強を敢行したアーセナルは、2年連続でクリスマスを首位で迎えるなどまずまずのパフォーマンスを見せていた。しかし、昨年12月24日に行われたリヴァプール戦を皮切りに公式戦4試合未勝利と不振に陥る。チャンスは作れどゴールが遠く、当該期間で奪った得点は僅かに「2」。決定力不足を指摘する声が強まり、ストライカー補強の噂も盛んに報じられた。

 ところが、ウインターブレイク期間に行われたドバイキャンプを経てアーセナルは息を吹き返す。新年最初のゲームとなったクリスタル・パレス戦に5-0で勝利すると、ノッティンガム・フォレストとの接戦を制し、優勝争いのライバルであるリヴァプールを3-1で撃破。さらにウェストハム、バーンリーとの直近2試合では6-0、5-0の大勝を飾っている。5試合での合計ゴール数は「21」で、実に今シーンここまでの総得点の3分の1以上を荒稼ぎした形だ。

 とりわけ存在感を発揮しているのがキャプテンを務めるノルウェー代表MFマルティン・ウーデゴーア。データサイト『Sofascore』によると、直近5試合で1ゴール3アシストをマークしているほか、20本のキーパスと5回のビッグチャンスクリエイトを記録。華麗なテクニックと創造性あふれるパスで攻撃を牽引している。

 また、イングランド代表FWブカヨ・サカとブラジル代表FWガブリエウ・マルティネッリの“両翼”も好調を維持。両者は直近5試合で合計9度もゴールネットを揺らしており、それ以前の20試合で挙げた得点数(8ゴール)を上回っている。さらにはインサイドハーフ(IH)とセンターフォワード(CF)で起用されているドイツ代表FWカイ・ハフェルツ、2試合連続で3トップの真ん中を任されたベルギー代表FWレアンドロ・トロサールも流動的な動きで相手を翻弄しつつ、得点に直結する働きを見せている。

 一時の不振を乗り越え、完全に勢いを取り戻したアーセナルウーデゴーアイギリス紙『イブニング・スタンダード』にて「中断前の数週間で我々に足りなかったのはゴールを奪うことだと思う。非常に多くのチャンスを生み出したが、決め切ることができなかった。しかし、ここ数試合はゴール前で素晴らしいパフォーマンスを見せている。ボックス内に非常の多くの選手がいて、その周囲で様々な状況が発生している」とコメント。ハフェルツも「ポケットを取りに行くポジションは自分に合っていると思う」と手応えを強調した。

 なお、21得点のうち6得点はPKを含むセットプレーによって獲得。データサイト『Opta』によると、アーセナルは今シーズンここまでセットプレーから24得点を奪っており、これは2004-05シーズン以降のプレミアリーグにおける最多記録となっているようだ。セットプレーは現在のアーセナルの強力な武器となっており、セットプレーコーチを務めるニコラス・ジョバー氏の功績も大きいだろう。

 そんなアーセナルは現地時間21日のチャンピオンズリーグ(CL)・ラウンド16ファーストレグにてポルトと対戦する。ウーデゴーアは試合を前に「道のりは長く、まだまだ多くのことを改善できると思う。それが僕たちの考え方だ」と意気込みを示した。

年明け後のリーグ戦は5連勝と波に乗っているアーセナル [写真]=Getty Images