―[ゼロ恋愛 〜経験値ゼロから学ぶ恋愛講座〜/堺屋大地]―


 こんにちは、恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラーの堺屋大地です。

 筆者はLINE公式サービスにて、年間約1000件のペースでチャット恋愛相談を受けています。また知人経由で対面の相談を受けることも多く、性別・年齢問わずさまざまな方の恋のお悩みをうかがってきました。

 2020年国勢調査によれば、日本人の「生涯未婚率」(50歳時の未婚割合)は年々上昇しており、女性は17.8%、男性に至っては28.3%にも及びます。そんななかで、恋愛がうまくいかないという方々にも筆者の知見が少しでも役に立てばなによりです。

◆SNSを騒がせた婚活ドキュメンタリー

 さて、2月4日と11日に前後編で放送されたドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)の婚活特集が、SNSを賑わせました。

「結婚したい彼と彼女の場合 令和の婚活漂流記2024」と題されて放送されたこの前後編は、結婚相談所を訪れる数人の男女に密着するという内容。2022年に放送された第1弾に続く第2弾という位置付けです。

 一昨年の第1弾のときも、恋愛経験が少ないにもかかわらず、男性への要求が過剰だったアラサー女性がSNSを騒がせましたが、今回もクセが強いべつのアラサー女性が話題に。

 今回の第2弾の密着対象のひとりは、実家で母と暮らす交際経験ゼロの29歳男性。東大卒のアラサー女性と交際していたものの、女性が彼の家事能力を疑い、毎日毎日手料理の写真をLINEで送らせていました。ですが、最終的に学歴や経済力の差を理由に男性がフラれてしまうという結末。

 このように『ザ・ノンフィクション』では、クセが強い婚活女子がたびたび登場するのですが、そういった女性たちにイライラしてしまう視聴者が続出していたのです。

◆自身の市場価値を見誤っている女性たち

 どうしてクセ強な婚活女子たちにイライラしてしまうのでしょうか。

 まず、視聴者たちからすると、その女性が自分の婚活市場における市場価値を客観視できていないように見えるから、という要因があるでしょう。

 あえて乱暴な言い方をするなら、「アンタ、自分のことなんもわかっちゃいねぇな!!」というイライラです。

 クセ強な婚活女子は、自身の市場価値をかなり高めに見積もっていて、当たり前のように自分が男性を“選ぶ側”・“見定める側”だと思い込んでいるから、高慢な態度になっているのかもしれません。

 けれど、当事者とは無関係な第三者として冷静に番組を観ている視聴者からすると、その女性がそこまでランクが高いように見えないため、現実的な市場価値を自覚せずに過剰要求する女性に苛立ちを覚えてしまうというわけです。

◆婚活とは理想と確率が反比例するもの

 また、実は婚活の構造はシンプルなのですが、クセ強な女性はその簡単な仕組みに気付いてないのかもしれません。

 それは、「理想の高さ(条件の多さ/条件のレベル)」と「結婚できる確率」は反比例するという構造。

 相手に求める条件の数が多く、条件のレベルが高いほど成婚できる確率は下がり、逆に妥協に妥協を重ねて条件の数を減らし、レベルを下げていくほど確率は上がるもの。

 わかっている人からすれば、当たり前すぎるほど当たり前なこの構造を、きちんと理解していない女性が意外といるのです。

◆実はたいていの人は99%結婚できる

 あえて乱暴な言い方をするなら、「本当に結婚したいならもっとリアルに妥協しろや!!」というイライラです。

 わかりやすくするために極論で言うと、自分の理想の条件の数々をひとつも1ミリも妥協したくないという人は、結婚できる確率は1%もないと思います。

 逆に、確率をとことん高めることに“全振り”するならば、条件を全部取っ払い、年齢も容姿も職業も年収も性格もなんでもいいというふうに割り切って、本当の意味で誰でもウェルカムにすれば99%結婚できます。

 でも、いくらなにがなんでも結婚したいからといって、生涯のパートナーとなる相手の条件を全部撤廃できる人なんていないため、多くの婚活女性は理想と妥協の折り合いをつけていきます。

 具体的に言うと、自分のなかで絶対に譲れない条件と、折れて妥協できる部分を精査していき、妥協できるところはできるだけ妥協して条件設定を組み直し、結婚できる確率を60~80%ぐらいにして婚活に臨むというのがセオリーなのです。

◆妥協が現実的なラインに追いついてない

 この婚活の構造を理解している視聴者たちからすると、『ザ・ノンフィクション』のクセ強な婚活女子たちは、妥協が追い付いていないように見えたのでしょう。

 彼女たちは彼女たちなりに理想の条件を緩和しているつもりなのだとは思います。

 しかし、客観視している視聴者からすると、その妥協が現実的なラインに全然追いついていないように見える。クセ強な女性に対して、あなたの市場価値でそんな高条件を掲げているうちは結婚できる可能性はめちゃくちゃ低いよ……、そう助言したくなってしまうというわけです。

——婚活市場における自分の市場価値を客観視できておらず、さらに結婚の確率を現実的なラインまで上げるための妥協が追い付いていない。これがイライラの根源だったのです。

<文/堺屋大地>

【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。現在は『現代ビジネス』、『文春オンライン』、『smartFLASH』などにコラムを寄稿。LINE公式サービス『トークCARE』では、カウンセラーとして年間で約1500件の相談を受けている。X(旧Twitter):@SakaiyaDaichi

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