◆「エアブラシ」で描かれている神田明神の屏風絵

 都心にある神社として親しまれている神田明神(神田神社)。

 この神田明神は、ドラマ『VIVANT』に登場したり、アニメ『ラブライブ!』や『シュタインズ・ゲート』の聖地としてアニメツーリズムのスポットになっていたり、煤払いにロボット掃除機が登場したりと何かと話題になる神社だ。

 そして、同神社には立派な龍の屏風絵が奉納されているのだが、この屏風絵がなんと「エアブラシ」で描かれたものなのだという。

 エアブラシという古来にはなかった新しい技術・技法で描かれた「双龍図屏風」の作者である龍画家・絵獅匡(えしまさ)氏はこう語る。

「京都の神社仏閣にある先人たちの描いた龍画を見て、『後世に残していけるような龍を描いていきたい』、『神社仏閣に龍を描きたい』という思いを抱き始めたのですが、神社仏閣に龍を描くのは一筋縄ではいきませんでした。15年前は、日本画じゃないと受け入れられないという返事が多かった。僕の龍画は、エアブラシを活用したもの。つまり、門前払いを食らっていたというわけです」

 技術こそ現代のものだが、絵獅匡氏の龍画はご覧の通り立派なものだ。絵の良し悪し以前に門前払いされる日々に苦悶していた絵獅匡氏だが、相談相手だった雑誌編集者のSさんの助言もあって神田明神と出会った。結果、神田明神は奉納を快く受け入れてくれたという。

◆神社は「いまを生きる人」の寄す処になる場所

 こうした現代の技術や風俗について寛容な理由について、神田明神の禰宜(ねぎ)である岸川雅範氏はこう語る。

神田明神には野村胡堂が書いた小説・銭形平次の碑があります。記念碑の発起人の中には、テレビで放送された時代劇『銭形平次』で主役を演じた大川橋蔵さんや長谷川一夫さん、文藝春秋やフジテレビの名前も見られます。ドラマなどの撮影も行われ、最近ではTBSドラマ『VIVANT』の撮影があり、話題になりました。

 アニメや漫画、ゲームとのコラボですが、平成14年に『リカちゃん』とコラボして以来、『チョロQ』『犬夜叉』『ケロロ軍曹』『ラブライブ!』等とコラボをしました。漫画では『こち亀こちら葛飾区亀有公園前派出所)』や『宇宙兄弟』、2023年(令和5年)には、話題になった『【推しの子】』とコラボしました。

 そのほかにも、初代タイガーマスク(佐山サトル)さんや、髙見澤俊彦さんともコラボしました。

 神社というものは、その時代に生きる人々が集う場所です。現代の神社へはいまを生きる現代の人々が足を運びます。それ故、現代文化を受け入れることは、神社にとって至極普通のことなのです」

◆「奉納プロレス」が失礼? 禰宜さんの逆質問に納得!

 実は以前、神田明神は境内で『奉納プロレス』を開催したことがある。その時に、あるメディアから、『神様に失礼ではないんですか?』という質問が飛んだという。その時、岸川氏は、『なぜ失礼なんですか?』と逆に聞き返したのだとか。

「神社というのは聖俗一体の場所なんです。江戸時代から、勧進相撲を開催される場として神社仏閣が選ばれていますし、縁日には多くの屋台が並び、焼きそばを食べたりお酒を飲んだりしてきました。だから境内で奉納プロレスを神様に見せるのはまったく失礼なことじゃありませんからね」

 絵獅匡氏が描いた双龍図屏風の龍は、二匹の龍が中心にある地球を囲み、守護している様が描かれている。慈しみと厳しさをたたえながら大宇宙を護っているようだ。

「宇宙に浮かぶ地球の姿というのは、数百年前の先人は決して見ることができなかったものです。そんな地球の姿を入れて、エアブラシという新しい技法で描いた龍画です。これには、東京の中心を守護し、その時代を生きる人が集う場として機能してきた神田明神に奉納する意味があるものだったと思っています」

◆2024年は60年に一度の「最強の辰年」

 そして、辰年の2024年。絵獅匡氏は神田明神の協力のもと、誰もが龍を描くことができて、龍神の加護を引き寄せることができる「なぞり龍」の本を上梓した。

「絵獅匡さんには2016年に、現代の龍画家として『双龍図屏風』を奉納していただいて以来の御縁で、神田明神にある資料館で絵獅匡さんの龍画の特別展をこれまでに2回開催しました。2024年の辰年には、絵獅匡さんとコラボした絵馬やお守りも授与しています」(岸川氏)

「ぼくが神田明神に参拝に行くようになってから、空に『龍雲』が頻繁に現れるようになり、引き寄せ力が爆上げしました。本を見て、なぞり絵を描いた皆さんも、併せて参拝に行くことで、幸運を引き寄せるきっかけになるかもしれません」(絵獅匡氏)

 辰年である2024年は、実は60年に一度の甲辰の年でもあり、辰年の中でも60年に一度の最強の一年になるという。龍のなぞり絵にトライし、東京を守護する神田明神に参拝しに行くことが、龍神の最強の力と幸運を引き寄せるきっかけになるかもしれない。

取材・文/『引き寄せ力アップ! 開運なぞり龍』取材班 写真/『引き寄せ力アップ! 開運なぞり龍』より

神田明神に奉納されている絵獅匡氏による龍画「双龍図屏風」(撮影:絵獅匡)