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 オーストラリアで、頭のてっぺんにあいた孔(あな)で呼吸していたらしい、3億8000万年前の古代魚の化石が発見されたそうだ。

 この新たに発見された風変わりな魚は「ハラジカデクテス(Harajicadectes zhumini)」と名付けられた。

 『Journal of Vertebrate Paleontology』(2024年2月5日付)に掲載された論文によれば、大きな牙を持ち、骨のようなウロコにおおわれた捕食者で、成長すると40cmほどになったという。

【画像】 あたまに息を吸うあながある古代魚を新たに発見

 この風変わりな古代魚、「ハラジカデクテス(Harajicadectes zhumini)」が発見されたのは、オーストラリア北部のノーザンテリトリーにある「ハラジカ砂岩層」だ。

 その地層は3億8000万年前のもので、ハラジカデクテスはデボン紀中期・後期に生きていたと考えられる。

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ハラジカデクテスのイメージ。頭の孔で呼吸をしていたようだ / image credit:Illustration by Brian Choo, Flinders University

 その学名「Harajicadectes zhumini」のHarajicadectesは、「ハラジカの噛みつく者」という意味。「zhumini」は、初期の脊椎動物の研究に大きく貢献した中国科学院のジュ・ミン教授に因んでいる。

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 頭に息を吸う孔(あな)があるなんて奇妙に思えるだろうが、魚的にはそれほど珍しいものではないそうだ。

これらの気門は水面で呼吸をするためのものだと考えられ、現代ならアフリカに生息するポリプテルスも水面で空気を取り込むための同様の構造を持っています(フリンダース大学 ブライアン・チュウ博士)
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2016年に発掘されたハラジカデクテスの化石。ほぼ完全な背面の様子を知ることができる / image credit: Brian Choo, Flinders University

 この特徴は、デボン紀中期-後期のほぼ同時期に、複数の「四足形類」に現れているという。

 今回のハラジカデクテスのほか、3億8000万年前の肉鰭類「ゴゴナスス」や「ティクターリク」や、さらには直接的なつながりがない条鰭類の「ピッケリンギウス」にも見られる。

 なお四足形類は海岸の浅瀬で待ち伏せをした捕食動物だったと考えられており、一部は陸上に進出して、鳥類・哺乳類両生類爬虫類へと進化していった。

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同じくハラジカデクテスの化石 / image credit:Flinders University

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大気中の酸素減少と関連性か?

 こうした気門が出現したのは、ちょうどデボン紀中期に大気の酸素が少なくなった時期に一致する(なおデボン紀にも大量絶滅が起きているが、一説によるとその原因は植物であるらしい)。

 「エラ呼吸を空気中の酸素で補えたため、有利だったと考えられます」(フリンダース大学 ジョン・ロング氏)

 ハラジカデクテスは、四足形類の各グループにみられる特殊な特徴をいくつも持っている。そのため、四足形類のどこに位置するのか正確に特定するのは難しいとのことだ。

References:Full article: A new stem-tetrapod fish from the Middle–Late Devonian of central Australia / 380 million year old fossilised fish discovered in Australia breathed through holes on top of its head / written by hiroching / edited by / parumo

 
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頭のてっぺんのあなで呼吸をしていた3億8000万年前の古代魚の化石を発見