東武鉄道の新型特急「スペーシアX」が、本来の走行区間ではない野田線で試運転を行っています。どのような目的があるのでしょうか。

日中時間帯の東武野田線に「スペーシアX」が出現

2023年7月にデビューした東武鉄道の新型特急「スペーシアX」。現在は浅草~東武日光・鬼怒川温泉間のみで運行されています。ただ2024年2月に入り、日中時間帯の東武野田線アーバンパークライン)で試運転を行っています。どのような目的があるのでしょうか。

スペーシアX」は、国内で最多となる6種類もの座席を備えていることが特徴。私鉄最大級の個室「コックピットスイート」やカフェが併設された「コックピットラウンジ」、2人での利用に便利な「ボックスシート」など、様々な形態の座席を備えています。国内でも屈指の豪華特急として人気を集めています。

これまで「スペーシアX」は2編成しかありませんでしたが、このほど新たな2編成が増備され、3月16日ダイヤ改正以降は計4編成体制で運行される予定です。

野田線には現在、500系「リバティ」を使用した特急「アーバンパークライナー」が平日夜間帯のみ走っています。ただこの列車は、春日部駅の高架化工事の進捗により、野田線と本線(スカイツリーライン)をスムーズに行き来できる渡り線が無くなることから、2024年3月16日ダイヤ改正で廃止される予定です。

あと1か月足らずで野田線を走る特急自体が見納めとなる状況の中、フラッグシップ特急である「スペーシアX」が日中時間帯の野田線に出現し、沿線の注目を集めました。一体、何が行われようとしているのでしょうか。

なんで野田線で走らせてるんですか!? 聞いてみた

東武鉄道によると、「スペーシアX」の野田線における試運転は、乗務員訓練を目的とする習熟運転の一環。2月13日春日部~大宮間を3往復し、今後も実施する予定とのこと。

同社は「スペーシアXはダイヤ改正後、4編成のうち3編成を毎日の定期運用に使用し、残る1編成を清掃やメンテナンスに充て、サービスや運行を維持します」としたうえで、「定期運用で使用しない1編成については、余力がある場合に臨時列車や団体貸切列車として活用していくことを検討しており、習熟運転はその一環で実施されたものです」(広報部)と話します。

現在は運行区間が限られている「スペーシアX」ですが、車両増備で運用の幅が広がり、臨時列車や団体貸切列車として野田線を走る可能性が出てきたといえます。「臨時列車などの運転時期などについては、ホームページなどでお知らせします」(同)としています。

なお、春日部駅野田線伊勢崎線を結ぶ渡り線については、全て廃止されてしまうわけではないため、「スペーシアX」は引き続き野田線に入線することは可能です。

東武鉄道の新型特急「スペーシアX」(画像:写真AC)。