体重79.8kg。まずいな、と思いつつも、健康だからまあいいか、とやり過ごす日々。


『痩せるより大切なことに気づいたら、人生で一番楽に17kgのダイエットに成功しました』KADOKAWA(MF comic essay)の著者、なぎまゆさんもそのひとりでした。しかし体重が健康を脅かしたからどうでしょう。



『痩せるより大切なことに気づいたら、人生で一番楽に17kgのダイエットに成功しました』 KADOKAWA(MF comic essay)なぎまゆ(著)



◆40代、初めて感じた健康の危機
30代で、なぎまゆさんは変形性股関節症を発症。変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)とは「脚の骨と骨盤の間のクッションである軟骨が磨り減り、炎症や痛みを起こす病気」です。


40代になり、生活に支障をきたすレベルで痛みが増すようになりました。


同じ時期に、同業種で同世代の友人が糖尿病を発症。おりしも体型まで似通っているふたり。すべての原因が太り過ぎとは言いません。とはいえ、要因のひとつであるのは事実。こうして、なぎまゆさんはダイエットを決意したのです。























◆食事を我慢するのは無理



写真はイメージ(以下同じ)



ダイエットのルールとして筆頭に上がるのが、食事の制限。制限がかかるとたちまちストレスになり、リバウンドの一途に。この末路を経験済みの、なぎまゆさんは、食事の我慢をやめました。


注目したのは、摂取カロリーよりも摂取栄養素。「必要な栄養素が足りてないと空腹を感じやすくなる」とのデータを参考に、「栄養バランスの取れた食事内容に変える」「我慢せずとも体重が減る食事量を模索する」ふたつの目標をたてたのです。


ダイエットで一番大切なのは、ダイエット生活を習慣化し、日常にすること。「料理は量も味も手間もお金も無理をしたくない」とは、なぎまゆさんだけではなく誰もが譲れない条件ですよね。なぎまゆさんはダイエットアプリを利用し、栄養バランスや食事メニューを管理しました。


最初の1ヶ月でマイナス3kg。摂取カロリーは1800kcal~2000kcalですから、我慢した印象はまったくありませんよね。


◆自分に合った運動を追求
40代以降のダイエットで注意したいのが、筋肉量の減少。痩せた代わりに虚弱や冷え症になったのでは本末転倒です。やはり運動は必須! でも時間がない、場所がない、運動が苦手など、人には様々な事情があります。加えてなぎまゆさんには持病もあり、「お手軽で効果的で股関節に負担がかからない運動」を探しました。


結果、小型のフィットネスバイクを購入。隙間時間に10分から15分「娯楽や休憩のついでの運動」という感覚で継続できたのです。自重トレーニングは自分のライフスタイルに合うものを吟味する、これが成功への近道。こうしてなぎまゆさんは、ダイエット4ヶ月目にしてマイナス8.5kgを達成したのです。


◆少しのリバウンドに慌てない自分に驚き



ダイエット中の人にとってつらい時期が、イベントが重なる年末年始。飲む、食べる、寝る、がセットになれば多少は太るのもしかたありません。なぎまゆさんも2kgリバウンドしましたが、「慌ててない」自分にびっくりしたといいます。なぜなら、「今までちゃんと食べて体重を減らしてきた実績があるから」。


これがたとえば「たくさん頑張った、かなり我慢した」ダイエットだとしたらどうでしょうか。不甲斐ない自分自身に苛立ち、慌てて、はては自己嫌悪に陥っていたかもしれません。頑張りや我慢は決して悪いことではないのですが、ちょっとした失敗が発覚した時のダメージが大きいのです。


◆リバウンドをどう乗り越えるかが鍵
ダイエット中の停滞期や少々のリバウンドをどう乗り越えるかが、ダイエット成功のカギであり、ダイエットを日常に変えるコツ。「普段から無理をしないことが本当に大切」となぎまゆさん。10日後、無事に体重は元に戻りました。


約1年で、79.8kgの体重が63.0kgに。身長が171cmですから、かなりのナイスバディではないでしょうか。痩せるより大切なことは「食べるのを我慢しなくても体型を維持できる、身体と習慣を手に入れたこと」。本書には、身体だけではなく心のモチベーションを上げる秘訣がたくさん詰まっているのです。


<文/森美樹>


【森美樹】1970年生まれ。少女小説を7冊刊行したのち休筆。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)を上梓。Twitter:@morimikixxx



『痩せるより大切なことに気づいたら、人生で一番楽に17kgのダイエットに成功しました』 (MF comic essay)なぎまゆ(著)より