女性の場合、結婚相手の学歴を重視する人は決して少なくない。国立社会保障・人口問題研究所が発表した『2021年結婚と出産に関する全国調査』によると、結婚相手に求める条件のうち、経済力と職業に次いで男女間の開きが大きかったのが学歴。考慮する、または重視すると答えた男性の割合が27.3%だったのに対し、女性は51.7%とおよそ半数が相手の学歴を気にするようだ。

 その傾向は結婚相談所に登録したり、お見合いパーティに参加する女性ほど強いと言われており、現に男性側の入会、または参加の条件に“大卒以上”などの条件を設けているケースもある。地方都市在住の渡辺尚久さん(仮名・43歳)が独身時代に参加したお見合いパーティには学歴に関する条件はなかったが、相手女性から尋ねられたことは何度もあるという。

◆高卒だと伝えた瞬間、女性が塩対応

「でも、私の最終学歴は高卒。そういう質問をしてくる女性の大半は大卒か院卒を期待していたのでしょう。素直に伝えると途端に興味を失ったのか気まずい雰囲気になることが多かったですね」

 ただし、相手に対する条件があるのは男性参加者も同じ。女性たちもお金を払ってお見合いパーティに参加していたため、立場は同じだとあまり気にしないようにしていたそうだ。

 でも、そう割り切っていたつもりでも中には態度が目に余る女性も。特に印象に残っているのは30代半ばの頃に参加した某お見合いパーティでのこと。イベントの序盤、数分おきに違う相手と話をする中である女性から「渡辺さんは大学は地元ですか?」と聞かれ、いつものように高卒だと答えたとか。

 それに対する女性のリアクションが悪かったのは気づいていたが時間が余っていたため、今度は渡辺さんが質問。ところが、生返事を繰り返すだけで途中からはスマホをチェックし始め、彼の顔すら見ようとしなかった。

「彼女は私の学歴を聞いてくる前、地元の看護大を卒業していると話していました。仕事も看護師だったので収入もある程度あるでしょうし、高卒の自分は彼女の基準では門前払いだったんでしょうね。それでも態度があまりに露骨で失礼極まりなかったのでさすがにムカつきましたけどね

◆職業を知った途端、あからさまに態度を変えてきた

 しかし、相手のように態度には出す、そのまま時間終了で次の女性と交代。この日はもう絡むことはないと思っていたが、イベント後半のフリータイム中にほかの女性と喋っていると彼女が突如話に加わってきたのだ。

「私は行政書士をしているのですが当時は独立前でしたし、ただの会社員として参加していました。けど、フリータイム中にお喋りしていた子と趣味が同じでその話で盛り上がり、その後で仕事の話題になったので『実は……』と行政書士であることを明かしたんです。そしたら問題の女性も近くにいてたまたま聞いていたんでしょうね。乱入してきたのはその直後のことでしたから」

 まさに絵に描いたような手のひら返しだが、当然渡辺さんは好意を持つわけもなく、彼女のことは適当にあしらってスルー。イベントでは最後にカップルになりたい女性の番号を書いてスタッフに渡すが、この日は誰とも成立することはなかったそうだ。

◆イベント終了後に連絡先を聞かれるも…

 それでもこの結果自体はよくあることなので特に落ち込むこともなく会場を後にするが、そこで声をかけてきたのが問題の女性。諦めきれなかったのか「連絡先を交換しませんか?」と言ってきたのだ。もちろん、「すみません」と申し出を丁重にお断りしたのは言うまでもない。

「ただ、行政書士って弁護士や税理士に比べると平均年収は少ないですし、独立しても依頼が来なくて廃業する人もいます。司法書士とのダブルライセンスなら話は別ですけど、そもそも社会的ステータスが高いわけでもありません。彼女は誤解していたのかもしれませんが、勝ち組職業なんかじゃ全然なかったんですけどね(苦笑)

 一生を左右することだけに結婚相手に学歴をはじめ、さまざまな条件を求めるのは仕方ない。とはいえ、スペックによって態度をコロコロ変えるような相手は勘弁願いたいものだ。

<TEXT/トシタカマサ>

【トシタカマサ】
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。

―[学歴マウント]―


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