マンチェスター・ユナイテッドは20日、サー・ジム・ラトクリフ氏が会長を務めるイギリスの多国籍化学企業『INEOS(イネオス)』がクラブの株式25パーセントの取得を完了したことを発表した。

 2005年にマンチェスター・ユナイテッドを買収した現オーナーのグレイザー・ファミリーは2022年11月に売却を含め、あらゆる戦略的選択肢を検討するプロセスを開始したことを発表して以来、新オーナー候補による入札や話し合いが行われてきた。なかなか進展していなかったものの、2022年にチェルシーの買収にも動いていたラトクリフ氏が株式の25パーセントを購入する契約に合意したことが2023年12月に発表された。

 同時に、『INEOS』は株式25パーセントを約13億ドル(約1951億円)で取得するほか、フットボール部門の管理責任を委譲されることに加え、クラブの将来に向けて約3億ドル(約450億円)を追加投資する予定であることも発表されていた。

 これらの取引はすべての関係当局の承認を得ることが条件となっていたなか、今月13日にプレミアリーグが、同15日にはFA(イングランドサッカー協会)も承認したことが明らかとなっており、取引完了は時間の問題となっていた。

 そんななか、株式の公開買い付け期間が終了したことを受け、『INEOS』が正式にマンチェスター・ユナイテッドの株式25パーセントを取得したことが発表。1株あたり33ドル(約4950円)で取引され、1323万7834株を取得した。

 また、取引完了時に追加投資予定だった約3億ドルのうち2億ドル(約300億円)が追加融資され、『INEOS』の株式所有権は約27.7パーセントとなったことが発表されているほか、イギリスメディア『スカイスポーツ』では残りの1億ドル(約150億円)は2024年12月31日までに投資する予定となっており、最終的に『INEOS』の所有権は約28.9パーセントとなることが伝えられている。なお、これらの追加投資は本拠地『オールド・トラッフォード』のインフラなどに使用される見込みとなっている。

 取引が完了したことを受け、ラトクリフ氏はマンチェスター・ユナイテッドのクラブ公式サイトで以下のようにコメントを発表している。

マンチェスター・ユナイテッドの共同オーナーに就任することは大変名誉なことであり、大きな責任も伴う。これで取引は完了したが、ファンのために世界クラスの施設を備え、マンチェスター・ユナイテッドイングランド、ヨーロッパ、そして世界のトップに戻すという私たちの旅が始まったに過ぎない。これらの目標を達成するための取り組みは今日から始まる」

 また、共同会長を務めるジョエル・グレイザー氏も「サー・ジムを共同オーナーとして歓迎し、彼とINEOS Sportとは緊密に協力してマンチェスター・ユナイテッド明るい未来をもたらすことを楽しみにしている」とコメントを発表している。

[写真]=Getty Images