投資ブームのいま、株式投資を始めたいという人も多いでしょう。そこで必ず理解しておきたいのが、株式投資と「金利・為替」との関係です。この記事では、森永康平氏氏による著書『0からわかる!金利&為替超入門』(ソシム)から、株式投資をするなら必ず知っておくべき基礎知識をわかりやすく解説します。

登場人物

森永康平 …経済アナリスト。竹田と宮野に金利・為替の知識を教えてくれる。

竹田紗香 …輸出企業である自動車部品メーカーに勤める会社員(20代)。出世のため仕事に打ち込む。

宮野聡 …輸入企業である食品加工の企業に勤める会社員(20代)。住宅購入や投資を検討している。

金利が上がると株価は下落しやすくなる

宮野:株式投資って、いってみれば企業に投資するんですよね。

森永:そうですね。正確には、企業が発行した株を買うことです。株の価格(株価)は市場によって投資家が決めます。業績が連続して上がる、事業が大きくなるなどして、価値が高いと判断されれば株価が上昇します。買値より高い株価で売れば利益になります

竹田:金利や為替はどう関係するんですか?

森永:まず金利の影響から解説しますね。金利が上がれば景気が冷え込むので、企業の業績が落ち込みやすくなります。

宮野:業績が落ちるとだめなんですね。

森永:業績が悪化すると、企業の価値が下がったとみなされ、株価が下落しやすくなるんですよ

金利上昇時には特に「グロース株」が売られやすくなる

森永:金利上昇によって株価は下落しやすいですが、なかでもグロース株が売られやすくなります。

竹田グロース……成長中の株、ですか?

森永はい。グロース株は、将来的な成長が期待されている企業の株のことです。ただし、現時点であまり収益を出せていないものが多いため、金利が上がって業績が悪化すれば、将来性が薄くなったと判断され、売られやすくなります。

宮野:確かに、ちょっとしたことで業績が落ちたら不安になりますね。

竹田グロース株が下がり始めたら、すぐに売ったほうがいいんですか?

森永:短期投資の場合は、すぐに売ればよいでしょう。しかし、10年、20年スパンで投資したい場合、金利が上がってもグロース株を保有しておくと、将来もっと株価が上がる可能性があります

政策金利が低いほど株価は好調になりやすい

森永:2016年、マイナス金利政策という政策が始まりました。

宮野:金利がマイナス……ですか?

森永:市中銀行が日本銀行にお金を預けると、マイナス金利が発生──つまり、金利を払ってお金を預けることになりました。

竹田:どうしてそんなことをしたんですか?

森永市中銀行に、日本銀行にお金を預けるより企業に貸し付けたほうがいいと考えさせるためです。緩和策の一種ですね。実際、マイナス金利政策が導入された後は日本企業が潤い、株価が伸びました。

宮野:じゃあ、ずっと緩和を続けましょう!

森永:今現在はマイナス金利政策が続いていますが、将来的に解除される可能性もあります。マイナス金利の解除は金融緩和の終了を予見させ、株式市場が一時的に逆風になる可能性があります

為替(円高・円安)を目安に投資をするのも手

森永:最後は、為替と株式市場の関係です。為替の変動が企業にどんな影響を与えるかはわかりますか?

竹田:円安だと輸出企業やインバウンド企業が盛り上がって、円高だと輸入企業が盛り上がるんですよね。

宮野:なるほど! じゃあ、この動きを見て投資していけばいいんですね。

森永:その際に見ておきたいのが、想定為替レートです。企業は、事業計画を立てる際、想定される為替レートを事前に予測して業績などを検討しているんです。

宮野:企業が想定したレートから、為替がズレたらどうなるんですか?

森永:輸出企業が想定していたレートより円安が進めば、予定より利益が上がることになります。ただ、為替ヘッジの影響も無視はできないので、為替は参考程度に見るとよいでしょう。

 

イラスト ©平松慶

森永 康平

株式会社マネネCEO、経済アナリスト

※本記事は『0からわかる!金利&為替超入門』(ソシム)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。