北朝鮮の首都・平壌を走る平壌地下鉄は、朝鮮半島で初めてとなる1973年に開通したものだ。総延長は22.5キロ、2路線、17駅からなる。旧ソ連風の豪華なホームは、外国人観光客の定番コースとなっている。

平壌に駐在するロシア大使館は今月20日、北朝鮮外務省主催のツアーで、千里馬(チョンリマ)線の復興(プフン)駅から大使館近くの烽火(ポンファ)駅まで地下鉄に乗車したと、Facebookで明らかにした。なお、烽火駅は最近になって営業を再開したと記されている。

一行は新型車両に乗車したが、アップロードされた一枚の画像が話題を集めている。

ドアの上に設置されたLED表示機の右側に注目してもらいたい。ちょうど真ん中の駅は一文字となっている。「역」、つまり「駅」という意味だが、もともとこの駅は「統一駅」だった。

金正恩総書記は1月、最高人民会議(国会に相当)第14期第10回会議の施政演説で、韓国は統一すべき相手ではなく、「第1の敵対国、不変の主敵」だとし、「北半部」「自主、平和統一、民族大団結」など憲法に記された表現は削除すべきだと述べた。

これに伴い、駅名から「統一」が消されたものと思われる。ただ、単なる「駅」という駅名に変更になったのか、別の駅名が付けられたのかは不明だ。もしこのままにされるならば、朝鮮半島で最も短い駅名となる。ちなみに副駅名は青年公園、所在地は中区域の七星門通りだが、平壌地下鉄の駅名には所在地の地名とは全く関係ない名称を付けるのが通例となっている。

北朝鮮は最近、国歌にあたる「愛国歌」から、朝鮮半島を意味する「三千里」を削除したが、双方とも、金正恩氏の演説を受けての措置と見られる。

平壌市内には、1993年に完成した統一通りというマンション団地(地名としては統一洞)が存在し、そこを通る路面電車の2号線には統一通り1洞という停留所があるが、これも改称される可能性が高い。

これ以外にも三千里、統一以外にも、同胞、キョレ(同胞の意)、自主など、金正恩氏が指摘した統一関連の用語を冠した地名、機関や企業名の改称が今後相次ぐものと見られる。

金正恩氏が北朝鮮軍創建76周年に際して演説した(2024年2月9日付朝鮮中央通信)