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(写真:時事通信

幹事長時代の’16年から5年間にわたって約50億円の政策活動費を党から受け取っていたとされている自民党二階俊博元幹事長(84)。2月14日には、二階元幹事長が代表を務める政治団体が、3年間で書籍代約3500万円を支出していたことについて、「選挙区外の行政、議会関係者らに配布し、政策広報に努める」ためだったと説明し、その内訳を公表した。

「事務所は、書籍名や冊数、価格、領収書や銀行に振り込んだ際の伝票を公表しました。購入したのは17種類、計2万7700冊。購入書籍は“政策広報”のためで、“選挙区外の関係者に配布”したと、公職選挙法に触れていないことを強調しています。また、“出版社(作家)より最低買い取り数量を提案され購入”したものもあると説明。それ以外のケースでは“与野党の政治家から紹介されてまとめて購入”したものもあるといいます」(全国紙政治部記者)

公表された書籍で額面が大きかった順にあげると、二階元幹事長の政治家人生を描いた『ナンバー2の美学 二階俊博の本心』(林渓清著、大中吉一監修/ブックマン社)が5000冊で1045万円とダントツ1位。

第2位は、二階元幹事長と親しいという著者が書いた『政権奪取秘史 二階幹事長・菅総理と田中角栄』(大下英治著/さくら舎)が3000冊で475万2000円。ここまでは二階元幹事長についての著書だが、第3位は二階元幹事長と親交が深い東京都小池百合子都知事に関する『小池百合子の大義と共感』(大下英治著/エムディエヌコーポレーション)が3000冊で396万円となっている。

一体これらの書籍はどのような経緯で購入されることとなったのだろう。支払額が大きかった上位3社に話を聞いた。本稿では、3位と2位の「エムディエヌコーポレーション」と「さくら舎」について紹介する。

まずは、第3位の『小池百合子の大義と共感』(大下英治著/3000冊、396万円、2020/6/30)を出版したエムディエヌコーポレーション。出版までの経緯を担当者は次のように話した。

「コロナ禍で小池都知事の話題性が高かった時期だったので、弊社の現場から4月か5月に企画が上がりました。都知事選を7月に控えていたので、マスコミの露出も増えるだろうし、注目も集まっているので“イケる”のではと提案があったのです。選挙前に出版することが条件だったし、他社さんも小池さんの本を出してきますので、小池さんとも親しい著者にお願いして急いで選挙期間前に出版しました。

なので、弊社からの企画提案ですし、3000冊を買い取っていただくなどの取り決めなどは一切ありません。むしろお願いしてお忙しい時間の合間をなんとか縫っていただいたという経緯があります」

二階元幹事長から3000冊の注文があった際には驚いたという。

「受注したときはビックリというか、“まとめて買ってくれるのはありがたいね”という感じでした。(売れ行きについて)全体の発行部数はお教えできませんが、1番売れた他社さんの小池さん本に比べちゃうともう……」(前出の担当者)

第2位の『政権奪取秘史 二階幹事長・菅総理と田中角栄』(大下英治著/3000冊、475万2000円)を出版したさくら舎の担当者によると、出版の発端は、著者の大下氏による企画の持ち込みだという。

「大下さんと二階さんの話で本を出そうとなって、それでその際に“3000部買う”という話が出たんじゃないでしょうか。その場には僕は立ち会ってませんけど、こちらも“普通の書店でも売れるだろう”という判断があったのだと思います。

初版は6000部作って、元々の約束で3000部を二階さんのところで買うという形になっています。だから定価1800円の8掛けの3000部でその値段だと思いますよ。3000部というのは出版するときの最低ラインというか、3000部が書店で売れる見込みのあるものはやります」

購入の原資については「いや、それはちょっとこっちではわからないですよね」と、もちろん出版社が知る由もない様子だった。