ラブホテルは、さまざまな事情を抱えた人たちが利用する。特殊な場所であるだけに、そこでは“珍ハプニング”が起きることも……。

◆実家はラブホ街「思春期を迎えて“すごい立地だな”」

「私の実家はラブホ街にあったんです」

 そう話す前田裕子さん(仮名・20代)は、幼少期からラブホに興味を抱いていた。

「小さい頃はラブホについて、『あそこは何? 楽しいところなの?』と考えていました。妙にピカピカしていますから。看板を見ては『大人のおもちゃって何? 面白いの?』と親に気まずい質問をしていたこともいい思い出です」

 前田さんは思春期を迎えて自分自身がラブホを利用するようになって、改めて「うちって、すごい立地だな」と感じたのだという。

 初めて彼氏ができて利用したのも近所のラブホだった。

「ドキドキしながらビニールののれんをくぐり、“思っていた通り、ワクワクする楽しい場所!!”と思いながらタッチパネルで部屋を選びました。緊張がバレないようにエレベーターに乗り込むと、自分たち以外にもカップルが……。女性に見覚えがあるような、どこかで会ったことがあるような気がしたんですよね……

 そのときは、気のせいだと思っていたそうだ。初めてのラブホは快適だったのだが、数日後、前田さんはとても“恥ずかしい”思いをしたという……。

◆近所の人に目撃されていた

ラブホに入ったところを、近所の人にがっつりと見られていたんです」

 利用したラブホのスタッフとして幼なじみの母親が働いていたのだ。後で聞くと、部屋の清掃も担当してくれたらしい。それが母の耳にも届き、「お母さん、恥ずかしいわ!」と叱られてしまったのだとか。

幼なじみに愚痴ると、『次は、違う地域のラブホにしな』とアドバイスされました。さらに、“〇〇ホテルには●●のお母さん、△△キャッスルには……”という近所のラブホ情報に、唖然としました。どこもかしこも知り合いばっかり。それ以後、市内のラブホは避けています」

 また、エレベーターで同乗したカップルの正体もすぐに判明したという。その女性は、愛犬の散歩中に「かわいいですね」と声をかけてくれる、近所のお姉さんだったのだ。

「“派遣型”のお仕事をされている方だったんだなぁと、ラブホのエレベーター内で知ることになりました」

◆避妊具が破裂し婦人科クリニックに

 高校時代に友人の紹介で出会った男性に好意を抱いていたという近藤美樹さん(仮名・20代)は、その彼に“遊ばれている”と感じながらも、カラダの関係は続いていた。

「経験が浅かった私は、一度ラブホに行った相手をすぐに好きになりました。いつものようにラブホに入ったのですが、彼がいきなり『ゴム忘れた』と言い放ったんです」

 そして、ラブホに備え付けの避妊具を使うことになった……。

「初めて備え付けのものを使うことになり、少し不安だったのですが、彼が『大丈夫だよ』と安心させてくれたので……」と語る近藤さん。しかし、この判断が誤りだった。

 行為が完結に差しかかったとき、いきなり「パァン!!!」という音が聞こえたのだという。あまりの音の大きさに驚きを隠せなかった近藤さんは、「窓か何かが割れたのかと思いました」と振り返る。

◆不安で眠れなかった

 彼は「大丈夫だよ」と言いつつも、明らかに動揺していた。近藤さんは不安をつのらせ、彼が寝た後にゴミ箱を漁った。

「女の勘が働いたのでしょうか。ゴミ箱からはティッシュに包まれた破れた風船のようなものが出てきたんです。“あるはず”の中身は何も入っておらず、ティッシュで拭き取った形跡もありませんでした」

 当時、大学生だった近藤さん。その日は眠ることもできず、「妊娠したかもしれない」「避妊具 妊娠 リスク」「避妊具 妊娠」などとインターネットで検索した。“確実に妊娠した”と思い込んでいたそうだ。その後、婦人科クリニックに足を運んだという。

「クリニックのおじいちゃん先生に全てを打ち明けると、『妊娠はしてないな』とのことでした」

おじいちゃん先生に背中を押され……

「先生からは『その人と会うの、もうやめといたら?』と助言がありました。それで、彼への思いが一気に冷めて、誘いを断るようになったのですが、彼はナルシストなので、断られていることに気づいていない様子です。ただ、私は『もう絶対に会わない』と自分自身と先生に誓っています」

 婦人科クリニックを受診したことを彼には話していないという近藤さんだが、あれから3年ほど経った今でも誘われるそうだ。しかし、近藤さんが誘いに乗ることはもうない。

<取材・文/資産もとお>

―[ラブホの珍ハプニング]―


※写真はイメージです。