フォトジャーナリストの安田菜津紀さんが、SNS上で在日コリアン2世の父と自分に差別的な「ヘイト投稿」をされたとして、投稿者の男性に195万円の損害賠償を求めた裁判の控訴審で、東京高裁(吉田徹裁判長)は2月21日、1審・東京地裁判決を支持して、男性に33万円の賠償を命じた。

1審・控訴審判決いずれも、投稿は「出自に関する名誉感情の侵害(侮辱)」で違法なものだと認めたものの、原告が主張するような「差別」「差別だから違法」とは判断されなかった。

この日、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開いた安田さんは「勝訴はホッとした。しかし、差別の重みを司法で受け止めきれていない。現行法の限界が露呈したのではないか」と述べた。最高裁の判断を求めるため、上告も検討するという。

●安田さん「差別を禁じる法律が必要」

父親のルーツをたどる記事を書いた安田さんは2020年12月、自身のツイッター(現X)で記事を紹介したところ、「お前の父親が出自を隠した理由は推測できるわ」などのコメントが寄せられた。

安田さんは2021年12月、在日コリアン2世の父と自身に対する差別的な「ヘイト投稿」だとして、投稿者に対して損害賠償をもとめる裁判を起こしていた。

控訴審でも勝訴した安田さんは、インターネット上の差別的な投稿の被害は広範に発生しているとして、「SNSが殺傷力のある道具となって久しい」「救われない被害が今もこぼれ落ちていることは重く受け止めなければいけない」と指摘する。

そのうえで、包括的に差別を禁じる法律や、政府から独立した人権救済機関が必要だと訴えた。

原告代理人の神原元弁護士は「投稿を侮辱だけでなく差別と認めてほしかったが、認められなかったのは残念」と評価した。さらに踏み込んだ判断を求めるため、最高裁に上告することも検討するとしている。

ヘイト投稿訴訟、ジャーナリスト安田菜津紀さん二審勝訴も「現行法の限界が露呈した」