『League of Legends』(以下、『LoL』)に“また”注目が集まっている。

参考:【画像】MOBAの金字塔『LoL』の美麗なコンセプトアート

 きっかけとなったのは、ストリーマー・k4senが開催したコミュニティイベント「The k4sen」。いまをときめく人気タイトルから、開催ごとにひとつだけをフィーチャーして実施される同イベントにおいて、2023年末から今月頭にかけ、3か月連続で扱われたことから、実況・配信界隈を中心ににわかに熱量が増している現状だ。

 振り返れば『LoL』はこれまでにもさまざまなタイミングで注目の的となってきた。なぜ数あるMOBAタイトルのなかで『LoL』だけが、これほどまでにフリークの興味の対象となってきたのだろうか。その理由を考える。

■15年の歴史を持つMOBAの金字塔『LoL』

 『LoL』は、米・ライアットゲームズが開発・運営を担うMOBAタイトルだ。プレイヤーは、総勢150以上にも及ぶキャラクター(チャンピオン)のなかから、自身の好みやプレイスタイル、状況に合う1体を選択し、オンラインマッチングを通じてチームとなった4名の味方と協力しながら、敵の本拠地に設置されているオブジェクト「ネクサス」の破壊を目指す。

 マップは、上・中央・下の3つの「レーン」と、その間をつなぐ「ジャングル」で構成されている。勝利のためには、各エリアの防衛が手薄とならないよう、適切なプレイヤー配置、チャンピオン選択を行う必要がある。ときには、担いたいポジションや役割が味方と重なる場合もあるが、基本的には相談・譲歩することで、上レーン・中央レーン・下レーン・ジャングル・サポートのすべてを埋めなければならない。このような組織的な戦略性こそが、同タイトル、ひいてはMOBAジャンル全体の最大の個性となっている。

 『LoL』は、2009年10月にサービスが開始された。現在までの約15年のあいだ、定期的にチャンピオン/アイテムの新規追加、それぞれに対するバランス調整といった環境に対するテコ入れが実施されている。「最もプレイヤー人口の多い競技タイトル」としても有名で、世界中に1億人以上のフォロワーがいると言われている。例年秋に開催されている世界一を決める大会『League of Legends World Championship』では過去、賞金総額が7億円を超えたこともあった。

■注目を集める理由は『LoL』だけが持つ無二の性質に

 なぜさまざまな類似タイトルが存在するなかで、『LoL』だけが定期的に話題を集めるのだろうか。その理由は、同タイトルがMOBAの代表的作品として広く認知されていることにあると考える。今回、著名な配信イベントで扱われることになった背景にも、そうした前提からの影響が多分にあったはずだ。誰もが知っている、かつプレイヤーの多いタイトルであるからこそ『LoL』がピックアップされ、結果的に熱が注がれることにつながった。一連の流れは、同タイトルがジャンルのスタンダードであるからこそ生まれている好循環だと言えるだろう。

 MOBAをめぐっては、『Dota 2』や『SMITE』『Vainglory』『Mobile Legends: Bang Bang』『Pokémon UNITE』など、それぞれに個性を持つさまざまなタイトルがプラットフォームを問わず生まれてきたが、プレイヤー人口や浸透・定着率といった定量的な意味においては、どれも『LoL』を超えられていない実情がある。基本システムに関して、リリースされた2009年の段階(もしくはその後のアップデート)で同タイトルに実装されていた仕組みをベースにしていることも多く、潮目を変えるだけの革新性を盛り込めないでいる。このことは、『LoL』がMOBAとして完成されたシステムを持っていることの裏返しとも言えるかもしれない。

 上述のタイトルのうち、最も近い時期にサービスが開始された『Pokémon UNITE』では、「ポケットモンスター」という「MOBAを支えてきた層とは決して距離の近くないIP」が活用されたことで同ジャンルへの門戸が開かれたが、その一方で、カジュアルさに惹かれたユーザーが上達の道を突き詰めていった結果、(特に扱われる単語の由来や、著名なプレイヤーのルーツなどから)『LoL』に出会い、やがて同タイトルのプレイに至るという逆転現象が生まれている。本来であれば、古いタイトル、これまでプレイしてきたタイトルにマンネリや行き詰まりを感じ、新鮮さを持ち合わせた後発のタイトルにプレイヤーが流れていくのが道理である。しかしながら、ことMOBAにおいては、深入りすればするほど、原点に立ち返っていくという珍しい事象が起きている。同ジャンルに関わったプレイヤーは、最終的に『LoL』にたどり着く運命のなかにあると言っても過言ではない。

 他方、『LoL』が約15年前にリリースされたタイトルであるという点も、これらすべての理由に対し、追い風として作用している。PCが家庭用ゲーム機、スマートフォンに並ぶプラットフォームとして台頭しつつある現在、同タイトルが高いスペックを要求しないことがプレイのハードルを下げている面もある。10年ほど前までは興味を持ったとしてもゲーム機としてのPCを持ち合わせておらず、なかなか手の出しづらいタイトルだった『LoL』は、時代の変化により、誰もがいつでもプレイできるようなタイトルとなりつつある。イベントに参加したストリーマーの実況・配信を通じ、その影響が視聴者へと二次的に広がっている背景には、このような『LoL』の性質の存在があるのではないか。

 おそらく今後も、事あるごとに『LoL』は話題を呼び、新たなプレイヤーを獲得していくのだろう。たとえば、今回のようなイベントの開催や、既存タイトルの動向、『SMITE 2』のリリースなどはその一例だ。1人のMOBAファンとして、ジャンルに注目が集まることを喜ぶ一方で、その牙城を崩すような新規タイトルが現れる日を楽しみにしている。

(文=結木千尋)

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