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 イギリスで宮殿というと、おそらくほとんどの人が王室メンバーが常駐しているバッキンガム宮殿を思い浮かべるだろう。

 ロンドンの中心地に位置する同宮殿は観光名所として有名で、毎日多くの人々を惹きつけているが、イギリスにはこのバッキンガム宮殿よりも大きな宮殿がある。だが誰も住んでおらずゴーストハウスと化している。

 ケント州にあるハミルトン宮殿は、イギリス大富豪ニコラス・ファン・ホーグシュトラテンのために建てられた邸宅だが、40年間放置の状態で「サセックスの幽霊屋敷」と呼ばれている。

【画像】 サセックスの幽霊屋敷と呼ばれるハミルトン宮殿

ABANDONED £40 MILLION MANSION / PALACE OF A GANGSTER

 イギリスケント州にあるバッキンガム宮殿よりも大きなハミルトン宮殿は、「サセックスの幽霊屋敷」と呼ばれ不気味な廃墟となっている。 

 イギリス大富豪ニコラス・ファン・ホーグシュトラテン(79歳)が4000万ポンド(約75億7700万円)の費用をかけて建設していたものだが、1985年に工事がストップして以来、手つかずの状態で朽ち果てようとしている。

 

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 実業家のニコラスは、サセックス出身の最も裕福な人物の一人と言われていて、この地域に数十件の不動産を所有していた。

 まだ10代だった頃に切手を売って金を稼ぎ始めたニコラスはその後不動産業に転身し、22歳の頃にはサセックス州だけで350の不動産を所有していたという。

 1980年代の住宅ブームのころには、ニコラスが取得していた不動産は2000件以上にのぼっていたが、1990年代までにその90%を売却した。

 だが彼は、この広大な敷地をめぐって近隣住民との紛争が絶えなかった。

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事件で宮殿の建築を中断しそのまま40年

 ニコラスは1985年、かつての商売敵であるモハメド・ラジャに対し、暴漢を雇って死亡させたとして起訴された。2002年、モハメド・ラジャへの過失致死罪でを受けたが、控訴審で判決が覆りその後釈放された。

 その3年後、民事裁判でラジャ家に600万ポンド(現在の貨幣価値で約11億円)を支払うよう命じられたことから、ハミルトン宮殿の工事が再開されるめどはまったくたたなくなった。

 事件が発生してから約40年間、この邸宅は朽ちるに任され、田園地帯に荒れ果てようとしている。

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 誰も住んだことがなく、これから住む人もおそらくいないにもかかわらず、この崩れかけた不動産は莫大な投資の対象となっている。

 2022年に撮影されたドローン映像によると、足場と生い茂る木々に囲まれ敷地内には廃棄されたコンテナや建設機械などが散乱しているのがわかる。

 ゲート近くには『High Cross Estate, Private Property, Keep Out(私有地につき立ち入り禁止)』と書かれた看板のほか、「撮影中」「犬の放し飼い」「監視カメラ作動中」と警告する看板が複数ある。

 たとえ誰も住んでいなくても中に入ろうとするな、という明確なメッセージに見てとれる。

 誰にも住まわれることなく、放置されて40年の宮殿の中を外からのぞけば、壮大な中央の階段とレセプションホールがあり、高価な石造りの手すりや柱があるのがわかる。

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 また屋上には低レベルの照明が設置され、庭園が設けられ、その下には噴水のスペースがあるそうだ。

 1フロア全体には、所有者の美術コレクションを収蔵する予定だったという。しかし、ゲート付近からではその奥が見通せず、莫大な費用をかけた大きな廃墟の存在はうかがい知れなくなっている。

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 広大な敷地が使用されないまま放置されていることについて、地元の人々は以前から不満を漏らしていたと伝えられている。

 敷地内を通る公共の歩道をめぐってはニコラスが使用されることを望んでおらず、たびたび論争が起こっていたということだ。

 いずれにしても、これだけの邸宅が未使用のまま幽霊屋敷と称され、朽ちて行くのは残念なことだ。

References:Eerie abandoned £40million mansion in Kent is bigger than Buckingham Palace/ written by Scarlet / edited by parumo

追記(2024/02/22)本文を一部訂正して再送します。

 
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バッキンガム宮殿より大きい、40年間放置されたままの「サセックスの幽霊屋敷」