「勝てば天国。負ければ地獄。監督という職業はそういうもの。親善試合ならともかく、大会で負けているのにドンマイドンマイではダメだ」
「勝てば天国。負ければ地獄。監督という職業はそういうもの。親善試合ならともかく、大会で負けているのにドンマイドンマイではダメだ」

思っていたほど強くなかった。謙虚にそう受け止めるしかない。

日本代表アジア杯(カタール)のベスト8で敗退した。最後に日本が優勝したのは11年大会。もう13年も前の話だ。そろそろ勝つところを見たかったし、とにかく残念だ。

ベスト8イラン戦は完敗だった。先制点を奪ったものの主導権を握れず、後半10分に同点に追いつかれると、その後はボール際に激しく、ロングボール、ロングスローと力ずくのサッカーを仕掛けてくる相手に押し込まれた。

森保監督は次々に選手交代のカードを切ったけど、狙いがわかりづらく、流れは変えられなかった。

三笘、板倉が万全の状態じゃなく、伊東がプライベートの問題でチームを去り、旗手はベスト16でケガ。アクシデントが重なったとはいえ、選手層の厚さもまだまだ十分でなかったということ。相手のイランもダブルエースの一角、タレミが出場停止だった。

もっとも、そのイラン戦に限らず、大会を通して日本のデキは良くなかった。「いい守りからいい攻撃を」と言っていたのに5試合すべてで失点(8失点)。相手がよく研究してきたとはいえ、サイドからの揺さぶり、セットプレーを含めてクロスへの不安定な対応が目立ったね。「中東勢のレベルが上がった」と言う人もいるけど、僕はそうは思わないし、何の慰めにもならないよ。

日本が負けたイラクイランも、ただ引いて守るだけのチームではなかった。それぞれ前線にはフセイン、アズムンというエースがいて、攻撃の切り札になっていた。彼らを生かすためのチームとしての形があった。

優勝したカタールもそう。大会MVPと得点王に輝いたアフィフなんてスゴかったよね。ドリブルでガンガン仕掛けて、決定力も高かった。韓国のソン・フンミンもそう。チームはベスト4で負けたけど、誰が見ても納得の働きぶりだった。

翻って、今回の日本のエースは誰? 奮闘していた堂安、ファンの期待の大きかった久保、そもそもそういう選手を生かす戦術がなかった。ローテーションを優先するから、ベストメンバーもわからないし、選手は自分の持ち味を発揮しにくかったと思う。もっと先発を固めたほうが良かった。

その意味で森保監督の責任は大きい。ただ、それでも彼を批判する声があまり目立たないのが実に日本らしいね。代表チームの勝ち負けに関心を持つライト層が減ってしまったのかなと心配にもなるよ。

韓国なんて日本より成績が上なのにクリンスマン監督が強烈に叩かれて解任された。森保監督の仕事を査定する立場の日本サッカー協会も、責任問題になるからそもそも解任など考えていないだろう。

勝てば天国、負ければ地獄。監督という職業はそういうもの。いつもドンマイドンマイではダメ。森保監督のことは僕も昔から知っていて、人柄も良く、応援もしているけど、代表監督である以上、シビアに結果で評価すべき。

前回のアジア杯も勝てず、今回もベスト8敗退。それでも協会が続投という判断をしたのならそれはそれで構わないと思うけど、ドイツスペインに勝った一昨年のカタールW杯のウキウキはもう忘れてほしい。

まずは3月のW杯アジア2次予選、北朝鮮とのホームアンドアウェーでの2連戦。アウェーの洗礼なんて関係ない。2連勝は絶対のノルマだよ。

構成/渡辺達也

「勝てば天国。負ければ地獄。監督という職業はそういうもの。大会で負けているのにドンマイドンマイだけではダメだ」