スーパーボウルはNFLの優勝決定戦。優勝すると大統領から電話がくるほど影響力大
スーパーボウルNFLの優勝決定戦。優勝すると大統領から電話がくるほど影響力大

2023年末、日本だけでなく世界を騒がせた大谷翔平の10年総額7億ドル(約1000億円)。すごくデカい数字であることはわかるけど、個人が持つ金額としていまいちピンとこない......。スポーツ経済学者の小林至教授にスポーツ業界で比較してもらった。

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7億ドルはMLB史上最高額です。これは"スポーツ選手史上最高"にこだわった契約でしょう。MLBの中というよりも外、つまり共に北米4大スポーツに数えられるNBA、NFLNHLと、欧州サッカーに対して、「アスリート史上最も高い年俸をもらっているのが野球選手である」とアピールする意味が込められている。ピッチャーとしても、バッターとしても最高レベルの選手ですから。もはやMLBのアンバサダーなんです。

歴史上、最も稼いだアスリートはマイケル・ジョーダンで、インフレなどを換算せずに金額だけを見ても約23億ドル。2位がタイガー・ウッズで約18億ドル。そして、3位のアーノルド・パーマーは少し空いて8億8000万ドル。つまり、大谷は10年後には生涯最も稼いだアスリートの3位に入る。

しかも、大谷は年俸以外にもエンドースメント契約(企業から報酬が支払われる代わりに、その企業の商品を使用する契約)もあるので、それによってさらに伸びるはず。

ちなみに、MLBオークランド・アスレチックスメジャー契約している選手40人の年俸は合わせて6100万ドル。大谷は年平均7000万ドルですから、ひとりで1チーム以上の額をもらっています(笑)。

日本のプロ野球で見ると、最大年俸総額はソフトバンクの約62億円。支配下70人の総額ですよ。そして、日本で最も年俸が高いのはソフトバンクオスナで10億円。この数値を保ったまま100年頑張らないと、大谷の10年に届かない。

ちなみに、世界最大のスポーツイベント、NFLスーパーボウルが2月にあり、1億2430万人が視聴していたといわれていますが、そこのCM放映権は30秒700万ドル。

枠の総数はだいたい70~90なので、7億ドルあれば買い占めジャックすることができる。つまり、その日のアメリカを独占することもできてしまう、そんな額なんです。

●小林至(Itaru KOBAYASHI) 

桜美林大学教授。博士(スポーツ科学)。元プロ野球選手(投手、千葉ロッテ)。1994年から7年間米国在住、コロンビア大学でMBA取得。2002年から大学教員。2005~14年、福岡ソフトバンクホークス取締役を兼務

取材協力/川喜田研 写真/時事通信社

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