2014年にAKB48グループを卒業後、一人の俳優として飛躍し続ける大島優子が、2月23日(金)に公開されるマーベル最新作映画「マダム・ウェブ」に、未来予知能力を持つ主人公キャシー・ウェブ(マダム・ウェブ/ダコタ・ジョンソン)役の日本語吹替版声優として出演する。ディズニーピクサー長編アニメーション「メリダとおそろしの森」(2014年)で、主人公・メリダ役の日本語吹き替え版声優を務めた大島だったが、実写映画での声優挑戦はこれが初めて。子役時代、そしてAKB48の初代“神7”として一世風靡(ふうび)していた頃からドラマや映画に出演し、キャリアを着々と積み上げてきた大島。今回は“国民的アイドル”から実力派俳優へと華麗に転身した彼女の、役者としての飛躍ぶりを振り返る。

【写真】トップアイドルから俳優へ華麗なる転身を遂げた大島優子のエプロン姿

■ダークな演技で優秀助演女優賞を獲得

AKB48を卒業後、本格的に俳優としてのキャリアをスタートしてから2024年で10年になる大島。卒業直後に公開された映画「紙の月」(2014年)では、宮沢りえ、小林聡美、池松壮亮ら実力派俳優陣らと共演し、主人公の梨花(宮沢)の同僚・恵子を演じた。劇中では、恵子の何気ない一言がきっかけで梨花の人生の歯車が少しずつ狂い始める様子を描いており、物語のキーパーソンである大島のダークな演技力が評価され、「第38回日本アカデミー賞」では優秀助演女優賞を受賞した。また翌年のドラマ「ヤメゴク〜ヤクザやめて頂きます〜」(2015年、TBS系)では、暴力団離脱者電話相談室を担当する警察官・麦秋役で連続ドラマ初主演を務めた。

その後の代表作といえば、人気漫画原作で30代女性のリアルを描いたドラマ「東京タラレバ娘」(2017年、日本テレビ系)が挙げられるだろう。吉高由里子演じる主人公・倫子の親友である居酒屋店員・小雪を演じ、同じく親友の香(榮倉奈々)と共に、居酒屋で頻度高めの“女子会”を開催する仲良し3人組を好演した。

「あの時○○すれば良かった」といった“タラレバ”ネタを酒のつまみに、楽しく晩酌する3人の姿に共感する声も多かった一方、大島演じる小雪は居酒屋で出会ったサラリーマンの丸井(田中圭)と不倫関係へと発展してしまい、劇中ではその関係性に悩むやるせない小雪の心情をうまく表現した。

■人生のステップアップのため、渡米を決意

2017年8月からは、語学の勉強のために約1年間アメリカへ留学。順調に俳優としてのキャリアを積み上げてきた彼女の新たな挑戦は大きな話題となった。AKB48時代のセンター曲じゃないが、これまでも“前しか向かねえ”とばかりにアグレッシブにさまざまなことへ挑戦する姿が印象的だったが、大島は30歳目前だった当時、自分の知らない場所で生きてもっとステップアップしたいという理由で留学したのだ。

さらにパワーアップした大島は、2018年の帰国以降は連続テレビ小説スカーレット」(2019-2020年、NHK総合ほか)、大河ドラマ「青天を衝け」(2021年、NHK総合ほか)に出演。朝ドラや大河ドラマで自然体な演技が評価される一方で、映画「生きちゃった」(2020年)では、厳しい現実に立ち向かう男女3人の生き様を見事に体現。物語が狂い始める濡れ場も体当たりで挑んでおり、抜群の存在感を放っている。

■「メリダとおそろしの森」で初の吹き替え声優挑戦

そんな大島は2月23日(金)公開のマーベル最新作「マダム・ウェブ」で実写映画の吹き替え初挑戦となるが、海外作品の吹き替え自体はAKB48時代に「メリダとおそろしの森」(ディズニープラスで配信中)でも経験している。

同作品は、ディズニーピクサー史上初の女性主人公となった王女・メリダの冒険を描くファンタジーアドベンチャー。いわゆるピクサー作品ではあるが、メリダディズニー公式サイトで“ディズニープリンセス”の一員として紹介されているれっきとしたディズニープリンセスだ。

おてんばメリダは、森の魔法にかけられた母・エリノア王妃を救うため、魔法を解く手掛かりを探して森に入っていく。そこで、思いもよらない自分自身の運命と向き合うことになるというストーリーで、大島はおてんばメリダの声を務めた。初めての吹き替えながらアドリブのシーンにも果敢に挑んだそうで「メリダっぽいのと、自分らしさっていうのをどうやって交えてやろうかと結構考えてやりました」と、公開当時のイベントで語っていた。

その後、2016年にディズニー・チャンネルで放送された「ちいさなプリンセス ソフィア」、2018年に劇場公開されたディズニーアニメーション映画シュガー・ラッシュ:オンライン」でもメリダの日本版声優を続投したのは、大島の演技が認められたからに他ならない。

トップアイドルから俳優への華麗なる転身、留学、結婚と人生のステップアップを踏む大島。幅広いジャンルの作品でつい“ヘビロテ視聴”したくなる存在感を見せる彼女の役者としての今後にこれからも注目していきたい。

◆文=suzuki

大島優子/※2022年ザテレビジョン撮影