今日のにゃんこタイム~○○さん家の猫がかわいすぎる Vol.135


「奇跡が重ならなかったら、この子たちは今こうして生きていなかったかもしれない。立派に大きくなってくれたことが感慨深いです」


 3匹の黒猫と暮らすイマ太さんは愛猫の成長を振り返り、そんな想いを噛みしめます。


 
 おうちで暮らす黒猫たちは、血の繋がった兄弟猫。行き場を失い、命を落としそうだった時、心優しい保護主さんと出会い、命が紡がれました。


◆子猫を洗面器に放り込む光景に胸を痛めて……
 物心ついた時から、動物の保護や介護などをしてきたというイマ太さん。なぜか動物に好かれる体質で、動物園に行くと動物がおやつを差し出してきたり、誰も触ることができない子猫10匹以上を抱っこしたりして、周囲を驚かせたこともあります。


 イマ太さんが3兄弟と出会ったのは、2018年のこと。3兄弟は、イマ太さんの知人Aさんが近所の庭で見つけた子たちでした。



 当時、3兄弟はまだ子猫。子猫が庭に現れたことから、その家の住人のCさんは役所に通報するも、「何もできないので、迷惑なら追い出して。モスキート音が発生する装置は貸します」と言われたそう。


 それを聞いたCさんは信じられない行動に。なんと、3兄弟を道路脇の洗面器に放り込んだのです。


◆イマ太さんのことが頭に浮かんだ
 偶然、その現場を目撃したイマ太さんの知人Aさんは声をかけて状況を把握。母猫が戻り、子猫を連れて引っ越す可能性があるため、ひとまず様子を見てほしいと懇願しました。



「逃げ場のないところに追い込まれて困ったみたいで、子猫たちは洗面器から出て道路をウロウロしていたそうです」


 Aさんがダンボールを持参して説得を続けると、Cさんはなんとかダンボール内に子猫を入れてくれたそう。しかし、ダンボールが置かれた場所はカラスが多く、日が当たる道路上。ダンボール横には、モスキート音が発生する装置も設置されました。


 子猫たちの命がいつ奪われてもおかしくない状況を看過できなかったAさんは動物愛護団体や役所などに電話相談するも、協力が得られず、絶望します。その時、頭に浮かんだのがイマ太さんでした。


◆手のひらサイズの3兄弟が“ふっくらにゃんこ”に成長
 当時、イマ太さんは保護ボランティア宅から2匹の猫を迎えようと考えていましたが、事情を聞き、消えてしまうかもしれない3兄弟の命も救いたいと感じたそう。そこで、検討していた猫たちと共に3兄弟も自宅へ迎え入れました。



お迎え当日から膝の奪い合いが始まった



 幸い3匹に怪我はなかったものの、お腹には寄生虫が。イマ太さんは動物病院で処方してもらった薬を与えながら、不安そうに泣き叫ぶ子猫たちをケアし続けました。


「当時、我が家には高齢猫や介護が必要な子など14匹の猫がいましたが、なるべく3兄弟に寄り添い、安心させました。寝る時間を削り、お母さん代わりにトイレや食事など、いろいろなことも教えました」


 誰かひとりが鳴くと共鳴することから音楽を連想し、3兄弟の名前は樂(がく)くん、律(りつ)くん、音(おと)くんに決定。


 3匹はお迎えから数ヶ月後には、テレビや座椅子を破壊するほどのやんちゃにボーイに成長。勝手にLINEを送るなど猫離れした行動に驚かされたこともあります。


◆3匹の性格はさまざま



テレビで遊んじゃった……



 やがて、3匹は各々の個性を発揮。例えば、長男の樂くんは強そうに見えるのに、ビビリで一番の甘えん坊というギャップの持ち主。対して、次男の律くんはツンデレで神経質な慎重派。兄弟の中でもっとも小さい音くんは意外にも一番気が強く、喧嘩が得意です。



いつも兄弟の誰かとシンクロしている



「全員、ちょっとした物音で大パニックになりますし、まだ自分は小さいかわいい子猫だと思っている節もあります(笑)」


 手のひらサイズだった3匹は来客から「犬かと思った」と言われるほど、ふっくらにゃんこに。みんなで遊び、YouTubeを見ながら、穏やかな日々を謳歌しています。


◆不思議な体験!助けたつもりが猫に命を救われた
 3兄弟の成長を見守る中で、イマ太さんは信じられない体験もしたそう。



「実は当時、私自身が突然死のリスクを宣告されていたのですが、不思議なことに宣告を克服することができました。だから、こうして一緒にいられることが、より嬉しい。この子たちの成長は保護してくれた知人にも報告しており、みんなで見届けられました」


 そう話すイマ太さんは、これまでにも虐待された子を引き取ったり、命が残酷に奪われる現場に鉢合わせてしまったりしたことがあるからこそ、ペットブームの犠牲になる命がある現状に胸を痛め、小さな命を大事に思う人が増えてほしいと願っています。


◆動物や生き物と携わる人たちのためにできることをしたい



YouTubeを鑑賞中



「昨今、虐待は深刻化している印象を受けますし、ペットが異常に繁殖して飼育不可能になってしまう『多頭飼育崩壊』は深刻な原因がいくつも積み重なって起きています。最近は野生動物に関わることも多いので、動物や生き物と携わる人たちのためにも、これまで以上に自分ができることに力を注いでいきたいです」


 イマ太さんの言葉を聞くと、自分とは違う種族の命をどう守り、共存していくのか考えたくもなります。


<取材・文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>


【古川諭香】愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291