シンガポール航空ショーの3日目、中国製のリージョナル・ジェット旅客機ARJ21が展示飛行を実施しました。ARJ21が中国国外の航空ショーで飛ぶのは初めてです。実際にこのフライトを見てきました。

同航空ショーでは中国製旅客機を5機動員

2024年2月20日から開始されているシンガポール航空ショーの3日目となる22日、中国製旅客機ARJ21が展示飛行を実施しました。ARJ21が中国国外の航空ショーで飛ぶのは初めてです。実際にこのフライトを見てきました。

ARJ21は中国商用飛機(COMAC)が開発した地方短距離向けのジェット旅客機「リージョナル・ジェット」で、座席数は78から97席。2008年11月に初飛行しました。

胴体後部にエンジンが設置された「リアジェット」で、かつてあった米国の大手航空機メーカー、マクダネル・ダグラスMD-80、90シリーズによく似たルックスが特徴です。これは中国がかつてこのシリーズのライセンス生産をしており、ARJ21は、その生産設備やノウハウを活用して開発されたモデルとされているためです。

今回のショーで、ARJ21は2機が地上展示されました。ただ、20日と21日に、もうひとまわり大きなサイズの中国製旅客機C919」が展示飛行をしたものの、ARJ21は展示飛行を行う可能性が伝えられていた一方で、具体的な日にちまでは明らかにされていませんでした。このため、ARJ21の展示飛行は突然といってもよいものでした。

会場の上空へ進入してきたARJ21は、前脚と主脚を下げて心持ちゆっくりと飛びながら、まるで観客にあいさつするように、左右の主翼を上下に振って通過しました。そして、旋回した後にもう一度観客前の上空を通過し、そのまま初めての展示飛行を終えています。

ちなみに、ARJ21の直前に、ヨーロッパの大手航空機メーカー、エアバスの「A350-1000」も展示飛行を実施しています。こちらは旋回や上昇、降下を繰り返し、何度も観客の前を通過していました。

そのA350-1000に比べるとARJ21のフライトはあっけなくはありましたが、中国は一気に同国産の旅客機を2機種5機(ARJ21が3機、C919が2機)動員して、初めての海外航空ショーでの躍進を強く印象付けました。

展示飛行するARJ21の様子(相良静造撮影)。