清原惟監督による第26回PFFスカラシップ作品『すべての夜を思いだす』が、3月2日(土) より東京・ユーロスペースほかで公開される。このたび本作に対する応援コメントが到着した。

2023年2月の第73回ベルリン国際映画祭を皮切りに様々な海外映画祭で上映され、同年9月には北米での公開も果たした本作。コメントを寄せたのは、映画『aftersun/アフターサン』の撮影を手がけたグレゴリー・オーク撮影監督や、ミュージシャンの夏目知幸(Summer Eye)、芥川賞作家の井戸川射子ら様々なジャンルの著名人15名で、それぞれ清原監督の描く世界を絶賛している。

また、監督&キャストによる初日舞台挨拶と2日目トークイベントが、ユーロスペースで開催されることが決定。トークイベントには清原監督に加え、本作とともに昨年のベルリン国際映画祭フォーラム部門に招待された『石がある』の太田達成監督が登場する。

さらに、オリジナルサウンドトラックが3月8日(金) に発売されることが発表された。音楽を担当したのは、ジョンのサン、ASUNA、mado & supertotoes、ESVの4組。映画完成後もメンバーそれぞれが独自に物語に想像を馳せて制作が続けられたとのことで、サントラには映画にも収めきれなかった楽曲も含め全40曲が収録される。アルバムの曲順は映画本編の時系列に沿ったものとなっており、映画鑑賞後にも追体験ができるような構成となっている。

併せて、本作の新たな場面写真が公開となった。

■朝吹真理子(小説家) コメント
人が忘れても道は覚えている。今日という日が、あらゆる時間につながっていると感じる映画でした。

■石原海(アーティスト/映画監督) コメント
忙しく生きていたらこぼれ落としてしまいそうな、ゆっくり生きてる人にだけ見える宝物みたいな瞬間が、ニュータウンという街を軸に星座みたいに散らばっている。私たち観客は、街を行き来する魅力的な登場人物たちに連れられて、その星座をひとつひとつ拾い集めることになる。

■井戸川射子(詩人/小説家) コメント
緑と黄緑の何と美しい、膨らむ一面の木、形作られた道の草、土混ざる淡い芝生。鳥の鳴き声、風の音、光と暗さが私たちにも迫る。その中に穏やかで不穏な彼女らの日常、得て失ってきた時間が流れる、それも私たちに迫る。

ヴィヴィアン佐藤(芸術家/非建築家) コメント
かつてそこにあった物たちが、出来事たちが、記憶たちが、誰にも語られることもなく、至る所に生ずる亀裂から噴出してくる。それらは過去や未来もなく、現在に同時に存在している。権力とは無縁の、小さな無名の記憶たちの救済。いまの日本だからこそ見えてくる風景だ。

■カゲヤマ気象台(劇作家/演出家/円盤に乗る派) コメント
バスの車窓から見た景色のようにどこまでも横にずれていく。偶然の出来事が重なりながらどこにもつながらない。こういう中心を欠いた豊かな時間が、人生には確かに存在していると思った。

■金川晋吾(写真家) コメント
魅力的なダンスシーンがある映画が好きなんですが本作はまさにそうです。ダンスシーンは映画の本筋には大体関係ないけれど、そもそも私たちが生きている時間には本筋なんてないですよね。この映画の時間の中にずっといたいと思いました。

■グレゴリー・オーク(『aftersun/アフターサン』撮影監督) コメント
ある1日の営みや喜びと悲しみ、偶然の出会いを通して、映画は見事に私たちを深い思索へと導いていく。いかに私たちの人生は予期しない形で進み、時間の中で関わり合い、その瞬間が積み重なって意味深いものになりうるか。いろいろなことを考えさせられる、そして静かに心に残る作品だ。サウンドトラックも素晴らしい!

■児玉美月(映画批評家) コメント
街は見知らぬ人々の記憶の総和、視認不可能なあらゆる死と生が蠢く場所。
『すべての夜を思いだす』は、画面に漂流する言葉なき空気でそれを伝える稀有な映画だった。

■小森はるか(映像作家) コメント
なんでもないように見える特別な1日。
その日を乗り越えようとするあなたを、見知らぬ誰かが覚えていてくれるかもしれない。
気づいてくれた人がいたんだよ、とそんな眼差しで、すれ違う人同士が描かれていく。
だから、彼女たちがひとりでいても、孤独ではない夜が訪れる。そして、この1日を見届ける私たちに、救われる思いがあることを教えてくれる。

■Summer Eye/夏目知幸(ミュージシャン) コメント
誰かに誘われたい気持ちと、ひとりでいたい気持ちの間にある感情に我々は名前をつけないまま、ないことにしている。
それを音楽にしようとするのがジョンのサンで、映画にしようとしたのが本作、ということかもしれない。
違ってもかまわん。傑作に変わりない。

■中澤日菜子(小説家/劇作家) コメント
心地のよい時間がながれている映画だ。
それぞれの目的を持つ3人の女性が、古くて新しい多摩ニュータウンのそこここにあらわれる。
まるでニュータウンの精霊のように――。

■山下澄人(小説家) コメント
画面に木や草がはみ出してくる。それはかつて人間に消されたもの。削られた山に建てられた団地でそれらだけが濃く、人間は薄い。このまま映画から人間が消えていくんじゃないかと思った。かつてこうして人間がいたんだよ、というとき見るのはこの映画のような風景かもしれない。

■山本浩貴(小説家/デザイナー/いぬのせなか座主宰) コメント
人々はお互いを知らぬまますれ違い、見つめあい、想像しあう。そこには土地の歴史も死者も、観客であるこの私も巻き込まれる。私はこの映画の特に後半をかつてない動揺とともに見た。ここにすべてがあると感じた。

■米田知子(写真家) コメント
引き込まれる空気感、美しく完璧に切り取られた絵、端々まで命が宿っている。
スクリーンに流れていく時間、何処かで見たかも知れない風景やシチュエーション。
ふと立ち止まり、日常――"生きる"ということ、我々の物語に共鳴する。

■渡辺花(ビジュアルアーティスト/tamanaramen) コメント
あった事、あったかもしれない事、
気づかないけど静かに交差している事、
この感情を久しぶりに思い出した。

<作品情報>
『すべての夜を思いだす』

3月2日(土) 公開

■初日舞台挨拶
日程:3月2日(土) 18:25の回上映後
会場:東京・ユーロスペース
登壇者(予定):清原惟監督、兵藤公美、大場みなみ、内田紅甘、遊屋慎太郎

■トークイベント
日程:3月3日(日) 14:40の回上映後
会場:ユーロスペース
ゲスト:清原惟監督、太田達成(映画監督)

<リリース情報>
『清原惟監督作品「すべての夜を思いだす」オリジナル・サウンドトラック』

3月8日(金) 発売
3月2日(土) ユーロスペースで先行販売
価格:2,530円(税込)

『清原惟監督作品「すべての夜を思いだす」オリジナル・サウンドトラック』ジャケット

公式サイト:
https://subete-no-yoru.com/

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『すべての夜を思いだす』