イタリアには、美しいステンドグラスがはめ込まれ、天井には素晴らしい絵画が描かれた歴史的に価値がある古い教会がある。
だがひときわ目につくのはその天井に吊り下げられている本物のナイルワニのはく製だ。
500年以上ここに吊り下げられているワニの剥製は、ただの展示物以上の意味を持ち、古代キリスト教の象徴としての役割を果たしているという。
【画像】 ワニの剥製が天井から吊り下げられているイタリアの教会
Prospettive | 10 | Il santuario della Beata Vergine Maria delle Grazie
イタリアのロンバルディア地方クルタトーネという小さな自治体にある古い教会「サントゥアリオ・デッラ・ベータ・ヴェルジーネ・マリア・デッレ・グラツィエ」は、天井から本物のワニの剥製が吊り下げられていることで有名だ。
このワニは500年以上前の防腐処理されたナイルワニで、この教会自体の歴史は13世紀までさかのぼるという。
しかし、どんな経緯でこの教会に飾られるようになったのかは謎だそうだが、その目的は宗教的象徴と結びついているようだ。
[もっと知りたい!→]剥製にされた動物の口もとが皆一様に笑ってる風に見える現象
古代キリスト教では、ヘビ、ドラゴン、ワニといった爬虫類を悪魔の化身として、あるいは単に人間を罪に導く動物として、悪と結びつけていた。
そのため、教会の丸天井の高いところに鎖でつながれた爬虫類は、教会を訪れる人々への警告であると同時に、悪に対する善の勝利の象徴だったという。
地元で語り継がれるワニにまつわる伝説
長年にわたり、このワニの起源にまつわる多くの伝説がロンバルディア州を駆け巡ってきた。
最も有名なのは2つの伝説だ。
1つは、このワニはフランチェスコ・ゴンザーガが所有する地元の私有エキゾチック動物園から逃げ出したものだという伝説だ。
2つめは、ある日ミンチョ川のほとりで休んでいた2人の兄弟がこのワニに襲われそうになり、兄弟の1人が聖母に助けを求めてナイフで武装し、ワニを襲って殺したという伝説だ。
他にも、サーカスが公演のためにこの地域に立ち寄った際、ワニは檻から出され、葦と蓮の花の間に避難したという説もある。
・合わせて読みたい→社会科見学:ロシアにある動物剥製工房を訪ねて
このワニは、聖母から人間の言葉を話す能力を授かったとさえ言われている。
このような話を信じるかどうかは別として、サントゥアリオ・デッラ・ベータ・ヴェルジーネ・マリア・デッレ・グラツィエ教会の天井に吊るされたワニは、一見する価値のある光景だ。
風変わりではあるが、ワニを常設展示にすることを仕事とした修道士たちの剥製技術を物語っているといえよう。
Un Coccodrillo in Chiesa!!! - Mantova e provincia in 4K
興味深いことに、本物のワニが展示されているイタリアの教会はここだけではない。
マチェラータのサンタ・マリア・デッレ・ヴェルジーニ教会とポンテ・ノッサのサントゥアリオ・デッラ・マドンナ・デッレ・ラクリメ教会にもワニの剥製があるということだ。
References:This Italian Church Has a 500-Year-Old Crocodile Hanging from the Ceiling/ written by Scarlet / edited by parumo
コメント