「キック・アス」「キングスマン」シリーズで世界中の映画ファンの心をワシ掴みしている、“奇才”マシューヴォーン監督の最新作『ARGYLLE/アーガイル』が、3月1日(金)に公開される。本作は、ヴォーン監督がこれまで手掛けてきた名作に負けず劣らずのスタイリッシュかつ刺激的なスパイ映画でありながら、ティザーポスターを見ればお分かりの通り、ベストセラー作家の主人公エリーの愛猫、アルフィーが物語のカギを握るという、ネコ好き必見の「ネコ映画」でもあるのだ。2月22日(にゃん・にゃん・にゃん)の「猫の日」にちなみ、ネコが活躍するモフモフ映画を3作品ピックアップして紹介していく。

【写真を見る】マシュー・ヴォーン監督の愛猫がスクリーンデビュー!スパイ物語のカギを握るのはネコ?(『ARGYLLE/アーガイル』)

マシューヴォーン監督の愛猫が大冒険!『ARGYLLE/アーガイル

本作の主人公は、凄腕エージェントのアーガイルが世界中を飛びまわり、謎のスパイ組織の正体に迫る、手に汗握るベストセラーのスパイアクション小説シリーズ「アーガイル」の作家、エリー・コンウェイ(ブライス・ダラス・ハワード)。ハードスケジュールをこなすエリーにとっての至福の時間は、愛猫のアルフィーと共に家でのんびり過ごすこと。外出の際も宇宙船カプセルのような窓が付いたバックパックにアルフィーを入れて、どこでも一緒に連れていくのがエリーのスタイルだ。だから、ある日、列車のなかで突如謎の男たちに命を狙われ、エイダン(サム・ロックウェル)と名乗るスパイに間一髪で助けてもらった時も、エリーの背中にはいつものようにアルフィーが…。

その後も何度も身の危険に脅かされながらアルフィーを背負って逃げ惑ううち、エリーが書いた小説が現実のスパイ組織の行動を偶然にも言い当てていた事が発覚。エリーの空想のはずだった世界と命が狙われる現実との境界線が曖昧になるなか、敵の一歩先を行くために世界を駆け巡る。危険なミッションの先に待ち受けた運命やいかに!

アルフィーがエリーと共にどんな活躍を見せるのかは映画を観てのお楽しみだが、実はアルフィー役のネコは事務所に所属するタレントネコではなく、ヴォーン監督自身がもともと飼っていた愛猫であり、主人公エリーがネコ用バックパックを背負うキュートな姿は、なんとテイラー・スウィフト(&愛猫オリヴィア)が、インスピレーション源だというから驚かされる。

ヴォーン監督いわく、そもそも脚本の初稿の段階ではエリーのネコはそこまで重要な役割を与えられていなかったそうなのだが、監督と愛猫チップとの運命的な出会いによって、映画『ARGYLLE/アーガイル』にとって、アルフィーが無くてはならない存在となったのだ。

以前、自身の娘たちから見せてもらったテイラー・スウィフトのドキュメンタリー映像の中で、テイラーが愛猫のオリヴィアをネコ用バックパックに入れて背負っている姿を目にして以来、「いつかこのアイデアを映画に活かせたら…」と密かに企んでいたというヴォーン監督。そんな折、妻のクラウディア・シファーが子ネコを数匹連れ帰り、ヴォーン家の家族に加わることになったという。

『ARGYLLE/アーガイル』の撮影初日、当初出演予定だったタレントネコのギャラが高額過ぎたうえ、撮影に協力的ではなかったことに頭を痛めた監督は、映画の命運を掛けてヴォーン家の愛猫チップアルフィー役に抜擢。実は当初、特にネコ好きではなかったヴォーン監督だったが、撮影期間中しばらく楽屋で一緒に過ごすうち、すっかりチップの魅力に虜になった。チップの思わぬ名演ぶりにも大いに触発され、みるみる出演シーンも増えていったというわけだ。“新ネコ俳優”とはとても思えぬほどの演技の才能を持つ、ヴォーン家のチップの堂々たる芝居ぶりを、ぜひスクリーンでチェックしてほしい。

■地球を救ったのはネコたち?『キャプテン・マーベル

“死闘を繰り広げる主人公たちの旅に同行するネコ”つながりでぜひとも紹介したいのが、去年公開の映画『マーベルズ』(23)に登場し、あっと驚くほどの活躍ぶりを見せたモフモフ最強軍団「ニャーベルズ(!?)」たち。

キャプテン・マーベルこと、キャロル・ダンバースたちの失われた記憶を追う旅にいつの間にかついてきたグースは、地球のネコとよく似た見た目だが、その正体は「フラーケン」と呼ばれるエイリアン。口からグロテスクな触手が飛び出し、目にもとまらぬ速さで敵のクリー人を次々と飲み込んでは、何事もなかったかのようなすまし顔で毛づくろい。実はグースの体内には“ポケット・ディメンション”と呼ばれる異次元が広がっていて、エイリアンならではのグロテスクな卵で繁殖するという。

マーベルズ』ではその卵が次々と孵り、モフモフのやんちゃな「ニャーベルズ」たちが登場!その好き放題暴れまくる様子が描かれており、誰も思わぬ方法で大ピンチにキャプテン・マーベルたちを助ける。ネコ好きにはニャンともたまらない戦闘シーンとなっている。

■迷えるオトナとネコの暮らし『三日月とネコ』

「第1回 anan 猫マンガ大賞」の大賞受賞コミックを、安達祐実、倉科カナ、渡邊圭祐の主演で、上村奈帆監督が実写映画化した『三日月とネコ』(5月24日公開)は、もう一本となる注目の“ネコ映画”だ。熊本地震をきっかけに出会った、恋人でも家族でもない、境遇もバラバラな“迷えるオトナ”であるネコ好きの男女3人が、一つ屋根の下でネコと気ままな共同生活を送る日常を綴った、ありそうでなさそう…だけど、やっぱり本当にありそうな、いや、ぜひとも「あってほしい」物語。書店で働く40 代お一人様女性の灯(安達祐実)、30 代精神科医師の鹿乃子(倉科カナ)、20代のアパレルショップ勤務の仁(渡邊圭祐)は、みんなの愛猫のミカヅキと仲良く暮らしている。ごく普通の人生を歩んできた灯にとって、人生で一番「普通ではない生活」をしているものの、その生活はとても楽しくて仕方がない。できることなら、このままずっとこの幸せな共同生活を続けていきたいと願う3人だが、それぞれに人生の転機も訪れる。

映画を観ているうちに、真っ白で美しい毛並みのミカヅキのモフモフを吸いたい衝動に駆られるが、本作に登場する美猫はミカヅキだけではない。とある出会いとご縁をきっかけに、3人は共同生活を送るメンバーとして2匹の保護猫フーとギーを迎える覚悟を決めるのだ。

1988年から1991年までフジテレビ系列で放送されて人気を博したドラマシリーズ「やっぱり猫が好き」で、もたいまさこ、室井滋と共に三姉妹を演じていた小林聡美も、自分らしく生きる道を模索する主人公たちに、「生き方は、人の数だけある」と背中を押す、人気作家の網田すみえ役で出演。「ネコ好き」たちの“ツボ”を押さえたキャスティングとなっている。

猫の日」に新旧の「ネコ映画」を予習・復習しながら、新たなネコ映画の金字塔となるであろう『ARGYLLE/アーガイル』でアルフィーの活躍を目にする日を待ちわびてほしい。

文/渡邊玲子

かわいいネコたちが大集合!/[c]Universal Pictures