世界No.1求人サイト* 「Indeed (インディード)」の日本法人であるIndeed Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:大八木 紘之、https://jp.indeed.com 以下Indeed)は、国際的な調査・研究機関であるIndeed Hiring Labのエコノミスト 青木 雄介によるレポート「仕事探しにおける検索時給の動向:求職者の希望時給は1,500円近くまで上昇」(2月22日公開)の主要ポイントについてまとめました。

求職者が希望する賃金額を知ることは、労働市場の状態やインフレーションの動向を理解する上で重要です。また、将来的な消費動向やインフレーション、さらには最低賃金のあり方等、賃金政策に関する議論にも役立つ可能性があります。採用企業にとっては求職者が希望する賃金水準を把握する上でも有用であると考えられます。

求人サイト「Indeed」では、求職者は自由なキーワードを入力して仕事を検索できます。職種や雇用形態に関するキーワードで検索されることが多いですが、具体的な賃金額(時給や年収額)をキーワードとした仕事検索も行われています。これらの検索賃金のデータを分析することで、一般的に求職者が期待する賃金の水準がどの程度かを把握することができます。

そこでこのたびIndeed Hiring Labでは、検索賃金の中でも、パート・アルバイトを探す人にとって重要な要素である時給に焦点を当て、Indeedにおける検索時給(加重平均値)について分析、レポートを発表しました。

*本プレスリリースは、Indeed Hiring Lab日本サイト(https://www.hiringlab.org/jp)の「仕事探しにおける検索時給の動向:求職者の希望時給は1,500円近くまで上昇」(2月22日公開)を要約したものです。

「仕事探しにおける検索時給の動向」の主要ポイント

・求職者の検索時給は2024年1月に平均1,490円まで上昇
Indeed上で検索される時給の平均は、2024年1月時点で1,490円。2019年1月では1,263円であったのに対し、5年間で18%上昇している。労働市場が逼迫し人手不足であることや物価高によって社会的に賃上げへの期待が高まる中で、求職者はより高い賃金を求めている傾向にある。

最低賃金に対して相対的に物価が高い地域で、検索時給の上昇率が顕著
検索時給の上昇率は、各都道府県最低賃金に対して物価(消費者物価地域差指数)が相対的に高い地域で顕著であり、求職者は経済的なプレッシャーの中でより良い報酬を求めている傾向である。

Indeed Japan Hiring Lab エコノミスト 青木 雄介(あおき ゆうすけ)


2012年東京工業大学工学部卒、2013年英国UCL(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン経済学修士。その後、外資系コンサルティングファーム等でエコノミスト・データサイエンティストとして政府・民間・司法機関に向けた経済統計分析及び報告書作成に従事。2022年8月より現職。Indeedのデータを活用してOECD各国及び日本の労働市場を分析し、外部関係者に向けて分析結果・インサイトを発信している。

Indeed Hiring Labについて

Indeedの国際的な研究・調査機関。Indeedの保有する豊富な独自データと一般公開されている各種ソースをもとに、労働市場に関するさまざまな調査・研究を実施し、メディア、研究者、政策立案者、求職者、採用企業の皆様に向けて知見を提供。2022年、新たに日本市場を対象とした「Indeed Hiring Lab Japan」を立ちあげ、日本向けWebサイトもオープン。日本における特定業界の労働市場や、仕事探しにおける最新トピック、注視すべき求職者行動などの調査・分析結果をレポートとしてまとめ、有益な情報を発信している。

Indeed Hiring Lab掲載レポートの抜粋・要約

・求職者の検索時給は2024年1月に平均1,490円まで上昇

2024年1月にIndeed上で検索された時給の平均(加重平均値)は1,490円で、2019年1月の1,263円から5年間で18%上昇しています。これは、パートタイムの時給実績(平均)※1や最低賃金※2の上昇率(それぞれ12%、 15%)を上回ります。労働市場が逼迫し人手不足であることや根強いインフレーション※3の影響により社会的に賃上げへの期待が高まる中で、求職者はより高い賃金を求めていることがわかります。

※1:厚生労働省「毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査)」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/30-1a.html

※2:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」

(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html)

※3:総務省消費者物価指数 全国 2023年(令和5年)12月分及び2023年(令和5年)平均」

(https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf)


Indeedにおける検索時給の加重平均値、パートタイム労働者の時給実績(厚生労働省「毎月勤労統計調査」より)、最低賃金の全国平均厚生労働省)の推移。期間は2019年1月から2024年1月まで。ただしパートタイム労働者の時給実績については最新月である2023年12月までであり、2023年12月は速報値であることに留意。

最低賃金に対して相対的に物価が高い地域で、検索時給の上昇率が顕著

全国平均価格を基準とした消費者物価地域差指数※4と最低賃金の関係を見ると、正の相関関係がありますが、一部の地域はこのような傾向から外れています。例えば、物価が比較的安い大阪府では、全国で3番目に高い最低賃金が設定されています。逆に、物価が比較的高い山形県では最低賃金が低めです。これは、最低賃金の設定が最新の物価変動を十分に反映していないことを示唆しています。

※4:総務省「消費者物価地域差指数-小売物価統計調査(構造編)2022年(令和4年)結果-」

(https://www.stat.go.jp/data/kouri/kouzou/pdf/g_2022.pdf)


消費者物価地域差指数(X軸)と最低賃金(Y軸)を都道府県別にプロットしたもの。消費者物価地域差指数とは、世帯が購入する財及びサービスの価格を総合した物価水準の地域間の差について全国平均価格を基準(=100)とした指数値を表す。すなわち、100以上であれば相対的に物価が高い都道府県であることを意味する。消費者物価地域差指数については、総務省「小売物価統計調査(構造編)」より現時点で最新であった2022年データを活用。

大阪府のように、最低賃金が高めで、物価が相対的に安い地域は、相対的に生計が圧迫されにくい地域と見られます。逆に最低賃金が低めで、物価が相対的に高い地域は、相対的に生計が圧迫されやすい地域とも見られます。

このような地域間の「コストパフォーマンス」の良し悪しが検索時給の上昇率に関係しているか検証しました。なお、ここでは求職者の居住する都道府県と勤務地の都道府県が同一である場合を想定しています。

その結果、相対的に生計が圧迫されやすいと考えられる地域では、相対的に生計が圧迫されにくいと考えられる地域に比べて検索時給の上昇率が平均3.4%高く、統計的に有意な差があることが明らかとなりました。

相対的に生計が圧迫されやすいと考えられる地域(にいる求職者)ほど、高い時給を求め、検索時給の上昇率が高くなることを示唆しています。


47都道府県を「相対的に生計が圧迫されやすい」、「相対的に生計が圧迫されにくい」、「相対比較でどちらでもない」に区分し、区分ごとの2019年から2023年の検索時給上昇率の箱ひげ図を示したもの。**は統計的に5%有意水準を示し、「相対的に生計が圧迫されやすい」地域での検索時給上昇率が、「相対的に生計が圧迫されにくい」地域のそれよりも高いことを表す。尚、沖縄県について県内検索のみに絞った場合も、これら区分間の有意差は保たれる。

最低賃金は、1.労働者の生計費、2.賃金、3.通常の事業の賃金支払い能力を総合して、厚生労働省によって取り決め※5られています。今回の検索時給の分析を通じ、最低賃金の政策を再考する際には、地域ごとの物価上昇率や生活費の実情をより考慮する必要があることが示唆されました。また、採用企業においては、現在の人手不足に鑑み、求職者が期待する賃金水準を参考にしながら賃上げの検討をすることも重要でしょう。

※5:厚生労働省「3要素の用語の定義について (地域別最低賃金の原則)

(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201250-Roudoukijunkyoku-Roudoujoukenseisakuka/0000071040.pdf)

調査・分析概要

  1. 調査・分析主体:Indeed Japan株式会社

  2. 調査・分析対象期間:2019年1月~2024年1月

  3. 調査・分析方法:

    本分析では、Indeed上で検索された賃金に関連するキーワードのうち、時間給のみの検索を分析対象としており、月給や年収の検索は分析対象外である。


    検索時給賃金の加重平均値の算定方法は以下の通り。

  • 10円刻みの値を賃金帯として、賃金帯ごとに検索数及び賃金検索数全体に占めるしめるシェアを計算。

  • 各賃金帯と上記シェアの掛け合わせで算出。

都道府県が相対的に生計が圧迫されやすい地域どうかの区分方法については以下の通り。

  • 消費者物価地域差数と最低賃金(時給)との線形関係から導出される信頼区間を算出(ロバスト標準誤差を適用)

  • 信頼区間と実際の最低賃金との差で区分判定

    • 信頼区間の下限より実際の最低賃金の値が下回る場合、相対的に生計が圧迫されやすい(コストパフォーマンスが悪い)地域と区分

    • 信頼区間の上限より実際の最低賃金の値が上回る場合、相対的に生計が圧迫されにくい(コストパフォーマンスが良い)地域と区分

    • 実際の最低賃金が信頼区間内である場合、どちらでもない地域と区分

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*出典:Comscore 2023年6月総訪問数
**出典:Indeed社内データ 2023年4~7月

配信元企業:Indeed Japan株式会社

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