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クイズ番組『アイ・アイゲーム』で司会の山城新伍が伏せ字を「チョメチョメ」と読んだ。山城新伍はほぼ100%女性を勝たせた。

「昭和に青春時代を過ごした人には懐かしい小ネタが満載。昭和を知らない世代にとっては異次元。『こんな時代だったんだよ』と一緒に見ると会話が生まれますよ」

阿部サダヲ(53)が主演のドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系 金曜22時〜)についてこう語るのはテレビドラマに詳しいライターの田幸和歌子さん。

宮藤官九郎が脚本を手がけたドラマは、阿部が演じる体育教師が1986年昭和61年)から2024年(令和6年)にタイムスリップ。パワハラ・セクハラが当たり前の“昭和のおじさん”が令和の時代で事件を巻き起こしていくーー。

■ドラマ内の誇張した昭和を楽しく満喫

毎日放送プロデューサーで、同志社女子大学メディア創造学科の影山貴彦教授がこう語る。

阿部サダヲが不適切なセリフとして『チョメチョメ』を多用していますが、もともとはクイズ『アイ・アイゲーム』(フジテレビ系)で司会を務めた山城新伍さんが、伏せ字の部分をチョメチョメと読んだフレーズ。下ネタの隠語として使っているところが絶妙です。

また駅のホームや会議中でも喫煙は当たり前の時代でしたが、さすがに1986年ごろにはバスのなかで『ハイライト』をぷかぷか吸うことはありません。リアルな1980年代なかばの世界ではなく、ドラマではデフォルメしていますが、それも含めて前のめりになって楽しんでいます」

田幸さんも、ドラマ内の誇張された昭和を満喫しているとか。

「主人公の娘、純子(河合優実)がドラマ『積木くずし』(TBS系)のようなスケバン姿ですが、1986年の東京にあんなスケバンはいなかったはず(笑)。それで髪形が“聖子ちゃんカット”で。あの当時、髪を切りに行くといわずもがなで聖子ちゃんカットにされたことを思い出しました

そんな純子が憧れるムッチ先輩(磯村勇斗)は、『ハイティーン・ブギ』を歌っていたころのマッチ(近藤真彦)をイメージしているようですが、1987年には大人っぽい『愚か者』を歌っていたからイメージがかなり違います。そんな“ズレ”にツッコミを入れながら見ています」

■昭和はよかっただけでは本質を見失う

ちなみに、ムッチ先輩がドラマで乗り回しているバイクとヘルメットは、近藤真彦主演映画『ハイティーン・ブギ』でも登場したものと同じというこだわりぶりも。

「一世を風靡したおニャン子クラブの衣装として一気に爆発的に売れた『セーラーズ』や若者にとっては高嶺の花だったカセットの『メタルテープ』など、“昭和の薫り”がセリフのところどころに出てくるのもたまりません。

レンズ付きフィルム『写ルンです』が登場したり、家の電話にレースのカバーがかかっていたりと、懐かしさを感じるものが満載。宜保愛子さんも当時は大人気でした」(田幸さん)

また、ゴールデンタイムにもかかわらず“ちょっとエッチ”なシーンが満載の中山美穂主演のドラマ『毎度おさわがせします』(TBS系)や『11PM』(日本テレビ系)や『トゥナイト』(テレビ朝日系)などのフレーズもよく出てくる。影山教授が語る。

「僕もお色気がある深夜バラエティ番組のプロデューサーをしましたが、今では企画書さえ通らないでしょうね。とはいえ、『昭和はよかった』だけの視点で見てしまうと、このドラマの本質を見失う気がします。宮藤官九郎が手がけていることから、令和というコンプライアンスの厳しい時代を“昭和のおじさん”がスッキリさせることが今後も続くはずもなく、これからが本当の見どころでしょう」

昭和の小ネタ探しをしながら、今後の展開を期待しよう!