現役引退後に居酒屋を経営する、みたいなノリでチェーン店を買う余生もアリか?
現役引退後に居酒屋を経営する、みたいなノリでチェーン店を買う余生もアリか?

2023年末、日本だけでなく世界を騒がせた大谷翔平の10年総額7億ドル(約1000億円)。すごくデカい数字であることはわかるけど、個人が持つ金額としていまいちピンとこない......。経営戦略コンサルタントの鈴木貴博氏に経済ジャンルで比較してもらった。

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1000億円で買えるもの。わかりやすいところでいうと、大谷の出身球団、日本ハムファイターズエスコンフィールド北海道は総工費600億円です。だから、私費でスタジアムは建てられますね。

あと、プライベートジェット機が1機およそ100億円なので、それでメジャーリーガーをそこに数人集めて、ドリームチームを結成することもできます。1970年代の漫画『アストロ球団』のように、「年に数回しか試合をしない世界最強のチーム」をつくってもおもしろいですよね。

企業でいうと、牛丼チェーンの松屋(松屋フーズホールディングス)とか、かつやアークランドサービスホールディングス)は買えますね。

ただ、本人にビジネス的な野心がなさそうなので、故郷に投資するかもしれません。1000億円あれば、出身地の岩手県奥州市を丸ごと振興できますから。例えば、私鉄で新幹線を引くとか。

新幹線って新たに造るとなると2兆円くらいかかるんですけど、東北新幹線がすでにあるので、例えば、水沢江刺駅から奥州を横断して、太平洋側の陸前高田まで新幹線を延伸させる、とかならできると思いますよ。宮沢賢治にちなんで"大谷銀河鉄道"なんていいじゃないですか(笑)。

あと、10年あれば科学技術が進化して、今まで考えられなかったことが起きます。特に医学の分野では、10年で若返りの研究開発が進むと考えられている。

野球選手でいうと、40歳くらいで引退するイメージがありますし、大谷も10年後には引退が近いと思われていますが、例えば1000億円を再生医療に全投資すれば、もしかしたらリセットできるかもしれない。さらに次の10年があるかもしれない。トミー・ジョン手術で投手生命を延ばすように、遺伝子治療でさらに選手生命を延長できるようになるかもしれません。

取材協力/川喜田研

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