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アメリカ・フロリダ州マイアミで、スペイン語圏の人が話す言語が独自の方言として確立しているという。スペイン語を話す移民が多い地域の新しい文化開花に、注目が集まっている。『indy100』がレポートしている。

 

■マイアミの移民人口が増加

約44万人が住むマイアミは、全米でトップの人口増加率をもつ移民都市だ。2021年の調べによると、市の人口の約58%の25万6,000人は、外国出身者だという。

最も多いのが、約19万2,000人を数える白人居住者。次に多い民族グループが、ヒスパニック系で9万6,400人。最も少ないのは、黒人またはアフリカ系の6万人となっている。

マイアミは、ここ3年ほどで人口の増加率が急激に伸びた。その原因は中南米の国々からの移民で、特にキューバコロンビアベネズエラドミニカ共和国などからが多く、経済的または政治的な要因による生活苦などで、アメリカに移住するケースが多い。

 

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■「マイアミ・イングリッシュ」が一般化

ヒスパニック系の移民が多いマイアミでは、近年になり英語とスペイン語が融合した「マイアミ・イングリッシュ」もしくは「スパングリッシュ」などと呼ばれる独自の方言が、一般化している。

スペイン語を英語に取り入れた独自のハイブリット言語は、1950年代にキューバからの移民が生んだといわれている。この言語が市民権を得るまでには、長年の習慣に裏付けられた歴史があったといえそうだ。

この独自の方言を「bajar del carro(車から降りる)」の例で見ると、英語では本来「get out of the car」になるところ、マイアミ・イングリッシュでは「get down from the car」と、英語の文法には準じない形になる表現が特徴だ。

 

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■マイアミ育ちには共通語

またマイアミ・イングリッシュは、ヒスパニック系の民族だけでなく、マイアミに住む人々が違和感なく聞こえる言語になっているという調査結果がある。

2022年、言語学者のクリステン・ダレッサンドロ・メリイさんは、マイアミのある南フロリダで話される英語の起源に関する研究を行ったのだという。

すると、マイアミに生まれ育った人とマイアミ以外の人では、違和感がある英語表現に異なる結果が出た。実験に参加したマイアミの人々は、人種や年齢に関係なくマイアミ・イングリッシュ表現を「違和感なし」と認識するのだという。

言語研究者らは、「マイアミ・イングリッシュはコミュニティで自然に身に付く母国語であり、使用する人がアイデンティティや友情、愛を育んだ言語なのだ」と言及している。

独自方言「マイアミ・イングリッシュ」が一般化 スペイン語の影響受けた移民から誕生