2016年6月、それは「週刊女性」のスクープ記事だった。そして同誌が報じた元「ファンキーモンキーベイビーズ」のボーカル、ファンキー加藤と、お笑いコンビ「アンタッチャブル」柴田英嗣の元妻AさんとのW不倫騒動は、少し前まで盛り上がっていた、ゲスの極み乙女・川谷絵音ベッキー騒動を一瞬にして消し去るほどの勢いがあった。

 柴田がAさんと「デキ婚」したのは2005年。その後、2人は長男、長女と生活を共にしてきたが、2015年5月にAさんの浮気が原因で、夫妻は離婚。ところがなんと、彼女の浮気相手というのが加藤だったのである。しかもAさんのお腹には、臨月になる加藤の子供がいたことも発覚。まさに芸能史に残る大スキャンダルとなってしまったのである。

 記事を受けて、6月7日に記者会見した加藤は平身低頭、謝罪の言葉を絞り出した。

「このたびは僕の軽率な振る舞いで、多くの関係者に辛い思いをさせてしまいました。そして、ずっと僕のことを応援し続けてくれたファンのことも裏切ってしまった。心からお詫びします。妻に対しては、これから一生かけて償っていくつもりです」

 一方、囲み取材に応じた柴田は、

「(相手が)わかった時は結構、衝撃でしたけどね。わかったのはそれ(離婚)からしばらくしてからで。(元妻から)『子供ができたので相談したいんだけど』って。相手がどういう人なのか、ご職業も教えてくれませんかって言ったら『ファンモンの加藤さんです』と」

 打ち明けられたのは離婚後だったが、柴田がそれを聞かされのは、なんとホテルで開かれた「三者会談」直前。

「『ああ、そうなんだ』って言って会いに行ったらね、加藤ちゃんは知らなかったみたいで。いや、2分くらい動かなかったですね、加藤ちゃんは。『俺なんだよね、ダンナは』って話して、また更に固まっちゃうっていうね…」

 それはそうだろう。結局、加藤は妻とは離婚せず、お腹にいるAさんの子供を認知した上で、柴田に慰謝料として数千万円を支払うことで結着がついた、との報道も。おそらく流れとしてはそんなところだったのではないかと思われる。

 この騒動でふと脳裏をよぎったのが、エリック・クラプトン至極の名曲「いとしのレイラ」のチャラララララ、ラ~ンという、かの有名なイントロフレーズだった。この曲はクラプトンが、親友だったジョージ・ハリスンから元妻のパティボイドを略奪した際の苦悩が歌われている。

 2人は結婚後、結局は破綻してしまうのだが、略奪劇で誕生したこの曲が、50年以上の時を経てもなお色褪せないことに、驚きを禁じえない。

 むろん、傷ついている人がいる以上、不倫を肯定するつもりはない。ただ、皮肉なことに、世間の批判や逆境を飯のネタにできるのもある意味、創作者ならでは。加藤は今年でソロ活動10周年を迎えるという。はたして加藤はこの不倫劇を、自身の作品にどう反映させていくのだろうか。

(山川敦司)

1962年生まれ。テレビ制作会社を経て「女性自身」記者に。その後「週刊女性」「女性セブン」記者を経てフリーランスに。芸能、事件、皇室等、これまで8000以上の記者会見を取材した。「東方神起の涙」「ユノの流儀」(共にイースト・プレス)「幸せのきずな」(リーブル出版)ほか、著書多数。

アサ芸プラス