深沢鳳介

ロッテ佐々木朗希オリックス山下舜平大、中日・高橋宏斗ら、他球団では高卒ピッチャーが着々と一軍で躍動する姿が見られるプロ野球界。しかしいざベイスターズに目を向けると、なかなか頭角をあらわしていない現実がある。

 

■なかなか出てこない高卒ピッチャー

DeNA以前ではストッパーで活躍した中山裕章氏、佐々木主浩氏とWストッパーとして君臨した盛田幸妃氏、優勝時の左のエース・野村弘樹氏、現監督の三浦大輔、剛球クローザー山口俊氏らが挙げられるが、その後はともに育成から這い上がった国吉佑樹(現ロッテ)と砂田毅樹(現中日)くらいしか名前が挙がらない。

もちろんDeNA黎明期には戦力が整わず、ドラフト上位で即戦力期待のピッチャーを中心に指名したことも関係しているが、2012年から2022年までに入団した19人の高卒ピッチャーの中で勝ち頭が12勝の京山将弥では、育成がうまく進んでいないと言われても仕方ないだろう。

 

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■絶賛アピール中のサイド右腕

そんな現状の中、A班(一軍)の春季キャンプに抜擢された3年目のサイドスロー右腕・深沢鳳介が対外試合で無失点ピッチングを続け、首脳陣にインパクトを残している。

三浦監督も「しっかりとこのボールでストライクを取るという作業ができている。(若いカウントでストライクを)狙った球がボールになっても、そのあといつでもカウントを整えられる自信を持っている」と自滅しない投球術を高評価。

「3年目ですけれども、自分はどういうタイプのピッチャーかをしっかりと理解しながら、マウンド上で冷静だと相手に見せられる投手。それはひとつの大きなセールスポイントですね」とマインドにも太鼓判を押していた。

 

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■深沢は「開幕から一軍で…」

本人も「マウンドの上がったらあまり緊張するタイプではないですね。数字だけで抑えられるものではないので、対バッターの反応や自分の感覚を大事にしています」と涼しげに自己分析。

昨年もファームながらローテーションを守り続け、終盤には一軍昇格のチャンスがあったがチーム事情で見送りになったこともあり「去年から一軍で投げたい気持ちはあったのですけれども、結果投げられなかったので…今年こそしっかり開幕から一軍でどんどん行って、ローテーションを守りたい」と言葉に力を込めた。

高卒ピッチャーが規定投球回数に達したのは、2013年の三浦現監督を最後に出てきていない。目指す「大貫(晋一)さんと平良(拳太郎)さんのいいとこ取り」のスタイルを確立させ、新しい時代を作る1番手として、深沢がその壁を破っていく。

 

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■執筆者プロフィール

萩原孝弘:1971年生まれ。生まれも育ちも横浜の生粋のハマっ子で、大洋が横浜に移転して以来、一貫してホエールズ〜ベイスターズファン。

23年のオフィシャルイヤーブックもライターとして参加した。あくまでもファン目線で、独自のインタビューコラムや記事を各媒体で執筆中。

【DeNA】遂に出てきた高卒ピッチャー「今年はローテーションを守りたい」 3年目の深沢鳳介の掲げる野望