2月16日に『不適切にもほどがある!』(TBS系、毎週金曜22時~)の4話が放送された。


 1986年に暮らす中学校の体育教師・小川市郎(阿部サダヲ)が、タイムスリップした2024年で奮闘するヒューマンドラマ。昭和と令和の価値観がバチバチにぶつかり合う新感覚のコメディドラマとして日に日に注目度を高めている。そんな本作ではあるが、4話ではこれまで以上に過激かつ攻撃的な発言が飛び出した。


◆女にモテなくて変なこと言い出しただけ




 市郎とは真逆で、フェミニストの社会学者・向坂サカエ(吉田羊)と中学二年生の息子・キヨシ(坂元愛登)は2024年から1986年にタイムスリップしてしまう。サカエ親子は市郎の家に居候させてもらい、市郎の一人娘・純子(河合優実)と3人で暮らす。


 徐々に昭和に順応していくサカエだったが、元夫でゆくゆくはキヨシの父親になる井上昌和(三宅弘城、中学時代は中田理智)と、キヨシと同じ中学校に通っていることを知る。サカエは昌和が未来の夫であることに気づくが、キヨシは一切気づかずに友達として昌和と仲を深めていく。


 ある日、サカエはキヨシから告白されたことを聞かされ、サカエはキヨシと昌和が仲良くなることがマズいと思い、「女にモテなくて変なこと言い出しただけ」と必死に説得する。


◆「モテないからって女を軽視してる」という暴言
 結局、キヨシは昌和と交際することは思いとどまったらしく、サカエが安堵したが、急に市郎の家に昌和から電話がかかってくる。


 純子が最初に電話に出たが、サカエは受話器を奪い「自分がモテないからって女を軽視してる。女性蔑視、あなたそういうとこある昔から。ミソジニーの属性があるんです、昔から」「そういう男に限ってホモソーシャルとホモセクシャルを混同して、同性愛に救いを求めるの」と言い放つ。


 さらには「女にモテなくて男に走ってるの。あなた中二病なの、『自分がモテないのは女が悪い』っていう考えを捨てない限り、モテないし変われない」とまくし立てる。


 清々しいほどの人格否定に中学二年生が耐えられるわけもなく、昌和はサカエが喋っている最中に電話を切り「何だよ!中二病って」「春から中三だし」と不満を口にした。


◆数ある過激なセリフのなかでも異質な存在感https://twitter.com/futeki_tbs/status/1759533477052240240/


『不適切にもほどがある!』では過激な発言は珍しくないが、その中でもサカエの発言はあまりにも過激。「男性の同性愛者=女性からモテなかった非モテ男性」とドストレートに言っており、同性愛者をひどく否定するもの。


 加えて、「モテない男性にはどれだけ馬鹿にしてもいい」という発言でもあり、あらゆる属性の男性を非難する内容と言っていい。


 もちろん、サカエとしても未来のパートナーが同性愛者になると、キヨシが誕生する未来が失われる可能性があるため、ついつい口調が荒くなったのだろう。それでもやはり“家族愛”という言葉だけでは、素直に納得するには難しいほどエッジの効いたセリフだった。


◆あえて”回収”されていないのか?
 また、フェミニストのサカエが我が子を守るために、冷静さを失ってぶっ飛んだことを次々と口走ってしまう、という面白シーンであることも理解している。サカエのマシンガントークを聞きながら「ひどいこと言うな」と頬が緩んだ。


 とはいえ、「何だよ! 中二病って」と不満をあらわにする昌和だけではなく、キヨシや純子が何かしらのツッコみを入れていれば、モヤモヤ感を一切抱くことはなく素直に笑えていたと思う。


 セリフ一つ一つに耳を傾けたくなる刺激的なドラマだからこそ、今後もどのようなセリフが飛び出すのか楽しみにしたい。


<文/望月悠木>


【望月悠木】フリーライター。主に政治経済社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki



『不適切にもほどがある!』(吉田羊公式「X」より)