BOSS

この世には多くのブランドが存在し、そのブランドの数だけ「コンセプト」が存在する。しかし、ブランド名を聞いてコンセプトがすぐにピンと来なかったり、その逆のケースもあるのでは。

今回は、大人気缶コーヒーブランド・BOSSキャッチコピーについて探っていこう。

 
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■BOSSのコンセプト、知ってる?

さて、BOSSのコンセプトといえば「◯◯の相棒」だが、こちらの空白部分に入るフレーズをご存知だろうか。

BOSSグラフ

以前Sirabee編集部が全国の10~60代の男女808名を対象とし、3つの選択肢からなるアンケート調査を実施したところ、最も多い回答は「頑張る人」(49.9%)、次に多いのが「働く人」(44.9%)、最も少ない回答は「忙しい人」(5.2%)と判明した。

事実上、「頑張る人」と「働く人」の一騎打ちといえる結果である。果たして、実際のブランドコンセプトは、どちらなのだろうか…?

 

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■BOSSのコンセプト、そんな歴史がったのか…

僅差で「頑張る人」に敗れてしまったが、じつは「働く人」こそ同ブランドのコンセプトなのだ。今回は続いて、BOSSを展開する「サントリー食品インターナショナル株式会社」に、コンセプト決定の背景について話を聞いて見ることに。

BOSS

同ブランドが誕生・発売されたのは1992年のこと。サントリー担当者は「当時、缶コーヒーは長距離運転のドライバーや工事現場で働く方などに、多く飲んで頂いていることが分かりました」と振り返っている。

これらの職種は自身の裁量で働ける部分も大きく、一見すると「自由な働き方」に魅力を感じられるかもしれないが、それ故に「孤独な時間」も少なからず存在する。

サントリー担当者はこうした背景を踏まえ、「そのようなシーンで、缶コーヒーを1本飲んで何か会話をするような、日常の喜怒哀楽に寄り添ったものになれたらと思い『働く人の相棒』というコンセプトを開発しました」と、説明してくれたのだ。

個人的には「働く」と「頑張る」はセットで使用される機会が多く、そのため「頑張る人の相棒」と混同して記憶したユーザーが多数存在するのでは…と考えている。

サントリーも今回の結果を前向きに捉えているようで、担当者は「『働く人の相棒』というコンセプトで30年以上ブランド開発を続けてきましたが、『働く』という特定のシーンだけでなく『頑張る』というより大きなイメージまでお客様に持って頂いていることは、大変嬉しく思っています」と、笑顔のコメントを寄せてくれた。

 

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■お馴染みのCMが誕生

前出のような経緯でコンセプトが決定・誕生したBOSSブランドだが、「男らしくてカッコいい」イメージがある一方で「少し頑固でとっつきにくい」という印象も存在したようだ。

サントリー担当者は、こうしたジレンマについて「そうしたイメージと働く人のギャップが2000年以降に生まれてきました」「多彩なシーンで缶コーヒーが飲まれることで、様々な働く人の感情が生まれ、様々な相棒が必要となってきます」と説明する。

この状況を打開するため誕生したのが、お馴染みのテレビCM宇宙人ジョーンズの地球調査シリーズ」だったのだ。

宇宙人ジョーンズの地球調査シリーズ

同CMでは米俳優のトミー・リー・ジョーンズが宇宙人に扮し、様々な職場を転々としながら地球を調査していく。まさに「働く人の相棒」というコンセプトにぴったりな内容である。

サントリー担当者は「CMのキャッチコピーは『このろくでもない、すばらしき世界』です」「働くことは辛かったり、悪いときもありますが、『すばらしき世界』だと感じられるような良いこともあります。そんな、働く人たちが日頃感じていることを『BOSS』が代弁するのが、宇宙人ジョーンズのCMです」と、同シリーズの魅力について語ってくれた。

なお、同シリーズ第1弾が放送開始となったのは2006年のこと。23年12月時点では第86弾まで放送されており、正に「ご長寿CM」といって良いだろう。

宇宙人ジョーンズの地球調査シリーズ

たとえチーム単位での業務がメインの仕事に就いていても、人はふとした折にに孤独を感じる生き物。そんなときは働く人の相棒・BOSSを片手に、もうひと頑張りしてみよう。

 

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■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。

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