テレビドラマ新空港占拠』(日本テレビ系/毎週土曜22時)が絶賛放送中だ。本作は、2023年1月期放送のドラマ『大病院占拠』の制作チームが再び結集したタイムリミットバトルサスペンス。最悪の大病院占拠事件から1年。本作では神奈川県初の国際空港・かながわ新空港を、突如として獣の面をかぶった武装集団が占拠。前回同様、事件に巻き込まれた刑事・武蔵三郎(櫻井翔)が仲間たちとともに空港からの人質救出に挑むといった内容だ。そんな本作において、パソコンひとつで事件と対峙(たいじ)する情報分析官・志摩蓮司を演じるのは、お笑いコンビ、春とヒコーキのぐんぴぃ。街頭インタビューを機に有名になり、「バキ童チャンネル【ぐんぴぃ】」のYouTube登録者数は139万人超(2024年2月22日現在)。今やゴールデンプライム帯ドラマの俳優としても活躍する彼に俳優業とお笑い業について話を聞いた。

【写真】目線を外し、かっこよくポーズを決めるぐんぴぃ

■もう甘えられない『新空港占拠

――前作『大病院占拠』の話が来た際はドッキリだと思ったと言っていましたが、今回志摩蓮司役として続投の話が来た時の率直な感想を教えてください。

ぐんぴぃ:今回はさすがに信じました(笑)。ただ今回の方が不安でした。前回は俳優初心者でしたけど、今回は2回目だったので「初心者です」というスタンスは通用しないのかなと思って。「お兄ちゃんになっちゃったから、もう甘えられない!」と撮影に挑んでいます。

――実際に現場に入ってみて、前回よりも俳優業に慣れていましたか?

ぐんぴぃ:実際にはまだまだ初心者ですし、お兄ちゃんになっていないのですが「これはもう大丈夫だもんね」「俳優さんだからね」みたいな空気感は感じます。言われたわけではないですけど、「もう新人じゃないんだからさ!」って(笑)。

ただ、前はまるっきり分からなかった業界用語の「白味(しろみ)」とか「ナメ」とかは分かるようになりました。でも多分そういうのを知ったかぶりしたら、1番うざいタイミングだと思うので「分かりますよ」という感じは出さないよう謙虚にしています。

――『大病院占拠』をきっかけに、ご家族にも今の職業のお話をされたんですよね。

ぐんぴぃ:はい。当時も続編が決まった今回も大騒ぎしていました。僕の親父は近所に「土曜夜10時からご覧ください」って言って回っていますし、実家に帰省した時にはおばあちゃんに連れ回されて、いろんな人にあいさつにいきました。

――今回の撮影で、久しぶりに再会した方も多いのではないかと思います。

ぐんぴぃ:そうですね。前回の撮影が終わった時に「もう二度と会わない」と思っていたので、ソニンさんに会えてうれしかったです。ただ、会えたことで困ったこともありました。

――それはなんでしょう?

ぐんぴぃ:前回の撮影の時、ソニンさんに「痩せなさい」とずっと言われていたんです。でもその時は「ドラマ中はつながりとかもあって痩せられないんで、終わったらジムに行きます!」って言っていたんですよ。ただ正直「もう二度と会わないし」と思って、ジムにも行かずに平々凡々と暮らしていたんですよね。そしたら続編が決まったので、慌ててダイエットしました。

――そうだったんですね!では今は120kgもない?

ぐんぴぃ:最初は5kgくらい痩せたんです。監督にも「あんまり痩せない方がいいんじゃない?太ってる方が面白くていいよ、もう痩せないで」って言われたくらい。だから痩せないようにしたら、この撮影中にぐんぐん太っていきました。ちょうど一昨日ぐらいに監督から「もう太らなくていいんじゃないでしょうか」って言われましたし、ソニンさんからも「また太ってるでしょう」って。

あ、ダメだ。またソニンさんの悪口を…。いいところも言わなきゃ…。

――(笑)。ぜひお願いします。

ぐんぴぃ:ソニンさんは、スタッフさんのことも、俳優さんのことも、よく見ていて大変そうな人がいると「大丈夫?」って声をかけてくださる方です。

僕も前にどうしても言えないセリフがあったのですが、その時に寄ってきて「ぐんぐん(ぐんぴぃ)は、口の開き方が横に開きがちだから、縦に開くのを意識してみたら言えるんじゃない?」とアドバイスをいただきました。やってみたらうまく言えて、そんな細かいところまで見てくださってるんだなって思いましたね。これは絶対に書いておいてください!

――はい!(笑)では櫻井さんは、どんな方でしょうか?

■「僕のような陰キャメガネ童貞にも…」

ぐんぴぃ:櫻井さんは、僕のような陰キャメガネ童貞にも普通の感覚で気さくにしゃべりかけてくれます。前回は「牛丼のうまい食べ方、知ってますか」って話しかけてくれて、今回は僕が「松屋」の「うまトマチキン定食」を紹介したYouTubeの動画を見てくださったみたいで、「あれ、見ましたよ!食べたいな」って声をかけてくれました。しかも本当にその日のお昼に1人で食べに行かれていたんですよね。帰って来てからも「あれ、名作ですね」「うまいですね」って話してくれて。僕がよく言っている「松屋はチキンの会社だ」って言葉を、受け売りのように言っていました(笑)。

――基本、食事の話題なんでしょうか?

ぐんぴぃ:食事の話題と、あと僕が太りすぎてるって話ですね(笑)。第4話に僕の相方・土岡(哲朗)が出てきて、櫻井さんと2人で気絶している僕を助けてくれるシーンがあるんですけど、その時はめちゃくちゃ大変そうでした。僕自身も体重120kgの体を持ってもらうのが、本当に申し訳なくて、なるべく相方の方に体重をかけるようにしましたもん。実際、櫻井さんからは「ぐんぴぃさん、重いっすね。もし今みたいにぐんぴぃさんが大変なことになったら…俺、運べないな〜。お疲れ様でした!」って言われました(笑)。

――(笑)。2025年には主演映画『怪獣ヤロウ!』の公開も控えているぐんぴぃさん。お芝居の仕事には、慣れてきましたか?

ぐんぴぃ:まだまだ勉強中ではあるんですけど、とにかく楽しいですね。「こう動けば、どう見えるんだろう」と考えるのは、どこまでも奥が深いですし、行こうと思ったらどこまでも行けてしまうじゃんって考えると、ぞっとします。でも演技力があれば、もっと本業の方にも生かせるのかなとも思うので、勉強は続けたいです。

――YouTubeが順調ではありますが、お笑い芸人として目指していることはなんですか?

ぐんぴぃ:やはり賞レースです。「キングオブコント」で結果を残したいですね。僕が所属している事務所のTITAN - タイタンって、生粋のお笑い事務所なので「YouTubeの登録者数が100万人を超えました!」って言っても「あ、そうなんだ」ぐらいの反応しかなくて。それよりは「ネタ番組で勝ちました」って言った方が盛り上がる事務所なんです。そういうこともあって、「YouTubeで暮らせるしな」「YouTubeやればいいしな」と思ったことはないんですよ。

それからラジオをもうちょっとやれるぞ、というのも伝えていきたいですね。やっていて一番伝わるなと体感しているので。

――そうなんですね。一方で、ぐんぴぃさんは街頭インタビューをきっかけに知名度をどんどん伸ばしていきましたが、それについてはどう考えますか?

ぐんぴぃ:ここまでズルができたかっていう感触なんですよね。インタビューでバズった人自らがYouTubeなどで発信して、変なバズり方をして、ドラマにまで呼ばれるなんて…。でも僕みたいにネットで出てきた人が世に出てくることって、あってもいいだろうなとは思っています。

――ゆくゆくは“バキ童”の肩書きを覆していきたいのような思いはあるのでしょうか?

ぐんぴぃ:そうですね。演技の面では、僕がもともと好きな六角精児さんのように、どのドラマにいてもおかしくないぐらいの人になれたらいいなと思います。

今ってどうしても僕がドラマに出ると「お茶の間が冷え切って草!」「バキ童いてワロタ」みたいな反応になってしまいがちなんですけど、なんかもう「普通にいるね」って見過ごしてもらうのが理想ですね。そうなったときに、僕はバキ童から解放されるのかもしれない。そんな気がします。

(取材・文:於ありさ 写真:上野留加)

 ドラマ『新空港占拠』は、日本テレビ系にて毎週土曜22時放送。

ぐんぴぃ  クランクイン! 写真:上野留加